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粉雪の舞うあの場所で、雪の降るあの日に二人で・・・
D×D 殺戮に心奪われたテンシの戯言
作者 Mephiusさん
雪が、降っていた・・・・。
時間が出来ると、余計な事まで考えてしまう・・・辛い、過去の出来事まで。あの時、自分にもっと勇気があれば、幸せを壊させない力があれば。私は幸せでいられたんだ・・・悔やんだって何の解決にもならないのに、過去が変わる訳なんて・・・・・・・無いのに。
アニキは私を理解してくれていたのに、結局私はアニキの事、何も知らなかったんだ。悲しい、悔しい、嫉ましい、結果的に私はアニキを裏切ってしまったけど・・・後悔なんてしてないよ、いつまでもアニキは私のモノだったんだから!外の女なんかに絶対渡さない、アニキは私だけの・・・・・。
昔は楽しかったな、私とアニキの二人だけで、私はいっつもアニキを連れ回して・・・。
嫌な顔一つしないで、付き合ってくれたアニキ。色々な事を教えてもらった、私の中のアニキは何時だって優しかった、嬉しい時も、悲しい時も、寂しい時も・・・いつも、私の側にいてくれた
雨の降る夜道でアニキと腕を組んで歩いたこの道を、初めて愛を確かめ合ったあの丘を。忘れる事なんてないだろう、アニキと私の儚く切ない思い出、私の心の中にしか、もう残っていないんだけど、
私の心の中は永遠に残っているんだ、思い出と言う名の焔は消える事は無い
「アニキ、会いたいよぉ・・・」
頬を伝う涙で今、自分が生きている事を実感させられる。
「アニキ・・・アニキぃ、グスッ、うぅ・・・アニキぃ・・・」
二年前のあの日も確か、雪が降っていた・・・
私がまだ機械いじりに熱中していた頃、あの時も私の側にはアニキが居てくれた
家の地下にある研究室、家といってもオヤジ達はもう居ない、飛行機事故に巻き込まれて・・・
昼食を作ってくれて、二人で一緒に食べて・・・クリスマスも近いのに私達は家に居た、私に付き合ってくれなくてもいいのに〜とか言ってたけど、最高に嬉しかったんだ、
何を造っていたかは忘れたけど、アニキに喜んで貰おうと、ずっと機械を弄っていた事は覚えている
「もうすぐクリスマスだね、アニキ」
私の手元のパーツがだんだんと少なくなっていく
出かけますか?と聞き返してくる、分ってる癖に〜。
こういう性格だから、友達にも何考えてるか顔に出てくるって言われてたんだけど、アニキはそんな事無いって言ってくれてた、今思えば私の事を、ちゃんと考えてくれていた結果だったんだ。私の考えなんかお見通しだよね、アニキならさ♪
「そうだな〜少しパーツが足りないんだ・・・」
困ったような笑みはアニキの癖みたいな物、私はアニキが心から笑っているのを見たことが無かったんだ、何時もの事だったけど少し心配だったかな?
少しだけですよ?と・・・
「さっすがアニキ、行こっか?」
アニキは普段あまり話さない、親は昔から苦労していたみたいだけど、私は言いた事が分かるから、まったく問題は無かった私とアニキは・・・・。
ココロが通じ合っていたから・・・・・・・。
今までずっと・・・それは、これからも変わらないと私は信じていた。
浮かれ気分の街中を、私とアニキは並んで歩いていた。アニキは昔っからこういう所が苦手だったんだ、木洩れ日の当たる窓辺で読書してるようなヒトだから・・・私とは正反対の・・・アニキ・・・だから。
街の至る所で人の声が聞こえる、街のイルミネーション、BGM、何処にでもある風景・・・・・
アニキといられるこの一瞬は二度と帰ってこない、ダイアモンドの煌き程の価値を持つもの・・・
この季節はどこの店でもセールをやってるから、大抵の物は安くで買える
ついつい時間をかけてしまって、かなり遅くなっちゃって・・・清算を済ませて外に出る頃には空は真っ暗になっていた、何時もの事だし、アニキも多めに見てくれるよね。
黒い空から舞い落ちる純白の雪、粉雪だったが、ひらひらと舞っていく雪の姿は天使のようにも、妖精の様にも見えた。
「雪が降ってるどうりで寒い訳だ、アニキ寒いの好きだったよね?」
ええ、よく覚えてましたね?
