それは転機とも、偶然とも予兆とも言えるだろう。
なんというか青天の霹靂、藪から蛇、寝耳に水……、つまりまあ要するに
絶凶
そういうことだった……。
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シスプリN◎VA
番外編 『厄日』
作者 たこつぼ
仕事も万事上手くいき……、妹達を帰らせ、ちょっと気晴らしに散歩をしてなんとなく御神籤を引いた、ただそれだけだったはずなのだが……。
49番 絶凶
金銭運
『最悪です、財布を無くすでしょう』
仕事運
『最悪です、逆恨みで殺されないように注意しましょう』
恋愛運
『激激最悪です、ご愁傷様命は大切に……』
その他
『水難・溺れ死にしないように。火難・焼け死なないように。』
「…………………」
なぜこんな理不尽な気持ちにならなければいけないのだろうかていうか、激激最悪ってなにさ……。
「まあ御神籤で絶凶なんていうわけわからんものを引いたくらいで、落ち込んでちゃダメだな……」
ざわざわざわ
そう俺が何とはなしに絶凶という言葉を呟いた瞬間辺りがざわめいた。
「おい、聞いたか、あいつ絶凶を引いたんだってよ」
「そうか彼が13人目の犠牲者か……」
犠牲者ってなんだ犠牲者って。
「あらまあ聞いた奥さん?あの人も若いのに可哀想ねえ」
「本当にお気の毒ねえ……」
全然お気の毒そうに聞こえないのだが……。
「おい、早くここから離れた方がいいんじゃないか?」
「そうだな……巻き込まれたら困るし」
おぃおぃ……巻き込まれるって何だよ……、そんなにまずいものなのか、コレは……。
「お、おい!!あんた!!この絶凶って」
「い、いや俺は知らない……、何も知らない……知らないんだ……お願いだから近づかないでくれぇーーー!!!」
と声をかけた男は必死の形相で逃げていく。
「へ?」
さあぁぁーーー
その瞬間こちらを注目していた全ての人が蜘蛛の子を散らすように掻き消えていった。
「おぃおぃ………………、なあこの御神籤って……」
と後ろの御神籤売り場の方に振り向くと。
「………………………」
≪真に勝手ながら、本日は臨時休業とさせていただきます≫
いつのまにか店じまいされてるし。
「皆なんだ、たかだか御神籤くらいで財布を落とすって?馬鹿言っちゃいけないな、財布くらい、ここに………………………………」
と胸のポケットに手をやった先に財布は無かった。
「そ、そんな馬鹿な!!!!」
ポケットに入れたはずの財布は綺麗さっぱりなくなっていた……御神籤を引いた時には確かに有ったはずなのに……。
「ま、まさか、ははははは偶然だよな、偶然」
と背筋が凍るような、チリチリするようなこの感じ……、咄嗟に背中から『ムラクニ』を抜き放ち……。
「どっせい!!!!」
カキーーン
迫り来る銃弾を叩き落した………、考えるより早く体が動き出す、半ば無意識にIANUSの『フラッシュドライブ』、『アクセル』の思考トリガーを搾る、その瞬間景色が灰色に変り全てがゆっくりに動き出す。
一瞬のうちに割り出した狙撃地点へ一直線に走り出す、2,3回銃弾がこちらへ飛来するがタイミングを計り右へ左へとかわすと、ビルとビルの間を跳ね上がり屋上に着地する。
タッタッタッタッタッタ
ブシュ、ブシュ、ブシュ、ブシュ、ブシュ、ブシュ、ブシュ、ブシュ、
「やったか!!!」
俺の着地にあわせて撃ち込まれた銃弾も残された上着を穴だらけにしただけだった。
「なっ!!!!」
「やってねえよ」
その瞬間相手の一瞬の隙をついて後ろに回りこんだ俺が狙撃手の両腕を切断した。
☆
「はぁーーーー、疲れた……」
結局は前回の仕事でうちに社内機密を暴露された、レイド&ルーラー特殊渉外課の仕業だった、取りあえず死なない程度に切り刻んで ブラックハウンド に引き渡したのだが……。
「この御神籤…………………」
当っているのか………………、まあ世の中にはウチの千影みたいなやつもいることだし、当るはずは無いとは言い切れないが……。
とその瞬間
ドカ―――――ン
突然押し寄せる爆風をやり過ごすため思考より先に体が瞬間的にうつ伏せになり。
物凄い熱量と質量ををもった爆風が自分の頭上を通り過ぎていく。
「はぁ……はぁ……、なんなんだよ……一体」
一旦爆風をやり過ごした後、5m程跳び退く。
とぉおぉぉっぉぉぉん とぉおぉぉっぉぉぉん
再爆発は取りあえず無いと判断したその時、遠くからサイレンの音が聞こえてきた、おかしい爆発を聞いて駆けつけて来たとしても……幾らなんでも早すぎる。
なんだかメッチャ嫌な予感がする、ここはさっさと退避した方が……。
「Freeze!!!ブラックハウンドだ!!!そこの黒い男、両手を挙げてゆっくりこちらを向け!!」
黒い男??そんなのは知らない……、俺の服装はダークグレイだ。
という訳で全力で走り出す……。
「Freeze!!!止まれ!!止まらんと撃つぞ!!」
ダダダダダダダダダ!!!
