雛子の高校生活
第2話 『ライバル出現?』
作 雄一さん
「はあ・・・」
これで何度目のため息だろ・・・。
原因は俺のポケットに入ってる一枚の手紙、ハートマークのシールで封がしてある。
俗に言う「ラブレター」というものだ。
・・・・カナダからじゃないぞ・・・(古すぎ・・)
さっき中庭である一人の女性から手渡されたものである。
彼女の名前は「辻 綾香」、人気アイドルユニット「SISTER―girls」の一人でありグラビア、バラエティにおいて幅広く活躍している芸能人である。彼女はこの学院の生徒であり、雛子の同級生でもあり、先生の間からも評判のいい。
ちなみに前回なぜ「あなたは・・・」と言ったかと言うと・・・・テレビでよく見るし、話し掛けられるのも初めてで思わずそう言ってしまったわけで(作者のミスという意見も)・・・・。
その彼女から・・・ラブレターをもらってしまったのである。
いくら俺が生徒の間で人気者で何枚かラブレターをもらったことがあっても芸能人からもらうって事は無かったぞ(←自慢?)。
「勘弁してくれよ・・・」
俺には雛子が・・・ってはっきりいえないしなぁ・・・・。
関係がややこしいからなぁ・・。
手紙の最後には「今日の放課後、教室で返事を待っています」と書かれている。
はあ・・・・
これは彼女の告白を受けるか受けないかだけの問題じゃない。
一番の問題はマスコミである。
窓の外、校門を見るとそこには人がたくさん集まっている。
半分は彼女の追っかけで、もう半分は彼女のプライベートの姿や特ダネを取るために待機しているカメラマンがほとんどである。休み時間、彼女が窓から顔を出すたびに追っかけが大声で彼女の名前を呼んだり、カメラマンが超望遠でその姿をとったりと・・。
中には清掃員に化けて彼女の体育着姿や水着姿、下着姿をとろうとするカメラマンも。
今もそいつらは彼女の姿を捉えようと学校に潜んでる・・・に違いない。
もし、辻綾香と一緒にいるシーンを取られたら・・・想像もしたくない・・・。
はあ・・・・・
「辻本先生・・・」
「どわ!!」
急に後ろから話し掛けられ、思わず自分でも情けない叫び声をあげてしまう。
「・・・綾本先生・・・」
「どうしたんですか?辻本先生・・・さっきから元気ないみたいですけど」
綾本咲耶、俺が通っていた大学の一年後輩であり、彼女もまたこの学院の教師を務めている。
「いや・・お恥ずかしいところを・・・」
「何か会ったんですか?」
「辻のことで・・・ちょっと・・」
「ああ・・・綾香さんですね・・・何かあったんですか?」
「いえ・・・そう言う訳じゃないんです・・。あのマスコミや追っかけに対する対策をちょっと・・」
「そうですね・・・あれにはちょっと・・・生徒も気味悪がっていますし・・中には生徒をスカウトしようとする方までいるとか・・」
「ええ・・・それに学校に侵入しようとしている奴らのことも・・」
「それで何かいい案でも?」
「何も・・・」
「そうですよね・・やはり警察に頼んだ方が・・」
「そうしようにもあの石頭の教頭が賛成するわけ無いでしょう」
「そうですね・・」
学院一番の権力者は校長ではなく教頭にある。
校長が無能というわけではない・・・彼は理事長の夫でもあるのだ。
以前にも体罰の問題であの夫婦とわたりあったことがあるが・・(その話は後で・・・)その時はクビになりかけたしなぁ・・。
とにかく、その教頭を口説かない限り警察に頼むことは出来ないのだ。
「まあ・・そのうち理事長が何とかするのを期待しましょう・・」
「そうですね・・・」
ちょうど五時間目の終了のチャイムが鳴り響く。
綾本先生は授業が控えてるので、職員室を出て行った。俺も授業があるので作っておいた小テストを手に雛子の待つ教室へ向かった。
「お兄ちゃん、今日の夕飯何がいい?」
授業が終り雛子が小声で話し掛けてきた。
「ん?今日は肉じゃがが食いたいな・・」
「じゃあジャガイモとしらたき買わなきゃ・・・」
「先に帰ってろ、俺用事あるから」
「うん、じゃあさき帰ってるね」
雛子はそういうと友達と一緒に教室を出て行った。
俺は一度職員室に戻り小テストの答えあわせをする。
みんなそれなりの点数を取ってるようだ・・・ちなみに雛子は・・・六十九点・・・
帰ったら復習するように言わないとな・・。
・・・・そろそろか・・・・俺は答えあわせを終えた小テストを鞄にしまうと、教室に向かった。教室には辻綾香一人だけ・・・周りには隠しカメラやカメラマンはいなさそうだ。
教室のドアを開けて、中に入る。
「辻本先生・・・」
「よう・・来たぜ・・」
「手紙・・読んでくれた?」
「まあな・・・まさか辻からもらえるとは思わなかったけど・・・」
「答えて、私は先生が好き・・・先生は?」
「・・・芸能界・・・大変そうだな・・」
「先生!!」
「・・・・・答えはNO・・・悪いけど付き合えない・・」
「どうして・・・」
「俺は教師、辻は生徒・・・そう言う訳だ・・」
「そんなの関係ないよ・・・ねえ先生」
「それに・・雛子のこともあるからな・・・」
「ヒナちゃん・・・?」
「仮に俺とお前が付き合ったとしよう・・・マスコミは俺を追いかけ、お前も仕事が減る・・」
「それでも・・」
「そしてマスコミの矛先は雛子に向かう・・・雛子にそんな辛い目にはあってほしくないんだ」
「・・・・・・」
「別に芸能人だから付き合えないわけじゃない・・・俺たちは生徒と教師・・そういうことだ・・」
「先生・・・」
「・・・と言うわけだ・・仕事・・頑張れよ・・」
「待って!」
「のわ!」
教室を出ようとしたときだった、いきなり辻が抱きついてきた。
マスコミ(特にイギリス帰りの妹キャラ、近日登場)なら必ずチェキしたがるシーンが完成した・・・うーむ・・これは結構やばいかも・・・カメラは・・いないな。
「辻・・教頭に見つかる前に離れなさい・・」
「いや・・先生・・・お願い・・私を抱いて」
「いいっ!!」
そうきたかっ!!