「当ったり前でしょう?私がアニキの事を一番良く知ってるんだからね♪」
はいはい・・・
「私、寒いの苦手だなぁ、雪は好きなんだけどね」
空を舞う雪を見ている私には、悲しそうな表情をしているアニキが見えていなかった。
この寒空の下、どのくらい雪を見ていたんだろう?
体に寒気を覚えて、ふと、我に返った。
「あ、ありがとう・・・」
ここが街のど真ん中なのに、アニキは着ていたコートを私に貸してくれた
顔が真っ赤ですよ?
恥ずかしいなぁ、もう・・・皆見てるよ・・・
「もう、いいじゃない。アニキのばかぁ・・・」
はいはい・・・
私の事を第一に思ってくれているアニキが、私は大好きだった、これからも、ずっと大好きなアニキでいいてくれる、そう信じていた
「え、海?いいよ、アニキが行きたいんなら行こうよ」
突然、海に行きませんか?なんて言われた時は驚いた・・・
この季節に海に行く人なんて、ざらに居るもんじゃない、夜だし・・・
まぁ、アニキが行きたいって言うんだからいいか・・・
アニキとやって来たのは、ごく普通の港。夜景はとても綺麗だったけど・・・・・アニキ、そっちには無関心だったように思えて仕方が無かった
「帰って来ましたよ・・・」
車を降りて徐に歩き出したアニキを急いで追った、少ししてアニキが空を見上げながら呟いた
「貴方の元へ、私は・・・・・」
空を見つめながら呟いてるものだから、空に人なんている訳無いでしょう!と突っ込みを入れてしまった・・・が、アニキがこんなに淋しそうな表情をするのを、私は初めて見た・・・その時の私は自分の犯してしまった罪に気付く訳も無かった・・・
「灰が、また降っています・・・・」
悲しそうなアニキの顔、何時もと違う、優しいけれど、悲しい瞳
「雪の中の天使は貴方だけでした、いつまでも・・・貴方だけの筈だった」
「雪の中の天使?私が天使だって〜良い事言うなぁ、アニキも♪」
私が信じていたのは、永遠という名の現実、蝋燭の光の様に温かな現実・・・。
アニキは何時だって優しかったし、これからもそうなると信じていた、信じていたのに・・・。
『時として、人の優しさが、人を・・・・傷つける、貴方には人生経験が少な過ぎた・・・』
そして、目の前の現実を受け入れるのに、私はまだ幼すぎた・・・。
「貴方は今、幸せですか?」
唐突の質問、アニキは自分の考えを知りたがってる。迷わず本音で答える私に対するアニキは、降り続ける雪より冷たく、私の事を蔑むように視線逸らすと、一言・・・。
「私の事は、忘れなさい・・・」
奈落の底に突き落とされた・・・・・。
比喩であるなら、どんなによかった事か・・・・。
目の前が暗転して見えるのは闇の所為だとも気付かずに。何時の間にか私は孤独な旅人になってしまっていた・・・闇を、僅かなヒカリの欠片すら舞い込んでこない、漆黒の闇を・・・・。
「ア・・・・ニキ?」
「貴方には幸せになる権利があります・・・」
優しく微笑んでいたけど、私は泣いていた。自然と涙が溢れてくる、モウナニモワカラナイ・・・・・。
泣き顔を見られるのが嫌で、視線を逸らした先に鉄のパイプが在ったのが・・・人生最大の不幸だったのかもしれない・・・・・・・。
長く・・・・・・・とても長く・・・・・・・・・わずか数秒の時間なのに・・・・・・・
遠く・・・・・とてもとても遠く・・・・・・・・・10mと離れていない場所へと駆けた・・・・・・
「鈴凛・・・・?」
瞼に、軽く涙を堪えているアニキが、最後に見たモノは「悪魔」
思いっきり振り回した鉄パイプはアニキの顔面に直撃した、アニキは2〜3m吹っ飛んで、そのまま暫く動かなかった、体が僅かに痙攣している。近づいてアニキを仰向けにする。今度は胸に思いっきり振り下ろした。吐血して顔が血に塗れた・・・・・とめどなく、血が溢れてくる・・・・・口が微かに動いて何かを伝えようとしていた・・少なくとも命乞いをしているような、感じではなかった。それからも、しばらく私はアニキを殴り続けた・・・ただの肉片と化すまで、ずっと・・・・・
「・・・・・・・・・・?」
頭の中で何かが蠢く・・・・・とても、キモチワルイ感触
私に何かを語り掛ける・・・・・とても、懐かしい感触
私が私に語りかける・・・・・・とても、淫らな感触
そう、この雪降る空の下で・・・・・・・・・・・・・・・・アニキが私に囁いた、あの言葉!!
