|
前 戻る 次 |
あなただけを・・・
作者 健一さん
ずっと見ていたあなた・・・・
近くて遠い存在のあなた・・・・
どうして振り向いてくれないの・・・
こんなにお兄様が好きなのに・・・・
朝・・・窓から心地よい日の光が入る。今日もいい天気みたいだ・・・休日だし・・・もう少し寝てるか・・・・・。
ごろ(寝返りうつ音)
むに(何かに触れた音)
「むに?」
俺は不自然な感触に驚く。そしてまだ目覚めきっていない頭脳をフル回転させる。・・・・・この感触は?
「ううん・・・」
声?聞きなれた声が聞こえる。この声はいったい・・・?まだ目覚めない頭脳をさらにフル回転させる。「むに」で聞き覚えがある声で・・・今布団の中にいる物・・・・?そしてある一つの結論に達する・・・・・おいおい待てよ・・・いくら俺でも・・・そんな事・・
昨日は友人に誘われ合コンにいったけど・・・あまり興味なかったし・・おごりだったし・・・悪酔いしない程度に飲んで友人を泣かせて・・・・家に帰って・・・咲耶が作ってくれた茶漬けを食べて・・・風呂入って・・・咲耶が背中を流すと入ってきて慌てて追い出そうとしたけど結局背中を流してもらって・・・風呂出て・・歯を磨いて・・・明日が休みだって事を確認して・・・布団に入って・・・目を閉じて・・・。そっから先は覚えてない・・・もしかして寝ぼけて・・・・いいやありえない・・・こう見えても寝相はいい方だし。
「なら決まりだな・・・」
そして次の行動へ移す。
「咲耶!!起きろ!!」
俺は隣にいる咲耶を起こす。どうやら夜中に忍び込んだようだ・・・・蒲団をめくるとパジャマ姿の咲耶が自分の枕を抱いて寝ていた。・・・・こう見るとかわいいんだけど。
「・・・ううん・・・あ・・・お兄様・・・おはよう」
「おはようじゃない・・・何でここにいるんだ?」
「いいじゃない・・いたって・・何か困ることでも?」
「そう言う訳じゃないけど」
「ならいいじゃない・・・」
「・・・・・もういい・・さっさと俺のベッドから降りろ」
咲耶は素直にベッドから降りる。いつもと言うわけじゃないが・・・・いつの間にか隣に寝てることが多い。咲耶は誰が見てもモデル並みの美貌だし頭もいいしどっからみても完璧な女の子・・・・のはずだが・・・神様は悪戯好きらしい。こんな完璧に思われる咲耶だが一つだけ欠点、それは重度のブラコンということである。いつから好きになっていたのかわからない・・・・でも・・最近では諦めている。それどころか咲耶を異性として感じ始めてしまったし・・・しかも血の繋がりのない妹ときている。咲耶はそのことは咲耶は知らない・・・。咲耶のアプローチは嬉しいけど・・・もう少しおしとやかになってくれないかな。周りのこととか考えてさ・・・まあ今更そういったって言うこと聞くわけもないし。咲耶を部屋から追い出すと着替えをする。ふとカレンダーを見ると・・・・・
「咲耶の誕生日・・・・」
12月20日・・・・今日は咲耶の誕生日だ・・・昔なら咲耶は俺にプレゼントをせがむのだが最近では大人になったのかめったにそんなことはしない。そうか・・・・誕生日か・・。
「・・・・・プレゼントか・・・」
去年は確かネックレスを送ったっけ・・・・今年は何がいいのかなあいつは・・。そんなことを考えながらも財布の中身を見る。多少は入っているがこれでは咲耶の満足するプレゼントは買えない。まあ銀行に行けば積み立て貯金があるから何とかなるが。さて・・・何を買ってやろうか・・。
「そろそろ・・・言わなきゃいけないかな・・」
「お兄様覚えていらっしゃるかしら・・・・」
私は朝食の用意をしながら考えていた。毎年欠かさずにプレゼントをくれるお兄様だけど今年は何をくれるのかしら。
「去年は確かネックレスだったし・・・その前は二人で旅行に行ったし・・・・」
私は今年のプレゼントをあれこれ考える。
「・・・・いけない!!」
ふと考えるのをやめてフライパンを覗く。・・・・あちゃぁ・・・少し焦げちゃった・・・こっちは私の分ね・・・焦げてないほうがお兄様・・。
「おい・・咲耶・・・焦げ臭いぞ」
着替えを済ませたお兄様が台所に入ってきた。
「だっ大丈夫・・・だよ」
「そうか・・・」