「・・・悪いがそれも出来ない・・・ゴムないし・・俺もする気がない」
「それでもいい・・・抱いて・・」
足元に制服のリボンが落ちる・・・脱いでる・・・ヤバイ・・。
そう思ってる間に辻は次々と制服を脱いでいく・・
ていうかさっさと止めろよ俺・・・。
「先生・・・」
「やめなさい、いい加減にしないと怒るぞ」
「・・・私を抱いてくれないと・・・この姿のままで叫ぶよ・・」
おいおいおいおいおいおいおい・・・・そうきたか・・・。
これって・・マジでピンチ?
・・・どうする・・・
「・・・どこかにドッキリカメラでもあるのか?」
「そんなのないわ・・・・・」
「・・・・・とにかく離れな・・・」
きっと鏡を見れば顔にOが三つ揃っていかも知れない・・。
それほどショッキングなシーンが目に入ったのだ。
カメラを構えているカメラマン・・・じゃない
はげ頭に青筋を立てている教頭・・・でもない・・。
鞄を足元に落とし、じーっと俺たちを見つめている雛子の姿があった。
「お兄ちゃん・・・」
「ひ・・・雛子・・」
「ヒナちゃん・・・」
雛子はそのままジーっと俺を見ていた。
やばい・・・怒ってる・・・・
そりゃあ下着姿の女の子が抱きついていたら誰だって怒るかもしれないが・・・
しかも相手は人気アイドルの辻綾香・・・
雛子の同級生・・・
終ったな・・・
「・・・・・お兄ちゃん・・・」
「雛子・・これには・・・」
「・・・・・だめ・・・」
「へ?」
「お兄ちゃん取っちゃダメぇ!!」
予想外の展開だった・・・雛子は抱きついている辻綾香を俺から離すとそのまま俺に抱きつく。辻はあられのない姿のまま床にしりもちをつき、近くにあった制服で胸元を隠す。
さっきまで俺に「抱いて(はあと)」(??)と言っていたのに何故に服で隠すかなぁ・・・。
ちょっと勿体無いぞ・・。
「ヒナちゃん・・」
「あやちゃん・・・ヒナのお兄ちゃん取らないで!!」
「・・え・・・ああ・・」
「つ・・辻・・・これには・・」
ややこしくなってきたぞ・・・これは・・・。
雛子は抱きついたままだし・・・・・
辻は慌てて制服を着てるし・・・
俺は誰か来るんじゃないかはらはらしてるし・・・
とにかく・・・この状況を何とかまとめなくては・・・
「辻・・・」
「・・・・・」
「おーい・・・」
「先生・・・ヒナちゃんと・・」
「誤解だぞそれは・・単に辻本が・・」
「・・そういう関係だったなんて・・・」
「どういう想像してるかわからないけど・・・」
「負けない・・・」
「聞いてる?」
「絶対に負けない!!」
「おーい・・・戻ってこーい・・」
「ヒナちゃん、今日からあなたは私のライバルよ!!」
「・・・あの・・・」
「絶対にヒナちゃんから先生を奪い取るんだから!!」
そう叫ぶと辻綾香は全力疾走で教室を出て行った。
教室には俺と、俺に抱きついたままの雛子だけ・・・。
「雛子・・」
「お兄ちゃん・・・」
「さっきのは・・・」
「何も言わないで・・」
「へ?」
「お兄ちゃんが大好きなのはヒナだけなんだから・・絶対に他の人なんかに渡さない」
「・・・はいはい・・・で・・・どうして戻ってきたんだ・・・」
「お財布・・・お兄ちゃんからもらうの忘れちゃった・・」
「なるほど・・・・」
「・・・お兄ちゃん・・・」
「ん?」
「浮気しないでね・・」
「わかってるって・・」
俺は両腕を雛子の背中に回し抱きしめる。
とにかく・・・危機は去ったわけで・・・・。
疲れたぁ・・・・・
第三話に続く・・・
雄一さんへの感想はこちら
yuuiti53@hotmail.com
前 戻る 次