雛子の高校生活
第1話 『雛子との日常』
作 雄一さん
「お兄ちゃん、朝だよ!!」
「・・・あと五分・・・」
「だめ、教師が遅刻したら生徒に示しがつかないじゃない!!」
「うるさいなあ・・・」
「起きないと・・・強硬手段にでるよ・・」
「それは嫌だ」
雛子が強硬手段に出る前に蒲団から起き上がる。・・・今日もいい天気のようだ・・。
「やっと起きたぁ・・・ほら早く着替えて・・・ヒナが朝ご飯の用意するから」
「ああ・・・」
俺はパジャマを脱ぐとワイシャツとズボンをはき、洗面所に向かう。顔を洗い髪を整える。
台所では雛子が朝食の準備をしている。一緒に暮し始めてからはや一週間、すっかり奥様ぶりが身についた雛子が手際よく朝食を作り上げる。
「お兄ちゃん、朝ご飯出来たよ。」
「おう」
今日使う教材を鞄に入れて、忘れ物がないか確認する。教師が忘れ物したら生徒に示しがつかないからなぁ・・。確認が済むと俺は朝食を食べる。今日は目玉焼きにトースト、コーヒーと喫茶店のモーニングセット風の朝食になった。一人の時はいつもパン一枚で済ませていたが雛子と一緒に暮らすようになってからはすっかりごく一般の朝食になった。朝食が済むと雛子は学校に行く準備を始める。
「雛子、そろそろ行くぞ」
「うんちょっと待って」
雛子は制服のリボンを結ぶと鞄を手に玄関まで走ってくる。学校指定の靴を履き、一緒に学校に向かう。ちなみに俺たちが兄妹ということは学校の知るところにある。なので正々堂々と一緒にに学校に行くことができるし、同居もできる。まあ血が繋がってないことに関しては学校の方は知らないが。
きーんこーんかーんこーん
「ふう・・・やっと昼か・・」
俺はキーボードを打つ手を休める。
「たいぶできてきたな・・」
俺はディスプレーに写る文字を見る。
今日の授業で使う小テストだ。
まあ事前にテストを行うと生徒に言っておいたから文句を言われる筋合いはないだろう。
俺はパソコンの電源を落とすと鞄から弁当箱を出す。
雛子が今朝作ってくれた通称「愛妹弁当」である。
さて・・・どこで食べようか・・。
職員室で食べてもいいが今日は外で食べたい気分だ。
弁当箱と缶コーヒーを手に俺は職員室を出た。
この学校でお昼を食べる場所といえば、食堂、屋上、中庭、教室とある。
「外で弁当も悪くないな・・」
俺は中庭で弁当を食べることにした。
中庭に向かおうとすると・・・
「辻本先生」
「ん?ああ辻本か」
同じく弁当を手に持った雛子に呼び止められた。
「お昼ですか?」
「まあな・・」
「じゃあ一緒に食べませんか?」
「いいねえ」
「じゃあ行こ」
中庭に出て日の当たりのいいベンチに座り昼食を始める。弁当の味は・・まあまあである。
なんで弁当の中に冷奴なんか入れるかなぁ・・。
「ねえ先生」
「ん?」
「今日の午後の授業にテストやるんだよね」
「ああ・・ちゃんと勉強したか?」
「まあね・・・で・・先生にお願いがあるんだけど」
「却下」
「・・まだ何も言ってないぞ」
「どうせテストの内容を教えてって言うんだろ。完璧な不正行為じゃないか」
「いいじゃない・・・ちょっとぐらい・・」
「だめ・・何のために昨日テストの予告をしたと思ってるんだ」
「うう〜」
「テストの点数が悪かったらどうなるかわかってるだろうな」
「・・ふえ〜んおにいたまぁ・・・・」
「幼児退行するな・・」
「ちぇ・・」
「ま、頑張れや」
たとえ妹の頼みでもテストの内容を教えるわけにはいかない。
一緒に暮す時にそのことを言っておいたはずなのだが・・・・。
「ねえ先生・・」
「ん?」
「今度のお休みどこか行こうよ、映画とか遊園地とかさ」
「・・・・だめ・・」
「どうして?」
「そこで他の生徒に会ったらどう言い訳するんだ?」
「私が無理やり誘ったって・・」
「じゃあもし俺が他の生徒とデートしていたらどうする・・・」
「それはいや!!」
「だろう・・それにもしデートを見られて変な噂が出たらどうするんだ?」
「・・・・どうしよう・・」
「世間体とか気にするわけじゃないけど・・・・もし変な噂とか出たら・・俺達一緒に暮らせなくなるんだからな」
「うん・・・」
「まあ・・夏休みにどこか行くなら考えてやってもいいけど」
「約束だよ・・」
「ああ・・・そろそろ授業が始まるんじゃないか?」
「え?もうそんな時間?じゃあお兄ちゃん、六時間目に・・」
「先生だろ・・・早く行け」
「うん」
弁当を片付けると雛子は全力疾走で校舎に走っていく。
さーて・・・授業までまだ一時間あるし・・・昼寝でもしようかな?
「辻本先生・・・」
「ん?あ・・あなたは・・・」
二話に続く・・・・。
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