そういうとお兄様は席について新聞を広げる。その間に朝食の用意を進める。まるで夫婦みたい・・・いつまでこんな日が続くのかな・・・私はふとそう思った。わたしはお兄様のことが好き・・・たとえ血の繋がりがあっても・・・。いつ好きになったのかわからない、でも気がついた時には好きになっていた。幼いころからずっと一緒にいてどんなことをするにも隣にはお兄様がいた。兄妹が結婚できないってわかった時は部屋にこもってずっと泣いていた。そんな時でもお兄様は私を慰めていた。学校で色々な男子生徒が言い寄ってくるけどお兄様と比べたら月とすっぽんに思えるぐらい好きになっていた。友達は勿体無いって言うけど・・・・お兄様以上の男の人はどこにもいないわ。だから私は決心したの・・・たとえ地獄に落ちようともお兄様を振り向かせるって。
「咲耶?」
「え?」
「食べないのか?」
「ううん食べるよ」
私たちは食事をはじめる。
「なあ咲耶」
「なに?」
「今日暇か?」
「うん」
「そうか・・・」
「それってデートのお誘い?」
「んなわけないだろ・・・・ご馳走様」
お兄様は食事を終えると玄関に向かう。
「どこ行くの?」
「ちょっとな・・・昼には戻る」
「ええ〜」
そういうとお兄様は出かけてしまった。せっかくの休みなのに・・・二人っきりで過ごしたかったな・・。
「・・・考えてみれば」
考えてみればお兄様って彼女の一人ぐらいいたっていのよね・・・顔はいいし頭はいいし、料理もできるし・・・。お兄様は妹の私よりもその人のほうがいいのかな・・・。それでもいいけど・・・離れたくない・・・離れたくないよ・・・。
「さーてどうしようかな・・・・」
俺は町をぶらぶら歩きながら考えていた・・・咲耶へのプレゼント・・・・何が一番喜ぶかな。店のウインドウを見ながら考えた。・・・・誘えばよかったかな・・・そうすれば何がほしいかすぐ聞き出せるんだけど。
「・・・・まああいつがびっくりする顔も見たいし」
そんなことを考えつつ咲耶へのプレゼントを考える。・・・・・・・あいつが一番喜ぶ物・・か・・・また旅行がいいかな・・・今度は国外で・・・それともぬいぐるみ・・・いやあいつはもうそんな年じゃないし。指輪・・・か・・・それなら喜ぶかもしれないけど。
「指輪か・・・」
いつまでもこんな関係を続けるつもりは無い・・・あいつだってそのことを望んでる。でも・・本当のことを知ったらショックを受けるだろうな・・。それとも喜ぶかな・・・あんな調子だったら。考えられることだ・・・・あいつの気持ちは良く知ってるつもりだ、毎日のアプローチからもそれがわかる・・・そろそろ答えてやらないと。
「・・・・なんか嫌なお兄ちゃんだな・・」
本当だ・・・妹のことを好きになっているんだもんな・・・。いつかどっかに行ってしまうあいつだけど、心の奥底でははいつを一人占めしたいと考えてる。以前咲耶が告白されてる所を偶然見かけてその男に飛びげりを食らわせたほどだからな・・重傷だこりゃ。
「さて・・・問題はどうやって言うかだな・・」
俺は咲耶へのプレゼントを探しながらあいつが喜ぶ言葉を考えていた。
「お兄様・・忘れちゃったのかな」
お兄様ベッドに寝転がりながらふとつぶやく。ベッドにはまだお兄様のぬくもりが残っている。そのぬくもりを感じながら私はため息をついた。
「・・・・私はただの妹でしかないの・・」
確かに・・・血の繋がっている妹を女と見ろって言うのは少し無理があるかも。そんなことはわかってるつもり・・・でも・・・寂しいよ。胸の奥が熱くなる・・・こんなに好きなのにその存在は遠くに感じられる。どうやったらこの距離が縮むの・・・。
「こんなに好きなのに・・・」
気がつけば泣いていた・・・・・なんで自分は妹に生まれたのかな。どうして好きな人がお兄様なのかな・・・・どうしてこんな叶わない恋をしたのかな・・。
「お兄様・・・」
いつの間にか私は眠ってしまった・・・・お兄様のぬくもりに包まれながら。
どれくらい寝ただろうか・・・玄関が開く音で目を覚ました。
「帰ってきたのかな?」
私は急いで部屋を出て玄関に向かう。
「ただいま・・・」
「お帰りなさい」
そこにはお兄様がいた。手には何か大きな紙袋を持っている。
「それは?」
「ん?秘密だ・・・」
お兄様はそういうと自分の部屋に戻っていく。あの中身・・・もしかしてプレゼントかしら・・・。きっとそうよ、お兄様・・・覚えてくれたのね。私ってばさっきまでの泣いていたのにもう立ち直ってる。きっと今夜は二人っきりで誕生日パーティーね。よーしこうなったら意地でもお兄様を私のものにするんだから。
昼食を食べ終わり咲耶は部屋に閉じこもったままだ。何かあったのかな?
