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妹たちのクリスマス鞠絵編
〜ダテにあの世は見てねえぜ!〜

作者 高機動カメさん


・・・。なんかえらいサブタイトルをつけてしまった。
意味不明な事を考えながら歩く俺。
そんな俺の隣には妹の鞠絵。
そして、俺の下らないことを考えてる思考にかなり不似合いで綺麗な、夜空に無限に広がる星々。
クリスマスが近いだけあって町中は煌びやかなイルミネーションに彩られ、親についてまわってはクリスマスプレゼントを早くも催促する子供や、クリスマス目前にいい雰囲気なカップル、何故か女性にチョークスリーパーをかけられて首が『ゴキャッ』などと言っている男性・・・そんな感じで街は賑わっていた。

「・・・しかし何か妙に不吉なものを最後に見せられたよーな・・・」

背筋に冷たい物を感じ、ぼやきながら歩く俺。
俺たちが何故こんなトコを歩いているのかというと別にデートとかそーゆーのでもなく。単にパーティーに参加した後の帰路である。何故か全員激・可愛い妹と、その妹を持つ兄で構成されたパーティーだったがそんなんも今は関係なく。しかし病弱な鞠絵がそれを活かして一発芸大会で壮絶な吐血芸を見せたのには驚いたな。流石に。命を張った芸までやる魂、兄ちゃんはしっかり受け取ったぞ。
・・・。
っていうか・・・。芸だよな? 鞠絵?
そんな感じでつい先ほどまでの喧騒を思い出し、物思いに耽りつつ帰路を歩く。
・・・15kmほど。
何故にそんな遠くまで歩くのかと言うと金がないのだ。鞠絵の分っていうか一人分の交通費はあったんで「俺は歩いて帰るから鞠絵は電車で帰れ」と言ったのに「わたくしは兄上様が歩くならわたくしも歩きます」と来た。どうしたものか。普段は分別のある出来た妹なのだが。そしてそんな俺はよく『兄馬鹿』と呼ばれる。

「んー・・・で、まだ歩く気か? 鞠絵」
「はい」

・・・マジですかー・・・。大丈夫か鞠絵ー・・・。
とりあえず、ま、いっか・・・。
・・・。
鞠絵がぶっ倒れなければ。
こら不吉ばい・・・。

―――――そんなこんなで時は過ぎ。

「・・・疲れた」

15kmにも及ぶ大冒険を経て家に辿り付き、玄関先に倒れ込んでの一声。もう足はガタガタである。最近あまり運動してなかったからな・・・。家から出かけようと思っても鞠絵を一人で家に置いておくのもの病気が心配だし・・・。
・・・ちなみに・・・俺たちの家に母親は居ない。鞠絵と同じく病弱で、鞠絵を産んでから、鞠絵が物心もつかない内に他界した。父親はいるのだが仕事の都合が都合なので夜遅くまで帰ってこない。要は大抵家には俺と鞠絵しかいないというコト。まぁ俺が親代わりのようなものだ。まぁそんな事は・・・今更、どうなるわけでもない・・・どうでもいい話なのだが。
・・・(玄関先で)そんな感じのシリアス気分にすっかり浸りきっていると隣には鞠絵が居た。やはりまぁこれだけ歩いていると元気もなくなるよな。鞠絵は、生きてる人間と思えない真っ青な顔をしていた。いやそれに何かエクトプラズムっぽいのが半分くらい出てってるし。あ、全部出てきた。フーン、キラキラした輪っかを頭の上につけた鞠絵も天使みたいで可愛いなぁ。こんなトコが俺の兄馬鹿と呼ばれる由縁かも知れんがまあいいや。ていうかいつの間にそんな真っ白な服に着替えたんだい鞠絵? ん、なんだなんだ。鞠絵、空も飛べるようになったのか。うーん、だけど天井をすり抜けようとしているっていうかすり抜けてるのはいかがなものかと。でもアレって霊体ってコトか・・・鞠絵死んだってコトかな? ああ、幽体離脱ってヤツか。
・・・。
・・・。

「鞠絵ーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!」

とりあえず俺も幽体離脱。


―――――――――――――――



「・・・地獄絵図っつーか、そのまんま地獄ってヤツ?」

目の前の風景を見て、一言。
とりあえず勢いだけで俺も幽体離脱。そして鞠絵を追っ駆けて上に昇ってったらこの風景。即ちあの世。さっき鞠絵同様頭に輪っかくっ付けてるが服は着てないというわいせつ物陳列罪で逮捕されそうな可愛らしい天使も見てきたところだ。そんでもってわいせつ物陳列罪天使に色々言われた挙句何故か俺たちは今地獄に落とされている。わいせ(略)使によれば罪状がどうのこうのとか。

