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One week
エピローグ

原作者・雷帝紳士さん 文・パンドラさん


 俺は、あの時まだ気付いてなかった。
「こんな時間に、どうしたんだい?」
 彼女の手に握られている物に。
「何かあったのか?」
 彼女の様子がおかしいことに。
「なあ、かれ・・・」
『ドスッ』
 始めにあったのは軽い打撃だった。
「えっ・・・」
 彼女が俺の懐に飛び込んできたからだと思った。
 でも違った。
 腹の部分が熱くなってくる。
「な・・・」
 次に来るのは痛みの奔流。
 腹に当てた指の間から、熱い物が染み出してくるのがわかる。
「か、かれ・・・ん・・・」
 俺は床に倒れ込み、意識は闇に呑まれた。


 日曜 11:12 十二姉妹総合病院


「ぅん・・・」
 俺が目を覚ましたとき、目に飛び込んできたのは、白い壁だった。
 そこには蛍光灯がついている。
 どうやら、天井らしい。
 寝かされていることに気付くのに、少し時間がかかった。
「兄くん・・・目が覚めた・・・みたいだね」
 聞き覚えのある声がした。
「千影か・・・ここは?」
 頭を横に向けると、そこには千影が居た。
 他の妹達の姿が見えないから一人なのだろう。
「病院・・・だよ」
「どうして、ここに?」
「今日・・・目覚めると・・・占いででた」
「そう・・・」
 相変わらず、感情に起伏がないな。
 少し寂しい。
 そんなことより、気になる事がある。
「なぁ・・・俺を刺した奴、捕まったのか?」
「いいや・・・まだ・・・捕まってないよ」
「そうか・・・」
 どうやら、まだ可憐には手は及んでないみたいだ。
 俺が黙ればみんな闇に消える。
 何か、深い訳でもあったんだろう。
 その方がいい。その方が・・・。
「兄くん・・・犯人には・・・私が・・・制裁を下しておいたよ」
「え?・・・・な、なんだって!まさか、千影おまえ、か・・・」
 俺が可憐の名前を言おうとしたとき、千影は自分の唇に人差し指を当てた。
 『静かに』の合図だ。
 俺はその指示に黙って従った。
「安心・・・してくれ・・・可憐くんには・・・手を出していないよ」
「でも、犯人に制裁を下したって、千影おまえが・・」
「可憐くんには・・・悪魔が・・・取り憑いていたよ」
「・・・え?」
 俺は一瞬、訳が解らなかった。
 あ、悪魔って言われても。
「私が・・・制裁を加えたのは・・・その悪魔を・・・使役していた・・・魔術師だよ」
「ま、魔術師?」
 な、何なんだ?いったい?
 言ってることの意味が掴めない。
 何が言いたいんだ?
「兄くん・・・この事件は・・・既に・・・ケリはついている・・・安心して・・・傷が癒えるのを・・・待つことだ」
 ベットに横になっている俺を千影は見下ろしてくる。
 その目は嘘をついてはいなかった。
「わかった・・・」
 これ以上の追求は後でも出来る。
 千影が言っていることだ。間違いはないだろう。
 その時、俺の頭の中に一つの疑問が浮かんだ。
「なぁ、千影・・・」
「なんだい・・・兄くん?」
「その魔術師は生きてるのか・・・?」
「一応・・・生きてるよ」
 千影の『一応』が凄く引っかかる。
「いったい、何したんだ?」
「兄くん・・・世の中には・・・知らない方が良い・・・物があるよ」
 ・・・・・はい。
 これ以上踏み込まない方が良いようだ。
「兄くん・・・医者を・・・呼んでくるよ。・・・それから・・・みんなに・・・電話を入れてくる」
 そう言い残すと、千影は病室を出ていった。
 とりあえずは、千影の言うとおりにした方が良さそうだ。
 もう、心配はない。あとは、俺が白を切り通せばいい。
 千影が呼びに行った医者が来るまでの間、暇だな。
 練習でもしとくか。
 目を瞑ると、俺は警察の事情聴取の練習を始めていた。

-終わり-


 後書きのようなもの。

 皆さん始めまして。パンドラと言う鈍筆の駄文書きです。
 まさか、私の初SSがこんな大きいものになるとは思いませんでした。
 始め、雷帝紳士さんから預かったシナリオを見てビックリしましたよ。
 何たってミステリーなんだもん。
 ミステリーは読むのは楽しいけど、書くのは辛いよ〜。
 「こんな表現で良いのか?」などと模索しながら書いたのがこの作品です。
 拙い文ですが、最後までお付き合いしていただいて嬉しい限りです。
 もし、ご感想などがございましたら、掲示板かメール(メールの方が嬉しい)でお願いします。


 あとがき

 純愛、ギャグ、シリアス、ファンタジー。
 シスプリのSSでよく見掛けるジャンルです。
 でも、そろそろ他のジャンルがあっても良いかな。
 そんな欲望を剥き出しに立ち上げたのがこの作品です。
 しかし、ミステリーを考えるのも結構大変です。
 結局、ファンタジーの要素を取り込んだ物に成ってしまいました。
 本格派ミステリーを愛する方々にお詫びを申し上げたい。
 「すいませんでした」m(_ _)m
 新感覚ミステリーだと思っていただければ嬉しいです。
 無茶やこぎ着け、何でも有りの私の最後の置きみあげ。
 最後までご賞味いただき、ありがとうございました。
 これで、あとがきと返させていただきます。

 2001年 5月 雷帝紳士


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