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衛の誘惑
作 雄一さん
「あにぃ!!朝だよ!!マラソンしようよ!!」
朝の静寂を破り、衛は兄の部屋に入ってきた、目的は勿論、兄と一緒にマラソンをするた
めである。当の兄は・・・ベッドで枕を抱いて気持ち良さそうに熟睡していた。
「むにゃ・・・そのジャムだけわぁ・・・・」
「あにぃ!!起きてよ!!」
「やめろぉ・・・やめてくれぇ・・・」
「・・よーし!!」
衛は兄の体から蒲団を引っぺがすと、部屋の隅に下がり、助走をつける、そして・・・
「衛ちゃんプレス!!!」
そのまま兄の上に飛び乗る、良い子も悪い子もこれはあまり真似しないほうが良いだろう。
『どさ!!!』
『むに(何かが当たった音)』
「ぐぇ!!!!」
かえるが潰された時の音のような呻き声を上げる、そしてゆっくりと目を開ける、起きた
ようだ。
「おはよう・・・衛・・」
「おはよう、あにぃ。今日もいい天気だよ」
「そうだな・・・あと頼むから飛び乗って起こすのはやめてくれ」
「えへへ・・うん」
衛は兄の上から降りる、兄もまたベッドから起き上がり着替えをはじめる。
「衛・・・」
「何?」
「恥ずかしいんだけど・・・」
「あ・・ゴメン」
兄の言葉に、衛はそそくさと部屋を出て行く。
「・・そういえばさっき・・なにか「むに」って当たったような」
なんてことを考えつつ、兄は着替えを済ませ、衛の待つ玄関へと向かう。
玄関では衛が軽くストレッチをしていて兄を待っていた。
「あにぃ、はやく行こうよ」
「はいはい・・で・・どこまで行くんだ?」
「いつもと同じコースだよ、行こう」
そして衛と兄は走り出した、2人ともほぼ同じペースでいつものマラソンコースを走ってい
く、走りながら兄はふと衛の姿を横目で見る。
(最近可愛くなったよなぁ)
普段は男の子のような感じの衛だが、こうやってじぃっと見ると結構可愛いのだ。
短い髪の毛も、均整の取れた体も、体操服の上から見える小さな膨らみも・・。
「あにぃ・・・なに?ボクのことじっと見てさぁ・・」
「・・・っは!いや何でもない・・・」
「へんなあにぃ・・」
やがて2人は中間地点である公園に差し掛かる、いつもはここで一休みをするのだ、公園
の入り口の自動販売機でスポーツドリンクを買って、公園のベンチで一息入れる。
「・・・ねぇあにぃ・・聞いていいかな?」
「ん?」
「ボクって・・女の子らしくないかな?」
衛は少しうつむきながら兄に質問した、衛がいつも気にしている事だ、学校では男の子か
らラブレターをもらうよりも女の子からラブレターをもらう枚数が多い衛はいつもそれを
気にしている。
「そんな事無いぞ、衛は十分女の子だ」
「本当?」
「ああ・・女の子にもいろいろいるじゃないか、男勝りとか、体が男みたいだとか、衛は
そんな子達よりずっとマシなほうだよ」
「そっか・・ありがとうあにぃ」
衛はそう言うと兄の腕に自分の腕を絡める、衛の胸が体操着越しに兄の腕に伝わってくる。
その感触に鼻の下が伸びる兄、情けない顔である、しかし・・兄はある違和感に気がつく。
毎回毎回、妹達に抱きつかれている兄だが、そのとき感じる胸の感触には二種類在る、一
つは胸の上にもう一枚布、つまりブラをつけている場合、そしてもう一つは、布一枚・・
つまりノーブラの場合である。今日の衛の場合・・明らかに後者なのである。
「なぁ・・衛・・変なこと聞いていいか?」
「なに?」
「・・・ブラジャーつけてる?」
「(真っ赤)え・・えっと・・・あの・・」
兄の質問にもじもじする衛、その姿がものすごく女の子である事を強調したらしく・・
(マジカワイイイ!!!!!!!!)
