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−会いたいよ…−
公園の木の上にたたずむ1人の少女。
彼女の着ている純白のドレスが月光に照らされ、さらに明るい白を生み出す。
少女は泣いていた。少女が地面を見下ろすと、雫が頬を伝って、地面に落ちた。
彼女の涙が映し出すもの。それは…
咲耶は1人公園のベンチに座っていた。空はもうすっかり暗くなっている。
しかし、座っているベンチから動かない。
「何で…、どうしてなの…?どうして兄妹なのに…、大切な人なのに…、傍にいることが…出来ないの!?」
咲耶の瞳からも大粒の涙が零れ落ちる。昔からずっと、大切な兄だけを見てきた。
そう、それは他の妹たちよりもずっと長い時間。
しかし、それは裏を返せば、兄と一緒にすごすことが出来なかった時間も一番長いということだ。
だって今は、同じように生きてるとはいえ、離れ離れなのだから。
空を見上げると、雫が頬を伝って、地面に落ちた。
Sister Princess〜Princess of Heart〜
第0話 Princess of Heart
作者 山宗澪さん
「お兄ちゃまに、早く見せてあげたいなぁ。」
大切な兄と一緒に、きれいなお花を育てたい。そう思うと、日頃行なっている花壇の水やりも楽しくなる。
花穂はお気に入りのパンジーに鼻を近づけてその匂いをかぐ。
さらに笑顔になった花穂は、手に持ったジョウロで次々に花に水をやっていく。
★
「よぉし、今度は成功させるぞ。」
真っ白いゲレンデにたたずむ衛の姿。兄に見せたい得意のスノボでの大ジャンプ。
今度いっしょに来たときは、このジャンプを兄の目の前で見せてあげたい。
雪の坂道をいっきに滑る。反動をつけて大ジャンプ!
着地も成功。ピースをして喜ぶ。
★
「兄やに、このお洋服見てもらうの。」
フランス人形のように、清楚な雰囲気を放つ亞里亞。それだけではない。
大好きな兄に会うために、新しい、青と白のフリルがたくさんついた新しいドレスを身にまとう。
新しい気持ちで会いに行きたい。
★
「兄チャマ、今日もばっちりチェキデスよ。」
大好きなシャーロック・ホームズの衣装を身にまとい、兄をチェキ尾行する四葉。
そう。兄のことをもっともっと知りたい。
自分だけが知っていること、それが彼女にとってはうれしい。
★
「おにいたまのところまで、飛んでいけ。」
空に浮かぶは無数のシャボン玉。そのシャボン玉に雛子の顔が映る。
純粋な思いがこもったシャボン玉、どうか兄のもとまで届いて欲しい。
途中で割れないで。想いを届けさせて。
★
「兄君さまに、この舞をお見せしたい。」
兄を想い、舞う。頭のてっぺんから、足の先まで、体全体で気持ちを表す。
女の子らしい繊細さ、しかし、金剛石よりも硬い想いが舞を通してはっきりと表れている。
舞い終わった後、春歌は凛々しい表情を浮かべた。
★
「朝だぁ。もうすぐ来るんだね…」
心地よい眠りから覚めて部屋の窓を開けた。木々の揺れる音、小波の音。
それは、新しい始まりを告げてくれる音だった。
ずっと待ち焦がれていた。この瞬間を奏でる音が耳に響く。
★
「早く兄上様の傍に行きたい。」
爽やかな高原の風に吹かれながら、兄を想い、鞠絵は隣で昼寝をしているミカエルの頭をなでる。
この風は、大切な人がいるところでも吹いているだろうか?
同じ風を感じてくれているならうれしい。
★
「願うよ…。兄くんが…無事であることを。」
薄暗い教会の祭壇に、黒い衣装をまとった千影。無事であって欲しい。
何も異常はあって欲しくない。心も体も、全てが好きなのだから。
千影は祈り続ける。そして、彼女に一筋の光が指し込む。
★
「にいさま、早く会いたいですの。」
街を1色に染めていく白い雪。
その中で、あの人が来るのを待つのは、この風景と同じ名の少女。
外は寒くとも、白雪の心は寒さを感じないほどに温かかった。
その温かさの源が彼女の元に来てくれるのをずっと待っている。
★
「アニキ、会うの楽しみにしてるからね。」
メカ鈴凛と抱き合って喜ぶほど兄から来たメールはうれしい。
そう。待ち焦がれていた、『会う』瞬間。
それは、メールを通して鈴凛とメカ鈴凛のもとに訪れた。
★
会いたい気持ちはどんどん増してくる。
「会いたい、お兄ちゃん。」
月夜を眺めながら、可憐が呟く。
その呟きは、儚くも夜空に消えてしまう。
−会いたいよ…、たった一度でいいから…−
可憐の呟きが消えた先、白いドレスの少女が高い木の上から見ていた。
大きな瞳からは、小さな雫がまだ落ちていた。
〜あとがき〜
この話は、いわゆるプロローグ。アニメで言うところのオープニングアニメーション。
始まりはとても重要です。いろんな意味で。
全ての始まりです。短いですけど、じっくり読んでください。
山宗澪さんへの感想はこちら
rei-marine12@au8.mopera.ne.jp
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