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選択肢

作 雄一さん


俺はたいていのことでは驚かない・・・・と思う・・
千影が何かを呼び出そうと、鈴凛が爆発を起こして家を壊しても、咲耶がバスタオル一枚で「お兄様、お背中をながしましてよ」と言ってもだ・・。
しかし・・・・今回はそれどころではないようだ・・・・・
どこかはわからない・・・でも気がつけば俺は暗闇の中に一人立っていた。
「どこだここ・・・?」
当ても無くさまようが出口らしき場所が見当たらない・・・暖かくも無いし寒くも無い・・・
時間がどれくらい過ぎたかもわからないしどれだけ歩いたかもわからない。
その時だった・・・
「お兄ちゃん・・・」
「可憐!!」
目の前に可憐のが現れた、俺はいてもたってもいられず全速力で可憐の元に走る。
が、可憐は悲しそうな顔をすると可憐の姿は闇に消えてしまう。
「可憐!!可憐!!どこいったんだ!!」
可憐が立っていたところをくまなく探したが・・・可憐の姿は見えなかった・・。
「あにぃ・・」
「お兄様・・・」
「おにいたま・・」
「兄くん・・」
「千影、衛、雛子、咲耶!!」
次に現れたのは千影、咲耶、衛、雛子・・・すぐに彼女達の元に駆け寄ろうとしたが・・・彼女たちは悲しそうな顔をすると姿を消してしまう・・・。
「どうなってるんだ・・・・」
「お兄ちゃま・・」
「兄君様・・」
「兄チャマ・・」
「兄や・・・」
「兄上様・・」
「アニキ・・」
「にいさま・・」
「春歌、花穂、四葉、亞里亞、鞠絵、鈴凛、白雪!!」
彼女達もまた悲しそうな顔をすると姿を消してしまう・・・・。
どうなってるんだ・・・・ここはいったいどこなんだ・・・。
どうしてみんな悲しそうな顔をするんだ・・・・
おい・・・誰か・・誰か返事をしてくれよ!!!
誰か!!!!!!
「悠・・・・だな・・・」
「!!!誰だ!!!」
突然名前を呼ばれ、声がした方向を見る、そこにはスーツを来た初老の老人が立っていた。
手には・・・・あれは!!!
「みんなの指輪!!!どうしてあんたが持ってるんだ!!」
老人の手には・・俺たちがずっと一緒にいることを誓い合った結婚指輪が浮いていた。
「おい、なんか言えよ!!!みんなをどうした!!」
「時間だ・・・」
「おい答えろよ!!」
「・・・・答えることは無い・・・」
「何!!!」
「貴様は死んだのだ・・・妹達と共に・・・」
「な・・・に・・・」
何言ってるんだ・・・こいつ・・・俺が・・・・みんなが・・・死んだ・・・
だって俺は現に・・・
「生きている・・・しかしそれは肉体に魂を留めさしているだけ・・・いずれは死ぬ・・」
「・・・・嘘だろ・・・」
「だが・・・私は生き返らせることができる・・・」
「・・・どういうことだ・・」