と心の中でどこぞやの予備校生(?)みたくガッツポーズを取っていた。
「咲耶あねぇが・・・男の人はノーブラの女の子が好きだって言ってたから・・・つけて
ないんだ」
「・・咲耶の奴・・余計な知識を・・」
「あにぃ・・もしかしてこういうの嫌い?」
「そ・・そんな事は無いぞ、俺だって男だからそういうの好きだぞ」
衛の胸にどぎまぎしながら兄は冷静を保つ。
「本当?」
「本当だって・・」
「じゃあ・・・男の人はブルマーが好きって本当?」
「・・・・本当だよ・・」
実を言うとこの兄は、衛の今の姿に結構ドキドキしている、他の妹はどうした。
「うっさい」
「?」
「こっちの話・・」
「・・・もしかして・・あにぃ・・結構興奮してる?」
衛が兄に体を密着させる、毎日妹達と接してる兄だが・・相変わらずこういうことにはな
れてない、
「ま・・まあな・・」
衛の妖しい視線にドキドキしながら兄は答える。
「じゃあ・・・ボクを抱いて・・」
その言葉に、兄は一瞬固まる、当の衛はまたまた顔を真っ赤にしてモジモジする。
「・・・・わかった」
文字通り兄は衛を抱き締める、はたから見れば恋人達が抱擁しているように見えるだろう。
「あにぃ・・・違う・・」
「いや・・これでいいんだ・・」
「違うってば!!」
衛は兄の抱擁を振りほどき立ち上がる、そして目に涙を溜めて兄を見つめる。
「ボクは・・あにぃと・・その・・・・ッス・・したいんだよぉ・・」
「ま・・衛・・・」
またもや衛の姿に激萌えする兄、すると衛は兄の手を取り、小さな胸に押し付ける。
布一枚に隔てられた感触に、兄は理性を保とうとする。
「ねえ・・お願い・・」
「・・・衛・・・出来ないよ・・」
「どうして?」
「・・・衛はまだ若いし・・ここでするのか?」
もっともな言葉である、朝早いとはいえ、人の目が無いわけでもない、衛もそのことに気
がつき、しばし考え込む。
「じゃあ・・・家に帰ったら」
「四葉にチェキされるし、咲耶の鉄拳が飛ぶ」
「ホテルで・・」
「金がない」
次々と出てくる意見を、兄は速攻で答える、そのうちネタ切れになったのか意見が出なく
なった。
「うーん・・」
「諦めろ・・・まあ時がくればな・・」
「嫌だよ・・ボク・・あにぃのことが大好きなのに・・・」
「ま・・衛・・」
衛の目から涙が流れてくる、女の子の涙に弱い兄はその対処に困ってしまう。
「えっとぉ・・」
「あにぃ・・ボクの事嫌いなの?・・・ボクはあにぃのことこんなにすきなのにぃ・・ひ
っく・・」
「衛・・・ゴメン・・かえろっか・・」
「ひっく・・こうなったら・・あにぃ!!!!!!」
「え・・ん!!!」
突然衛は兄の肩をつかみ、そのままキスをする、そして力任せに兄をベンチに押し倒す。
「衛!!何を・・」
「ボクが・・ボクがあにぃを・・・」
兄の腕をつかみ、また自分の胸に押し付ける。
「ほら・・ドキドキしてるでしょ・・」
「あ・・ああ・・」
その感触に、思わず衛を離す事を忘れる兄、やはり男の子である。
「あにぃ・・・」
「衛・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
しばらく沈黙が流れる、・・・5分経過、・・・・・10分経過、・・・15分経過。
「衛?」
「・・・・・」
「えっとぉ・・」
「わからない」
衛は兄から離れ、ベンチに座りなおす、兄も起き上がり、乱れた服装を整える。
「わからない?」
「何をすればいいのか・・わからない・・」
「・・・・・ぷっ!!」
「うぅ・・やっぱりボクにはまだ早いんだ・・」
いじける衛の横で兄は大爆笑、しばらく笑いつづけていた。
「うう・・・」
「だから早いって言っただろ」
「うん・・じゃあ・・ボクが大人になったら教えてくれる?」
「・・ああ・・・教えてやる・・約束するよ」
兄は衛の頭をゆっくり撫でてやる、衛は兄のその手を気持ち良さそうに受け入れる。
「約束だよ」
「ああ・・だから今日の事は秘密だぞ」
「うん」
「じゃあ帰るか、朝飯作らなきゃ」
こうして今日の事は兄と衛だけの秘密に・・ならなかった。
現場を鮮明に写された映像がその日のうちに妹達の間に広まった。
そのおかげで、兄はその日から11日間早起きして妹とマラソン+αをする破目になってし
まった(+αは何を意味するかは諸君の豊かな想像力にお任せする)。
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yuuiti53@hotmail.com
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