「・・・きっと俺が誕生日を忘れてると思ってるのかな」
考えられることだ・・・・やっぱ誘えばよかったかな・・・。
「でもプレゼントを買ってきたからな・・・」
俺は卵を黄身と白身に分けながら考える。そして白身に砂糖を入れてかき混ぜる。毎年、咲耶の誕生日には手作りのケーキを作ってやっている。別にケーキを買うのがめんどくさいというわけではないが、咲耶の喜ぶ顔が見たくて毎年作るようになった。ケーキの生地を型に流し、オーブンに入れて焼き始める。あとは・・・夕方を待つだけだな・・・その間にご馳走を作らなきゃ・・・・一息つきながらかさっきの紙袋の中身を確認する。大きな箱と小さな箱を取り出す。・・・・・いざその時を目前にすると緊張するな・・・今まで血のつながりがあるって信じていた兄が実は血のつながりのない兄だったって知ったら咲耶はどんな顔するだろう・・・悲しむかな・・・いや喜ぶかも。俺は小さな箱を見つめながらそんなことを考えた。
「誕生日おめでとう咲耶」
「ありがとうお兄様」
アルコールの入っていないシャンパンの入ったグラスのぶつかる音が部屋に響く。テーブルの上にはお兄様の作ったご馳走とケーキが乗っている。
「嬉しいな・・・今年もお祝いしてくれるなんて」
「忘れていたと思っていたのか」
「うん・・・」
「こいつ・・・」
なんて会話をしながらも食事を進めていく。こんな時が一番幸せだな・・・ずっとこんな時がすごせればいいなっていつも思ってるのに・・・・。
「ねえお兄様・・・プレゼントは?」
「あとでな・・・」
「えーどうしてよ」
「もうちょっと待てよ・・・プレゼント渡すのに雰囲気ってあるだろ」
「そうかしら・・・・去年はぶっきらぼうに渡されたけど」
「そうか?」
「そうよ」
会話が楽しく弾む・・・勝負は・・・・食事が終ってからね。それにしてもプレゼントって何かしら。洋服かしら・・・それともまたアクセサリーかな、でもあんなに大きな紙袋だから・・・シャネルのバックかしら。楽しみだな・・・プレゼント。
「どうしたんだ咲耶・・・まずいか?」
「へ?」
いけない・・・・またボーっとしていたわ・・・。早く食事を終えてプレゼントを貰って、誘惑作戦を実行しなきゃ。私はお兄様の作ったご馳走を味わう。
「ご馳走様」
テーブルの上にあったご馳走はあっという間に私とお兄様の胃の中におさまった。そしてリビングのソファーに並んで座り食後の紅茶を楽しむ。
「それじゃあ・・・お楽しみの物を渡すとしますか」
そういうとお兄様はあの時の紙袋から大きな箱を取り出す。その大きさから推測すると・・やっぱりシャネルかグッチかしら・・。
「わあ・・ありがとう」
「・・・まだ渡すといっていないぞ」
「え?」
「実は・・話があるんだ」
真剣な顔になってお兄様は私を見つめる。なんか怖い・・・話って何かしら。
「な・・なに?」
「これからする話は・・・全て本当だ・・聞いてくれるね」
「・・・・・」
「咲耶・・・お父さんのこと覚えてるかい?」
「もちろん・・・覚えてる」
父と母は5年も前に死んでしまった。旅行中飛行機事故にあいそのまま他界してしまった。
「・・・それがどうしたの?」
「父さんと母さん・・・実は再婚なんだ・・・」
「え?」
「その時咲耶はまだ生まれたばかりだから覚えてないだろうけど・・」
「どういう・・・こと・・・?」
まさか・・・それって・・・
