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鞠絵の特効薬
作 雄一さん
今日は兄上様がデートしようと誘ってくださいました。
咲耶姉上様も行って来なさいと言ってくださったのでその言葉に甘えることにしました。
兄上様と二人っきりで出かけるなんて久しぶり・・。
「兄上様・・・どこに連れて行ってくださるの?」
「ん?人類の原点さ・・」
「?」
その言葉の意味は家を出てから車に乗って一時間後に理解できました。空気の入れ替えをしようと窓を開けたとき潮の香りが入ってきたのです。海・・・・確か人と海は同じだと本で読んだことがあります。
「海・・・久しぶりに来ました・・・」
「たまにはいいだろ」
「はい・・」
車を止めると私は早速海岸に向かいました。そこは誰もいなく、波の音だけが聞こえる・・まるで恋愛小説に出てくる海岸みたい・・。
「来てよかっただろ」
「はい・・・・でも・」
「?」
「どうして今日は私をここに連れてきてくれたんですか?」
「鞠絵・・・今日は何の日か覚えてるか?」
「今日は・・・ええっと・・」
「・・・鞠絵の退院記念日・・・あの療養所から出て俺たちと一緒に暮し始めた日だよ」
「ああ・・今日でしたね・・・懐かしいですわ」
「そうだね」
「・・・あの時の兄上様の言葉・・・今でも覚えています・・」
「あの時?」
「私が危篤状態になったとき・・・兄上様はこういってくださいました・・・俺は死なんか認めない、鞠絵戻ってこい・・そして生きろ・・・・と」
「そんなこといったっけ?」
「はい・・言いましたわ」
「・・・まああの時は無我夢中だったから・・でも・・・よかった鞠絵が生きて・・」
そうおっしゃると兄上様は私の肩に手を置くとそのまま私の体を抱き寄せました・・。暖かい・・生きてなければこうして兄上様のぬくもりさえも感じることが出来なかった。
でも・・・私の心の奥底では不安がまだあります。また病気が再発するのではないか・・・再発して二度と皆さんと暮らすことが出来なくなるのではないかと・・・。皆さんの足手まといになってしまうのではないかと・・・・。あのまま療養所で入院していればよかったと時々思ってしまいます・・。
「兄上様・・・」
「ん?」
「もし・・・もし私の病気が再発してしまったら・・」
「そんなこというもんじゃないよ」
「え・・?」
「病は気から・・・っていうだろ」
「・・・・・」
「そんなネガティブな考えを持っていたら本当に再発するぞ」
「・・・そうですね」
「こうして楽しいことを重ねればそのうちに病気のことなんて忘れちまうよ」
そういうと兄上様は私に唇にキスを・・・
「あ・・兄上様・・」
「大丈夫・・・鞠絵の病気はもう二度と再発しない・・・俺がこうやって特効薬を与えてるんだから」
「・・・はい・・・」
それから私と兄上様は海岸を歩いたり、近くのレストランで食事をしたり、灯台から海を眺めたり、水族館に行ってお魚さんを見たりしてすごしました。昔ではこんなこと考えられませんでしたわ・・・こうやって大好きな兄上様とデートするなんて。水族館を出ると既に空は赤く染まっていました。
「そろそろ帰るか・・」
「はい・・」
「家に帰ったら・・もっと凄い特効薬が待ってるぞ」
「?」
もっと凄い特効薬・・?いったいなんでしょう・・・・。車は渋滞に巻き込まれることなく無事に家のガレージに入ることが出来ました。車を降りて玄関から家に入ったその時・・・・
パン!!パン!!パン!!
何かがはじける音が聞こえ紙テープが飛んできました・・・いったい何が?
「お帰り!!鞠絵ねぇ!!」
「お帰りなさい!!鞠絵お姉ちゃま!!」
「おかえりなさい!!おねえたま!!」
玄関には使用済みのクラッカーを手にした花穂さん、衛さん、雛子ちゃんが立っていました。先ほどの音はどうやらクラッカーの音・・でもどうして?
「ほら早く鞠絵お姉ちゃま、みんな待ってるよ」
「今日の主役は鞠絵ねぇなんだから」
「え?・・・私が・・」
花穂さんと衛さんに手を引かれリビングに入ると壁には綺麗な飾り付けがされており、「鞠絵の健康を祝う会」とかかれた看板が取り付けられており、テーブルの上には白雪ちゃんの作った料理が所狭しとのせてありました。
「これは・・・」
「言っただろ・・もっと凄い特効薬って」
「・・・これが・・」
「みんなで相談したんだ、鞠絵がどうしたら健康でいられるかって、そしてでた答えがこれというわけ」
「・・・うれしい・・」
「さあ、はじめようか・・ひばりちゃんももう少ししたら来るし」
「ひばりちゃんが・・・」
「ああ・・・人数が多い方がいいだろ」
「はい」
もっと凄い特効薬ってこのことだったんですね・・その後、遊びに来たひばりちゃんも含めて壮大なパーティが始まりました。私・・もう病気が再発するということは考えません。皆さんからこんなに特効薬をもらってるんですもの・・・。
あとがき
やっぱ鞠絵には健康が一番!!
ただそれだけです!!
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yuuiti53@hotmail.com
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