「だから貴様には時間を与えた・・・妹を選ぶ時間を・・・・・その期限が今日だ・・」
「選ぶ・・?」
「そう・・・たった一人の妹を・・・」
「どういうことだ・・・」
「貴様と妹を生き返らせるためには十一人分の魂が必要だ・・・」
「魂・・・」
「そうだ・・・それが限界なのだ・・」
「・・・・・・」
「そう・・・さあ選べ・・貴様が最も愛する妹の名を・・」
何言ってるんだこいつ・・・生き返らせる・・?十一人分の魂?たった一人の愛する妹・・?
それ以前に俺はいつ死んだんだ・・?
これは・・・夢だ・・夢に違いない・・・
こうして思いっきり頬をつねれば・・・・ってて・・・・・痛い?
これは現実・・・・・・いや・・俺は信じない!!!
「てめぇ!!!いい加減にしやがれ!!早く俺をここから出せ!!」
「不可能だ・・・さあ選べ・・」
「・・・・みんなは・・みんなはどこにいる!!」
「彼女達の魂はこの指輪に留めている・・・聞こえるだろ・・彼女たちの叫びが・・」
叫び・・?
「・・・・・ああ・・・・みん・・な・・」
聞こえる・・・死にたくない・・・ここから出して・・・痛い・・・苦しい・・・
やめろ・・・やめろ・・
「やめろぉ!!!!!」
「なら早く選べ・・・さあ・・・」
「もし・・選んだとして・・・残りの魂はどうなるんだ?」
「貴様達を生き返らせるための生贄となる・・・生贄になった魂は全てを忘れ・・・転生する・・」
「・・・・・・・・」
なんで・・・何でこんな事になったんだ・・・昨日まで・・・あんなに楽しく暮らしていたじゃないか・・・。それなのに・・・たった一人しか選べないのか・・。
・・・・誰を選ぶ・・・・・選ぶ?
そんな事考えたことも無かった・・・みんなずっと一緒にいられると思っていたのに・・。
選べないよ・・・選べない・・・・みんな大切な・・・・妹だ・・・
「お兄ちゃん、大好き・・」
可憐・・・
「お兄ちゃま、ふぁいとぉ!!」
花穂・・・
「あにぃ!!一緒に走ろう!!」
衛・・・
「お兄様、一生あなただけよ・・」
咲耶・・・
「おにいたま!!遊ぼう!!」
雛子・・・
「兄上様、今日はよい天気ですよ・・」
鞠絵・・・
「にいさまぁ〜今日のお弁当は格別ですの!!」
白雪・・・
「アニキ!!あったか〜い援助待ってるよ」
鈴凛・・・
「兄くん、精霊たちが喜んでるよ・・・」
千影・・・
「兄君様、一生お仕えいたしますわ」
春歌・・・
「兄チャマ!!チェキよ!!」
四葉・・・
「兄や・・・あそぼ・・」
亞里亞・・・・
選べるわけ無いだろ・・・・みんな大切な・・・そして愛する人・・・
その人を犠牲にしてまで・・・生き返りたいとは思わない・・・。
「決まったか・・・」
「・・・ああ・・」
答えは決まった・・・・決まってるじゃないか・・・
「指輪を返せ!!!!」