『私の事は忘れなさい・・・・・』
「嫌だよ、絶対に忘れない」
『どうして?』
「アニキの事が好きだから」
『どうして?』
「アニキと一緒に居たいから」
『どうして?』
「アニキの温もりを感じでいたいから」
『ならば問おう、なぜ私を求める』
「にいさん、だから」
『貴方には私が必要なのか?』
「にいさん、だから」
『必要なのか?』
「当たり前だよ、アニキは私のモノなんだもん」
『本当にそうなのか?』
「当たり前だよ、アニキは私もモノなんだもん」
『貴方にとって家族とはなんだ?』
「必要なモノ」
『貴方にとって自分とはなんだ?』
「要らないもの」
『貴方にとって兄とは何だ?』
「私だけのモノ」
『本当にそうなのか?』
「・・・・・・・」
『本当にそうなのか?』
「ぃゃ・・・・・・・」
『本当に・・・・』
「嫌だって言ってるでしょう!!!」
『ほ・・・・・・と・・・に・・・・・・・のか・・・・・・?』
「いやぁぁぁぁ!!!アニキなんて嫌い!!!大嫌い!!!」
『本当にそうなのか?』
「そうよ、アニキなんて大ッ嫌い、顔も見たくないわよ!!!」
『それでいいのだ・・・鈴凛』
「ハァ・・・・ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・・・」
やがて、アニキは動かなくなった
動かなくなった
動かなく・・・・・なった
私の中で・・・動かなくなった
どれほどの時間が経っただろう、私はアニキだったモノを引きずって車に戻り、当てもなく街の闇を彷徨った。車のナビシートにはアニキが座っている・・・・動かないアニキが・・・・・・コワレタあにきガ・・・・・・・
やがて、雪原に広がる小さな教会に辿り着いた。神秘的な感じのする、アニキの好きだった教会。私の大嫌いな場所・・・・・アニキのいない教会なんて詰まらない・・・・・・・・・ウザイ・・・・・・消してしまおう。
私はアニキを車に残して一人教会内部に入っていった。
蝋燭の明るい灯火に照らされて、内部は結構明るかった、私には何も感じる事が出来なかった。普通なら綺麗だとか、幻想的、神秘的だとか感じるんだろうけど・・・・・中途半端に明るい出来損ないの教会・・・・・・・・もっと明るくしてやろうか・・・・・・・!!