「ふっ・・・。浅葱ン所の千影も居ないってのに地獄になんざ来るとはな・・・しかもクリスマス間近・・・」

ふと、先ほどまでの喧騒の最中に居た一人の男とその妹の姿を思い出す。あの男からしてみればきっとまぁ別に魔界だろうと地獄だろうとそんなに珍しくはないのだろうなぁ。とか思ってみる。ああ短い人生だったなぁっていうか勢いで幽体離脱して地獄に叩き落されて死ぬなんて嫌過ぎさ。
半ば思考があちらの世界に向かっていた俺を隣にいた鞠絵が怪訝そうに見ると、俺を安心させるようにか、にっこりと微笑み、

「そういえば兄上様は来た事なかったんですね」
「そのセリフはツッコミ募集か」

っていうかそれ以前に帰れるのか。いや、帰してください。こんな形で人生の終焉なんてあんまりです神様。でも神様、さっき述べた罪状に『宿題忘れ』ってありましたけど宿題忘れも地獄行きの切符となりうるって言うのもあんまりです。帰ったら友人たちに教えてやらないとなぁ。まぁそら帰れたらだけども。っていうかもう帰ったら『ダテにあの世は見てねぇぜ』とか言いたいな畜生。

「・・・くそう、神様なんかチェーンソーで真っ二つにしてやる・・・」

危なげな考えが混じり始めた俺。そしてそんな錯乱状態の俺の隣にはやたらと冷静な鞠絵。そして錯乱した心の中の微かな理性を駆使して俺は鞠絵の冷静さが場慣れから来る物では無い事を祈っていた。
そんな折。

「ところで、兄上様。ここからは帰るおつもりですよね」
「帰れるのかっつーの」
「閻魔様に事情を話せば手配してもらえる筈です」
「何故分かる」

・・・経験済み?
嫌な予感が脳裏をひとしきり巡り回った後、『まぁいいや』で済ます自分が居たのが何か嫌だった。ていうか閻魔様ってそんなアホな。

―――――――――――

「YEAR! 良い子の味方閻魔様だァよ! 元気してたかい!? チェキラー!!」

・・・アホだった。
ていうかまぁ確かに良い子の味方といえなくも無いのかも知れんが。しかしそれは王様の厳格は伴わずただただハジケていた。ハジケとも何か違う気もする。
そして横に居た部下っぽいのが何かしら耳打ちすると閻魔(俺はもうコレに対して『様』は付けられん)は急に不必要なほどにキリッとなってビシッとこちらを指差し

「帰れバッキャロー」(閻魔
「帰せバッキャロー」(兄
「ここで暮らしてもいいのでh「「なんでやねん」」」(鞠絵(兄+閻魔

終いには閻魔は部下にハリセンでぶっ叩かれている。本当に上司かお前。
・・・何か凄く疲れる。
ていうか本当にこれはクリスマスSSなのであろうか。っていうかそれ以前にクリスマスの情景であろうか。ああ、気が遠くなってくYO。

「コホン…。兎に角、貴様らは生きているというのに霊体になって勢いだけで…」
「うんうん」

嫌な予感こそしていたもののそこまで真面目ならまだマシだなぁとか思い始めた自分の感覚に多少の恐怖を覚えたが鞠絵は相変わらず冷静。
・・・。
っていうか鞠絵。何故そんなに地獄の人々と親しい。何故何年か前に見知った仲の友達のように話しているのだ。
問い詰めたかったが何となく怖いので中断。

「・・・全然聞いてないとワシ寂しいんだけどー・・・」

イジケ始めた閻魔。汗垂らしながら閻魔になにやら話し掛ける部下。そんなんそっちのけで思索に暮れる俺。相変わらず地獄の人たちと時折元気な笑い声を上げながら談笑する鞠絵。
そんな感じで全員が見事にすれ違いまくり、それぞれの思惑が空回りするばかりの状況が続いていた。
部下の方が閻魔を宥めるのを中断してこっちを見ると、

「すみません・・・今回の『閻魔当番』のコイツが寂しがりやで・・・」
「『当番』ってなんだ『当番』って」
「一週間交代制です」
「大丈夫か地獄」
「安心してください兄上様、閻魔様はコレといって仕事らしい仕事は何もしません」
「ますます大丈夫か地獄」

