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ある猫の一日

作者 たこつぼ


「バニラ、ねえバニラ聞いているの?」

バニラは雄猫である、名前はバニラ。
今話しかけてきている小さい同居人が彼が生まれた時に決めたらしい名らしい。
しかしそんな事は彼にはどうでもよいことだった、問題は今日の夕食が著しく遅れたのことと……。

「ねえバニラ明日はお兄ちゃんが来る日なの、可憐の服さっきのよりこっちの方がいいと思わない?」

この同居人がバタバタと落ち着かない事だ。

勿論元来狩猟種族である彼の即物的な頭脳では、その言葉の意味を理解することは出来なかったが、彼の小さい同居人が落ち着かない理由はなんとなくわかっていた。
たぶん『オニイチャン』とかいうあの頼りないヤツと会うのだろう。
アイツがやってくる前の日はいつもこうなのでだいたい想像はつくのだが、興奮のあまり必要以上にこちらを構うのは止めて欲しかった。
なにより今は空腹も満たされいい気分でうとうとしているところなのだ、これ以上面倒事に巻き込まれないようにと彼は適当に鳴いてやった。

「バニラもやっぱりそう思う?」

それがかえって同居人の気を引いてしまったらしく、バニラはいきなり声の主に抱きかかえられた。
安眠を邪魔され軽く抗議の声を上げるが、彼は心の広い猫だったし、なによりこうして同居人に抱かれるはとても心地良いのでバニラのささやかな抗議は後には続かなかった。

「ねえ明日はお兄ちゃんとどんなお話したらいいかな?」

なんとなくこちらに語りかけられている様だったので鳴いてやる。

「うーーーん、そうだね、可憐ねピアノの発表会のお話をしようかと思うの、まだ3ヶ月くらいあるって言っても次のお兄ちゃんの日は2ヶ月も先になっちゃうでしょ?だから明日行っておかないとお兄ちゃんに発表会にきてもらえないかもしれないし。それから……」

同居人に抱えられ喉を撫でてもらうとバニラはその礼とばかりに喉を鳴らす。
この少女は『オニイチャン』とか言うヤツに好意を寄せているらしい。
あんな自分の領地も守れないような頼りない奴の何処がいいのか、バニラには全く理解できなかった。
その上あの頼りない『オニイチャン』はこの同居人の再三の求愛にも全く興味を示さないのだ、それなのに、なおこの少女が何故そこまでアイツに拘るのか猫である彼には不可解だった。
しかし彼の種族は他人の恋に口を出すほど野暮でも熱心でも無かったので『クルルゥ〜』と喉を鳴らすだけにしておいた。

「あとね、可憐はお兄ちゃんが来たら、可憐がさっき焼いたクッキーを二人で食べるの。バニラはポプリを齧った罰としてあげないんだからね」

彼にはポプリというのが先ほど齧ったいい匂いの葉の事だとは判らなかったが、なんとなく責められているような気がしたので一応抗議の声を上げる。

「全く、お前は本当に食意地が張ってるんだから、今にプクプク太って風船みたいになっちゃうぞ」

なんとなく侮辱されているような気がしたが心の広い彼は同居人の無礼を許してやる事にした。

バニラは少女の膝の上に降りると丸くなりとわが身に迫る睡魔に身を任せ瞼を閉じる。

「もう、バニラったらしょうがないなあ……」

少女はなにやら呟きながら彼の体を撫でてくれる。
その心地よさに身を任せ意識を睡魔の大海に身をゆだねようとした時。

「可憐ーーーーー!!早くお風呂に入ってしまいなさい!!」
「あ、いけない。もうこんな時間!!」

もう一人の大きい同居人の声がした、それと同時に小さい同居人は彼を床に降ろすとバタバタと慌しく下に下りていった。
恐らくあのお湯のある部屋にいくのだろう。
自分からずぶ濡れの泡だらけになりたがるなど、本当に人間は不可解な種族だ。

あの部屋から出て来た可憐と一緒に寝るのは暖かくて心地良いのだが、今日は止めておこう。
どうせ興奮した同居人に騒がれてゆっくりどころではなくなるのがオチだ。
バニラはそう考えを巡らせ小さい同居人の部屋を出て、もう一人の同居人の部屋に忍び込む。
そのまま部屋の主の寝床の下に体を潜り込ませて体を丸め。
明日はもっと騒がしくなるだろうから一日中外にいるのもいいかもしれない、そんなことをぼんやりと考えながら。
一度は退散した睡魔に誘われるままに彼は瞼を閉じた。

 

 

終わり

 

おおなんと一日っていうか半日でSS書けてしまった。
内容は無い様って感じですが……、ちなみにお気づきの方もいるでしょうが、もろ『星海の紋章』シリーズのディアーホ3部作のパクリです。
まあ……深い意味もなくパクった底の浅い作品ですが、最後までかけたし形は整えられたのでとりあえず掲載しようかなと(おぃ


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gath@hamal.freemail.ne.jp

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