それから起こった事をあまり話したくはない、教会にいた牧師とシスター、訪れていた客合計13人を撲殺して火を放った所までしか覚えてないんだけどね、ハハハハ・・・・・・ははは・・・・・・・
もう・・・・・疲れたよ、アニキ・・・・・・・
焼け爛れた皮膚、熱で燃えてしまった髪・・・・・・・・辺りには沢山の骸骨が転がっている・・・・・・・・。
私とアニキはその光景を、地獄の炎の残り火を、飽きるまでずっと眺めていた・・・・・・。
初めは教会近辺の丘の上から、次に教会内部の祭壇の上から・・・・
「綺麗だね・・・・・アニキ」
「・・・・・・・・」
数時間前まで生きていた人間が、動かないでただ『存在』している。
「ほら、燃えてるよ・・・・・・」
「・・・・・・・・」
もう、火は消えてしまっている、だけど、私のココロには強く焼きついて離れようとしない・・・・・・・
「フフフフフ・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「神様なんて、いないよね?」
「・・・・・・」
「答えてよ・・・・・・・・・」
淋しい・・・・・・・
「・・・・・・・・」
「答えてって言ってるでしょう!!」
「・・・・・・・・」
力任せにアニキの首を放り投げた、傍らに立っていた杉の木にぶつかり、鈍い音と共に雪の上に落下した。アニキの目はしっかりと見開いている・・私だけをずっと見ていてくれる・・・・・・・・。
「ああ、ゴメンねアニキ。痛かった?」
目からは、とめどなく涙が溢れてくる。自分の『存在』を流してしまうほどに・・・・。
『愛を表現できない不器用な男を見ていられなかった』・・・・・と
どこかで、誰かの声がした・・・・・・・・・・・・・・・・・
「アニキ・・・アニキなの?」
誰もいない、漆黒の闇に少女は繰り返し、繰り返し語りかける。
生気の感じられない瞳・・・・・・兄の名前を呟くその一瞬だけ光が灯り、また消えてゆく・・・・・・・・。
この闇の中に、少女は何を追い求めるのだろうか?
頭に浮かんでくるのはアニキの優しい顔だけ・・・・・私だけを見つめてくれる、あの瞳
「鈴凛・・・」
優しい、あの声
何時だって私を護っていてくれていた
アニキの腕に抱かれている時だけが生を実感できた
アニキの声を聞いている時だけが幸せでいられた
アニキと時間を共にしていれば私は鈴凛でいられた
「風邪を引きますよ・・・」
ハッとして後ろを振り返る、
幻じゃない、本物のアニキ・・・・・・・手がもがれ、顔が潰れ、内臓の飛び出しているアニキ・・・・・。
辺りにはもう、腐乱臭は漂っていない、今も尚振りつづけているこの雪のお陰だろうか?
「会いたかったよ、鈴凛」
自分で呟き目を瞑る、瞳の奥に変わらぬ兄を見つける事ができた
優しく微笑む兄の姿を思い出す、そこにあるのは虚無の闇ではなく、優しいアニキ
「逝きましょう、鈴凛」
意味を取り違え、自らの未来を委ねてしまった事は、幸と取るか不幸と取るか。
兄を信じ、兄のみを愛し続けた哀れな少女に、せめて・・・安らかな死を・・・・・・・・
「アニキ・・・」
あの丘の上、闇に佇むアニキを捕まえようと、迷わず私は地を蹴った、虹の先に有ると信じていた明日への・・・・・・片道切符を手に入れる為に。
蝋燭の光が辺りを照らす・・・・・・温かみの有る光の中に人影が4つ・・・・・
楽しそうな話し声が聞こえるが、その中の二人は先程からピクリとも、動かない・・・・・よく見れば、人間の亡骸が2体・・・・・薄っすらと亡霊のように輝いていた。
その横で、幼さの残る少女と男が一人・・・焦点の合わない目で見詰め合い感情の篭りきらない声で談笑をしていた。
「ねえ、お兄ちゃん、次のお話は?」
感情の篭っていない声・・・・・・焦点の合わない虚ろな目で、棒読み口調で話している
男は『瞳を輝かせている少女』の頭を軽く撫でて、一呼吸置くと。
「・・・・・・・・そうだな、悪魔に魂を売った、少年の話をしよう・・・・・・・・」
END
あとがき
ちょっと短かったかな?Mephiusです。
推敲が足りません。ええ、それはもう・・・・・・
今回の鈴凛は自分の人生の理想を重ねてみました、人の考え方は多々有りますが、私の考えを理解していただければ光栄です。
外の作品に比べれば見劣りしておりますが、読んで頂き、誠にありがとうございます。
それでは
Mephiusさんへの感想はこちら
kyochin@po.minc.ne.jp
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