ばし!!!!

「!!貴様!!」
「なんで俺が生き返らなきゃいけない・・・なんで一人選ばなくちゃならない・・それだったら・・死んだ方がましだ!!」
「せっかくのチャンスを蹴るつもりか!!」
「うるせぇ!!俺の命は・・みんなの命は・・・十一人の魂で生き返らせるほど安くないんだ!!」
「・・・・・・」
「へっ!!俺たちはな・・・たとえ天国・・地獄にいようともずっと一緒にいるんだ!!誰か一人別の世界に行っても・・・俺は命を掛けてそこから救いだす!!」
「・・・・・・」
そうだよ・・・俺たちは一人欠けてもいけないんだ・・・だったらあの世でもどこでも・・・みんなと一緒にいってやる!!
俺は老人から指輪を奪い取り、全速力で走り出す・・・あてはあるわけない・・・とにかく走るしかない・・・息が切れる・・・胸が苦しい・・・足が棒のようだ・・・でも・・俺は走る・・・。どれくらい走っただろう・・・既に体力は限界にきていた・・・心臓もばくばくいってやがる・・・。俺は一旦止まり、息を整える・・。
「みんな・・・みんな・・・・」
俺は指輪を大切に握り、また走り出す・・・

「千影・・・もういいんじゃない・・」
咲耶お姉ちゃんがお兄ちゃんの手を握りながら心配そうに見つめる・・。
「・・・・そうだね・・・兄くんの精神も・・・限界だ・・このままだと精神崩壊を起こしてしまう・・」
「おにいたま・・・苦しそう・・」
「お兄ちゃま・・頑張って・・・」
きっかけは・・些細なことだった・・・お兄ちゃんは誰が一番好きなのか・・・私のその一言で・・・お兄ちゃんはこんなに苦しんでいる・・。
「お兄ちゃん・・・・ごめんね・・・」
私も手をとり・・・・お兄ちゃんの顔を見る・・・。
苦しそう・・・ごめんね・・・ごめんねお兄ちゃん・・・
「可憐くんのせいじゃないよ・・・・こんな術を考えた・・・私がいけないんだ・・」
「違うわ!!私がいけないの・・・私がお兄様を・・・」
「ううん・・・花穂が・・・」
「四葉がいけないんデス!!」
「兄君様をお守りすると言ったのに・・・こんなことを・・」
「兄や・・・しっかりして・・・」
「おにいたま・・・ヒナここにいるよ・・」
「にいさま・・・起きたらおなかいっぱい姫の手料理をご馳走しますの」
「アニキ・・・早く戻ってきて・・」
「あにぃ・・早く一緒に走ろう・・」
「兄上様・・・」
みんながお兄ちゃんのことを心配している・・・お兄ちゃん・・・みんな・・・ごめんね・・
千影お姉ちゃんが術を解き始める・・・・光がお兄ちゃんの体の中に吸い込まれていく・・・そして光がお兄ちゃんの体を包んで・・・・・


「・・・・と言うわけ・・・なの・・」
可憐の話が終った・・・・そういうことか・・・
「ごめんなさい・・お兄ちゃん・・可憐達・・・どんな罰でも受けるから・・」
「可憐・・・みんな・・・」
はっきり言って・・・可憐達がこのことを考えたことに関してはあまり怒りを覚えなかった。きっと・・・俺も同じ事をしそうだと思ったから・・・。
俺は、そんなことよりも・・・生きてること・・・みんなが一人も欠けることなく生きてること・・そのことが嬉しかった。
「・・・じゃあ・・・罰として・・」
「何?」
「明日はみんなで出かけよう・・・・弁当もって・・・どっかに・・」
「・・・どうして・・・」
「・・・・みんなが・・・好きだからさ・・・ずるい兄・・・鬼畜な兄・・・って思われても俺は・・・ずっとみんなと一緒にいたい・・・たとえ世間から変な目で見られても・・俺は言ってやる・・・みんなが・・・大好きだ・・・愛してるって・・・・・・みんなが嫌だって言っても俺は離さないからな・・・首にくさり付けてでもここにいさせてやる」
「お兄様・・・それ大げさ・・」
「わりい・・・」
「・・お兄ちゃま・・大丈夫だよ・・」
「ヒナたち・・・おにいたまと一緒にいる」
「私たちが・・・嫌だって・・言うわけないだろ・・・兄くん・・・命かけてもいい」
「兄チャマの一生をチェキしますデス!!」
「にいさまは姫がいないとガリガリのひょろひょろになってしまいますの」
「兄やがいないと・・・兄やのお菓子が食べられない・・」
「兄君様に一生お仕えします!!」
「兄上様と一緒ならどこまでも・・」
「あにぃと一緒がいいんだ」
「アニキがいないとメカ鈴凛完成できないし・・メカアニキだって・・」
「お兄ちゃん・・・可憐達はずっとお兄ちゃんの傍にいるよ・・・これは私たちが自分の意志で決めたことなの・・・・だって私たちは・・・お兄ちゃんを愛してるから・・」
「ありがとう・・・みんな・・・愛してるよ・・・」
今日は・・・なんか幸せな日だったな・・改めて・・みんなの気持ちを知ることが出来たから・・・。たとえ・・・何かが俺たちを引き裂こうとしても・・俺が命を懸けて守ってやるからな・・。


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yuuiti53@hotmail.com
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