悪化するばかりの俺内部の地獄行政状況の想像。
これでは中学生、それどころか小学生程度の知識で改革がなされてしまいそうだ。

「・・・っていうか早く話進めたいんですけど」

ああ、まともな精神と思考を持つ人間が俺と鞠絵しかいないというのは皮肉だなぁ。全然話が進行しないじゃないか。
・・・何か周囲全体の首どころか空気までもが大きく横に振れた気がしたが無視した。
とりあえずイジケ閻魔は無視して部下の方が話をし始める。

「えと、とりあえず死んでも居ないのにここに来られてしまった方は地獄特急『ゴートゥーヘル』でお帰りになれます」
「何だそのネーミング」
「『ゴートゥーヘル』は地獄に帰ってきてしまうのでは」
「あれ、そういえばそうです。どれでしたっけ・・・」
「地獄特急『ゴーゴーヘヴン』の途中下車で地上には帰れますよ」
「だから何だそのネーミングっていうか何故分かる鞠絵」

もう言及するのは止めだ。もうやってられん。それに何度も同じネタを乱発するのはいけないだろう。
・・・いや、俺はネタのつもりでやっているワケではないのだが。

「・・・兎に角その『ゴーゴーヘヴン』ってのに乗ればいいんだな?」
「ええそうです。でも途中で降りないと天国行きですからね」
「そうと決まったらさっさと行くぞ鞠絵」

鞠絵の手を引っ張ってさっさと離れる俺。もうこんな場所には居たくない。
そんな時耳に遠く響いた部下Aの声。

「駅までは(自主規制)kmありますからねー」
「もうちょっと場所考えてから駅作れー」

一言だけささやかな反論をしてから去っていく。まだ閻魔はイジケている。もう知ったこっちゃないが。でもああ、鞠絵が倒れでもしたらどうするのさそんなに歩いて。

「・・・大丈夫か? また歩いて・・・」
「大丈夫ですよ兄上様、途中に休む所もありますし・・・」

・・・突っ込まない。何故知っているとか突っ込まないぞ。
俺はその鋼の決心を胸に・・・

「この地獄巡り、以前もしましたがなかなか楽しいんですよ」
「以前もって何だーーーーーーーー!!!!!!」

ガガ――――――ン

鋼は結構脆かった。

「・・・でも鞠絵、こんなトコ歩いてて大丈夫なのか・・・? 病気とか」
「安心してください兄上様。地上の方にも伝わっているとある有名な詩にこういうものがあります・・・」

ゲ、ゲ、ゲゲゲのゲ
夜は墓場で運動会
楽しいな 楽しいな
お化けは死なない
病気も何にもない

「・・・というわけで今わたくしは健康体なのです」
「返答に凄く困るんだが」

そんなこんなで俺と鞠絵の地獄巡り開始。お化けは死なないので安心。

「兄上様見て下さい・・・魔界植物です」
「まぁ見りゃ分かるっていうか何でさも当然とばかりに触手に捕らえられているのだろうか俺」
「お腹がすいているからでしょう・・・ああかわいそうな魔界植物さん」
「止めろその呼び方でそのセリフは」

妙に冷静な俺。結局食われて思い切り胃酸に晒されたがお化けは死なない。

「次はあそこへ行きましょう兄上様」
「遊園地のアトラクションのノリで針の山を選ぶな」

結局登ったが幾ら針が刺さってもお化けは死なない。

「温泉でも入りましょうか」
「血の池地獄ってのは地獄の言葉で『温泉』なのかっていうか熱ちぃぃぃぃぃーーーーーーっっ!!!!!!」

微妙に読者サービス。でも挿絵なし。無茶苦茶熱いがお化けは死なない。

「こんなものでは明日の試合には勝てんぞ!」
「もうダメです先生・・・!!」
「甘ったれるな!! 後三周ダッシュ!!」

体力的に死にそうだがお化けは死なない。


「クリリンの事かぁぁーーーーーーーっっっ!!!」

死闘フ○ーザ様。でもお化けは死なない。

「・・・!!」
「・・・・・・・!」

とりあえずお化けは死なない。

「・・・何か途中から別のヒトが別のコトしてた気がするが」
「気の迷いです」
「そうか?」

そしてここで俺は今までを振り返って見て、意図的に触れなかった部分に気がついてしまう。

「・・・あのさ、『お化けは死なない』で俺たちが死なないって事は俺たちってもうお化け?」
「ええそれはもう」

・・・。
ああもう嫌さ。
とりあえず帰りたいさ。

「・・・そんなこんなでダッシュないやダッシュとは言わずとも急ごうな」

グッと親指を突き立てて一言。

そんなこんなで行進再開。

そして歩いている内・・・。
何だか・・・鞠絵と一緒にここを歩いているのは、なんだか・・・懐かしい気がしてきた。既視感・・・『デジャ・ビュ』とでも言ったか。辺りの風景を見回しながら鞠絵と一緒に歩いているとそんな物が感じられた。
・・・。
気のせいでありますように。
だって昔ボクは妹の鞠絵と地獄巡りをした事があります。なんてシャレになったものではないではないか。