「俺の母さんが今どこにいるかはわからない。気がついた時には父さんと一緒に暮らしていた。そしてある日・・・母さんが出来たんだ・・・その胸に抱かれていたのが咲耶だ・・」
「っ!!」
「もうわかったよね・・・俺と咲耶は・・・・兄妹じゃないんだ・・」
「あ・・・あ・・・」
「ショックかもしれないけど・・・事実なんだ・・」
「どうしてそんなことを今・・・」
「もう限界なんだ・・・・咲耶を妹としてみるのは・・・・だから・・・」
「お兄様・・・」
「でも・・・俺は咲耶の気持ちを尊重するつもりだ・・・考えてほしい」
・・・・・ちょっと不謹慎だけど嬉しかった・・・・私たちは兄妹じゃ無いこと・・・そしてお兄様が私のことを想ってくれていること・・・・・・答えは決まってるじゃない。
「考えるまでも無いわ・・・私はお兄様が好きよ・・」
「本当に俺でいのかい・・・・俺は咲耶が思ってるほどいい男じゃない。妹を好きになるし・・・告白されてるところを見て取り乱すし・・」
「それでも私は・・・・お兄様が好きよ・・・」
「咲耶・・・・」
お兄様は私を抱きしめる。・・・・暖かい・・何年ぶりだろうこうやって抱きしめてくれたのは・・・・。これじゃあ誘惑作戦の必要はなさそうね・・・。
「咲耶・・・実はなプレゼント三つあるんだ」
「三つ?」
「一つは・・」
お兄様は小さな箱を取り出す。それを受け取り開けてみる。
「・・・これって」
中には二つの指輪が入っていた。その一つを取り出し左手の薬指にはめる。ぴったりだ・・・
「もう一つは?」
「俺の指輪・・・」
そういうとお兄様も指輪をはめる。
「おそろいだね・・・・」
「ああ」
「で?あと二つは何?」
「二つ目は・・・」
今度は大きな箱を取り出す。ゆっくりと包装紙を開き箱を開ける。中には・・・真っ白なウエディングドレスが入っていた。
「・・・・・お兄様・・・」
「まだ早いけどな・・・」
「それで・・・最後の一つは?」
辺りを見回したところ箱らしき物は無い・・・何かしら?
「最後の一つは・・・これだよ」
お兄様の顔が近づいてくる・・・私はその意味がわかった・・・私もその顔にゆっくりと近づく・・・そして・・・キスを交わす・・・。
「ん・・・」
甘い吐息が漏れるのがわかる。
「はぁ・・」
唇が離れる・・・・自分の顔が上気するのがわかる。
「咲耶・・・・」
「な・・・に?」
「・・・・ずっと一緒にいような・・・」
「うん・・・・・ねえ・・お兄様?」
「ん?」
「一緒に寝ていい?」
「ああ」
朝・・・・・・・窓から心地よい日の光が入る。今日もいい天気みたいだ・・・ベッドの中ではロンブヘアーの咲耶が気持ち良さそうに俺に抱きついて寝ている。そんな咲耶がとても愛しい・・・そろそろ起きなければ・・・・
「もうちょっとこのままでもいいか・・」
俺は咲耶を抱きしめる腕の力を少し強め、また眠りの世界に入る。もう二人は兄妹じゃない・・・・きっと目覚めた時は新しい関係がはじまって生活をしていくだろう。咲耶の出した選択が正しいかはわからない・・・でもその先に見える未来はきっと幸せに満ち溢れてるだろう・・・・。これからもこの愛しい存在をずっと守っていこうと俺は決心した。
あとがき
咲耶のSSでした。
一緒に寝たあと何があったかはご想像にお任せします。
感想は掲示板かメールで。
管理人の補足 実は裏に……
小野澤健一さんへの感想はこちら
yuuiti53@hotmail.com
前 戻る 次