|
前 戻る 次 |
|
|
鈴凛の値段
作 雄一さん
「アニキぃ・・・お願いがあるんだけど・・・」
「・・・・・・」
鈴凛のいつものおねだりが始まったようだ。
こういうときは相手が話の内容を言い切る前に答えた方が相手にかなりのダメージをあたえることができる。
「却下・・」
「うぐぅ・・・・」
鈴凛は120のダメージを受けた・・・ってところか。
ダメージを受けた鈴凛はお茶を持ってきたメカ鈴凛に泣きつく。
「メカ鈴凛・・・アニキが冷たいよぉ・・・このままじゃあ私達飢え死にだよぉ」
「んな大げさな・・・」
「まあアニキ様・・・そんなに冷たくしなくても」
「一番の金食い虫に言われたくない」
「ひっひどい・・・あんまりです・・」
「そうだよアニキ・・・このままじゃあメカ鈴凛のオーバーホールはおろかパワーアップも出来ないし・・」
「充電用のバッテリーも買えずに私は機能停止・・・倉庫の隅でほこりを被ってしまうのですね」
「・・・・・・・・」
またまたお馴染みの泣き落としだ。こんなのに引っ掛かるほど俺はアホではない。
まあ別に援助できないわけじゃあない。
この前の企業の契約ではたんまりと報酬が手に入ったし、このお金で今度は工房をリニューアルしようと考えているところだ。
じゃあ何故援助しないかって?
甘やかしはよくないということだ。
これも大人になるための試練というわけだ。
「アニキぃお願いだよぉ・・・」
「だめ・・・だいたいこの前貸した五千円・・・利子つけて返してもらってないぞ」
「うっ」
「あの時お前は返すって言ってたよな・・・・証拠だって」
パソコンを操作して音声ファイルを読み出す。
(絶対に利子つけて返すからさあ)
音量を最大にして鈴凛に聞かせる。
「あ・・あははははははははは・・・」
「あはははははじゃないだろ・・」
「ううう・・・」
「・・・・・・」
しかし・・・良く考えたら鈴凛はまだ中学生・・・アルバイトができるわけじゃないし五千円ってのも彼女にとってはかなりの大金だ。
それを利子つけて返せって言うのもかなり無理がある。さーてどうしたものか・・・
「ねえお願い・・・せめてメカ鈴凛の充電費用だけでも・・・」
「お願いしますアニキ様・・・胸触らせてあげますから」
「おいおいおい・・・」
さてどうしたものか・・・
うーん・・・そうだ!この手で行くか。
「よしわかった」
「え?じゃあ」
「その代わり・・俺の条件を飲むんだぞ」
「うんうん・・・なになに?」
「お前の今まで作った発明品を俺が買い取ってやる」
「え?」
「まあ実用的なものがあれば高値をつけるし・・・」
「本当?」
「おう」
「わかった!!じゃあ早速持ってくるね。いくよ、メカ鈴凛」
「はいマスター」
鈴凛とメカ鈴凛は早速家に戻り、発明品をリアカーに乗せて持ってきた。
ほお・・・あれが俺の金のなれの果てかぁ・・・・。
なにやらややこしい機械がたくさんありそうだけど。
「さて・・・どれからいこうか・・・」
「お手柔らかに頼むぜ」
鈴凛はリアカーから発明品を取り出す。
「これはメール君といって手紙を相手に運んでくれるという画期的なロボットなんだ」
「こっちはシザー君、どんなお好みの髪型にもカットしてくれるんだぁ」
「ええっとメカ鈴凛の初期型見たいな物だね。その名もお茶くみ君、いつどこでも熱いお茶を入れることができるんだ」
次々と発明品が紹介される。
うーん・・・見たことのある物もあればはじめてみる物もある。
そして全ての発明品が紹介され鑑定に入る。
ちゃらららっちゃっちゃ〜〜〜〜〜(鑑定団のテーマ)
「で・・いくら位がいいんだ?」
「んーとね少なく見積もってもこれくらい・・・」
鈴凛が電卓を入力して俺に見せる。
・・・・おい!!!!
なんか桁が多いぞ!!
せめて中学生らしい桁にしろよ・・。
「・・・・・・残念・・・・鑑定の結果・・・これぐらい」
俺は鈴凛の電卓を借りると桁をいくつか減らす。
「えええええええ!!これだけ」
「おう・・・まあそれでもサービスした方なんだから」
「うううううう」
「まあこれぐらいあれば・・・って鈴凛?」
「アニキ、+メカ鈴凛でならどう?」
「・・・・ついにメカ鈴凛を差し出すか」
「マスターひどい・・・残酷・・・」
「どうなの!!」
「う・・・・ん・・・これぐらい」
俺はまた電卓を操作して鈴凛に見せる。
「それでもダメぇ?」
「・・・・うん・・」
「くすん・・・マスターひどい・・」
「安心しろメカ鈴凛、俺がたっぷり可愛がってやる」
「本当ですか?」
「おう、鈴凛以上にな」
「ちょっと待ってよぉアニキ」
「・・・・どうするんだ、メカ鈴凛売るか?」
「・・・メカ鈴凛の変わりに私を売る!!」
「・・ほうほう」
「私ならアニキの手伝いができるし、料理や掃除、お茶くみだってできるし・・」
「・・・・・」
「これでいくら?」
「はあ・・そんなにお金欲しいのかよ」
お金が欲しいって言ったって・・自分自身を売るほど切羽詰った状況なのか?
それに人に値段なんてつけられるかよ・・・人間に値段をつけたらそいつはそれだけの価値しかないって言う事になる。
「今欲しいのはいくらなんだ」
「えっと・・・アニキへの借金返済と、メカ鈴凛のメモリー」
「なんだよ・・・バッテリーとか何とか言っておきながら結局必要な物はそれだけかよ・・」
「うう・・」
「・・・しょうがない、借金の利子は勘弁してやる、それにさっきの俺が出した値段でメモリーは買えるだろ」
「うん・・」
「じゃあそれで諦めろ、いいな」
「はあい・・」
俺は金庫の中からちょっと多めにお金を取り出す。
まあちょっとはおまけしないとな・・結局俺って鈴凛に甘いんだな。
「ねえアニキ・・」
「ん?」
「正直な話し・・・私はいくら位?」
お金を財布にしまいながら鈴凛は真剣な表情で聞いてきた。
真面目な表情でおかしな事を聞くもんだから・・思わず笑ってしまった。
「ははは・・・うーんそうだなあ・・」
「いくらなの?」
俺は鈴凛を抱き寄せ耳元で囁く。
「地球一個」
「・・・どういうこと?」
「・・こんな可愛いくて大切な子に値段なんてつけられないってことさ」
そう囁き、顔を真っ赤にした鈴凛にキスをした。
雄一さんへの感想はこちら
yuuiti53@hotmail.com
前 戻る 次