タッ、タッ、タッ、タッ、タッ
うわーーん、もう既に撃っているじゃないか……。
己の勘を信じてタイミングを計り右へ左へ避けながら猛ダッシュをする……ってなんかさっきも同じことやってたような……。
一時間後
「待ちやがれーーー!!!ハッピィー999」
「だから誤解だーーー!!」
「撃てー撃てー、撃ち殺しても構わん!!撃ちまくれーーー!!」
ダダダダダダダダダ!!
パララララララララ
ドガーーーン、ドカーーン
タタタタタタタ、サッ、サッ、サッ、サッ、サッ
鞠絵にcallする暇すらない……、おのれいつもはもうとっくに諦める頃なのに……何故今日はこんなにもしつこいんだ。
せめて追っ手が顔見知りのヤツなら話くらいは出来るものを……、なんで新米のアンちゃんなんだ!!
結局奴らを撒くのに成功したのはその2時間後だった。
☆
「はぁーーー早く、……帰ろう」
と辺りを見渡すとそこは伊勢崎湾だった……、しまった……確か御神籤にはまだ水難が……一刻も早くここを離れなければ……。
そう踵を返した瞬間、見知らぬ妊婦さんに腕をつかまれた。
「お願いです!!!あの子を助けて!!!」
其方を見ると(なるべく見ないようにしていたのだが…)、5,6歳くらいの子供がアップアップと溺れていた……。
勿論周りには誰も居ない……、普段ならこの時間はまだまだ賑わっているはずなのに……。
えーーと、うーーーんと、もしあの子がどっかの鉄砲玉だったら……いやだし。御神籤のことも有るし……。
「悪いけど……」
「あの子にはもうすぐ妹が出来るんです!!兄になるんです、お願いです助けてください、お願いします。」
ずきゅーーん!!
ぐふぅ……そ、そういわれると……助けないわけにも……。
半ば『反応よ出てくれ』と祈りながら爆発物がないかチェックをするが。
反応…………無し。
鉄砲玉では……ないのかな……(たぶん)。
「わ、わかりました……」
俺は覚悟を決めて海へ飛び込んだ。
☆
「た、ただいまーー」
死ぬかと思った……。
溺れた子供の所まで行ったは良かったのだが……、今日は
狙撃手
や
ブラックハウンド
のせいで一日中走り回っていたのをすっかり忘れていた、体中の細胞は限界をとっくに超えており、もがく子供を取り押さえる力すら残っていなかったのだ…………おかげで危うく溺れ死ぬ所だった……。
「はぁーー、もう風呂に入って寝よう……」
穴だらけになってずぶ濡れのぼろぼろの服を脱ぎ棄て、風呂場のドアを開けた。
ガチャ
「きゃあっ!!!」
あれ?……そこに居るのは千影さん、おーおーしばらく見ないうちにずいぶんと発育しちゃって、『きゃあっ!!!』だなんてずいぶんとまあ可愛い声を上げるのね……。
「や……やあ」
「あ、兄くん……、ど、どうしたんだい……」
顔が真っ赤になっているのは風呂に入ってるせいだけでは有るまい。
「い、いや、あのね疲れたから風呂にでも入ろうかと……」
「………………ほう」
こめかみの辺りにヒクヒクいっているのは………、寒さに震えている訳でも有るまい。
「えーーーと」
何か上手い言い訳をと考えていた、その時新たな災いが後方から訪れた。
ガチャ
「さーて、お風呂に入ってリフレ…………」
「や、やあ咲耶さん………こんばんは」
風呂場に裸の男女が二人……、咲耶の目にはそう写っているだろう……。
「お、おーにーいーさーまー、何をしていらっしゃるのかしら?」
「あ、あのな、きっと激しく勘違いしていると思うが……」
「兄くん!!!!」
「は、はい!!!」
「……何か……言い残すことは……ないかい?」
千影がこっちを恐ろしく冷たい目でこっちを見つめている。
前門の千影、後門の咲耶……。
…………………あ。
そういえば一つ、忘れてたな……。
「……御神籤なんて大嫌いだ……」
恋愛運
『激激最悪です、ご愁傷様命は大切に……』
ってやつを……。
「……宜しい……」
二人の"氣"が充実していくのが痛いほど判る、その対象が自分だということも……。
その時俺は2度と御神籤なんか引かないと固く心に誓った。
その後二人に袋叩きにされた挙句散々妹達に痴漢扱いされた後、鈴凛のDAKが故障していたというのがわかったのはまた別の話である。
終わり
あとがき
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