・・・とそんなこんな考えてる内に・・・

「ようやく駅か・・・」
「楽しかったですね」
「いや同意を求められても困るが」

駅・・・建物の構造はワリとまともっぽいので多少安心した。ここまで来るとまた建物も変なモノかと踏んでいたが。

「そういえば兄上様、もうそろそろクリスマスのようですが・・・」
「ン? クリスマスまではまだ時間もあるじゃねーか」
「いえ・・・地獄は地上より一足早く・・・クリスマスがやってくるんです」

にっこりと微笑みながら言う。
・・・フーン・・・。じゃあ、俺たちは今年はクリスマスが二度巡ってくるんだな・・・。ま、たいした事でもないけど・・・いいかな。
しかし・・・

「・・・そういえば何で地獄の方が先にクリスマスが先に来るんだ?」
「それは地獄全体の時計と日付がズレているのに誰も気がつかなかったので標準時自体がずれているためです」

やっぱオチつきかよ。気分台無しだ畜生。

「・・・とりあえず帰るぞ」
「あ・・・兄上様、雪です・・・」
「・・・ん」

鞠絵に言われて俺も空を見上げる。空(?)からは真っ白い雪がこんこんと降っていた。地上のそれと全然変わらない雪。

「・・・地獄でも雪なんて降るんだな・・・地獄のホワイトクリスマスか」
「幻想的で・・・ロマンチックですね・・・」
「・・・」

同意できなかったダメ兄の俺を許してくれ。鞠絵。

「とりあえず・・・それなりに良い気分になった所で、どっかから気分を害する物が飛んで来ない内に電車に乗って帰るぞ」

結構切実だったりする。
微笑を伴った軽い溜息一つを漏らし、空を見上げていた視線を戻し、鞠絵の手を引き、ホームへと歩き出す。そしてその先に俺が見た物。

「・・・」

こんこんと雪を降らせる人工降雪機。そしてその機械に書かれた文字

『メリークルシミマス』
「・・・」
「・・・」
「ファッキーン」

とりあえずドロップキックで大破。



「・・・実に色々あったが、何とか地獄旅行も終わりを告げたか・・・」
「名残惜しいですね」
「すまん鞠絵同意しかねる」

ワリと本音。

「しかしもうすぐ・・・地上のほうでもクリスマスですよ」
「ン・・・そうか。帰ってからどれくらいになるかな・・・」
「いえ・・・」

電車が徐々にブレーキをかける音が聞こえる。

「・・・丁度、ですよ。兄上様・・・」
「ふーむ・・・」

どうやら地上にたどり着いたらしい・・・が、電車の姿は既にそこにはない。俺たちは人気のない路上・・・というより、路地裏に居た。
空からは・・・雪。紛れも無く、真っ白で、汚れ無い雪。一応辺りを見回しても人工降雪機とかはない。夜空の暗さを照らすように白く光りながら落ちてくる雪。
鞠絵は雪の白さを少し眩しそうに、目を少しだけ細めて見ている。

「メリー・・・クリスマス。だな」
「はい・・・」

暫くの間・・・俺たちは雪の中でも構う事なく雪を眺めていた。

・ ・・そして、自分たちがまだ霊体のままであることに気が付くのはもう少し先。
・ 更に、玄関先に倒れていた俺と鞠絵の体が二つして重なって倒れていた構図になっていたので暫く回覧板は回ってこなかったのももう少し先で・・・一応これらはまた別のお話である。一応。

とりあえず終わるけどエピローグへ続く

あとがきっぽい文字の集合体A(あとがき

はいどうも、かなりの冷却期間を取っていた高機動型カメです。今回は凡そ4ヶ月ぶりの投稿なので(汗)とりあえず色々な話と言う程でもありませんがエピローグに何かと書いてあるので後はそちらで。
・ ・・このあとがきの意義を追求されると困りますが。
・ あと、こちらにも書いておきますが、意見や感想など、もしありましたら是非お寄せください。きっともらった時にはディスプレイの前で狂喜乱舞しています。・・・。そして、とりあえず辛口批評でも構いません、というかいい加減このレベルからの脱出を図りたいので辛口の感想大歓迎です。それで自分が凹んだら凹んだでまぁそれはそれです。その程度って事です。


高機動カメさんへの感想はこちら
mahha215@hotmail.com
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