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ゴキブリ狂想曲
作 雄一さん
その日は平和だった。
「じゃあいってくるからな」
「いってきます。」
「お留守番よろしくデス」
「今日の夕飯は焼き肉ですの」
兄は可憐と四葉と白雪と一緒に買い物に。
「いってきまーす」
「花穂ってば早くしてよ映画始まっちゃうよ」
「急ぎましょう花穂さん、鈴凛さん」
花穂と春歌と鈴凛は映画を見にいった。
「咲耶ねえたま、衛ねえたま、行って来ます。早く行こう亞里亞ちゃん」
「はい行きましょう。」
雛子と亞里亞は友達の家に遊びに。
「では行って来ます。」
鞠絵は病院に・・・・・家に残ったのは咲耶、衛、千影・・・
「あーあ買い物に付き合えばよかったかしら」
「たまにはこういう日もいいんじゃないかな」
紅茶をのみながら会話を交わす咲耶と衛。
千影は部屋で怪しい実験の真っ最中らしい。
どから見ても平和な家庭の1シーンだった。あの黒い物体が現れるまでは。
ゴキブリ狂想曲
「・・・・あらお湯が・・・」
咲耶は紅茶のお代わりをしようとした、しかしポットのお湯がなくなっていた。
「しょうがないわね・・・」
咲耶はポットを持つと台所へ向かった。ポットに水を注ぎ、電源を入れる。
「咲耶姉ぇ、お菓子もお願い」
衛がリビングから叫ぶ。
「自分で持ってきなさいよ・・・・まったく」
文句をいいながらも戸棚から煎餅やクッキーを出す。
こうやって妹に優しくしておいた方が、兄の自分に対する評価が良くなると思ってのことだろう。
戸棚を閉め、お菓子をリビングに持っていこうとした時・・・それは現れた。
カサカサカサカサ!!
「え?」
咲耶の足元で何かが通り過ぎた。ミカエル?バニラ?にしては小さい・・・
「気のせいよね・・・」
「ねえ咲耶姉ぇ・・・早くぅ・・・」
「ええ・・・」
衛にせかされお菓子をリビングに持っていく。リビングではすっかりくつろいでいる衛がテレビを見ていた。
「ほら・・・持ってきたわよ・・・」
「サンキュウ・・・咲耶姉ぇ」
「その代わりポットのお湯が沸いたら持ってきてよね」
「うん・・・」
そのあとも何事もなく時間が過ぎていく。
時々二階から変なうめき声が聞こえるがいつものことで気にしてない。
「・・・・何やってるのかしら千影?」
「気にしない方がいいよ・・・・命が惜しければ」
「そうね・・・」
そして・・・ついにそれは現れた・・・
「あれ?なんだろうあれ?」
「どうしたの?」
「ほら、テレビの右端・・・なんか黒いのが・・・」
衛の指差すほうを見ると、確かにそこには黒い奇妙な物があった。
「・・・何かしら」
「あっ動いた」
黒い物はゆっくりと動き始める。どうやら生き物らしい・・・・
「ね・・ねえ咲耶姉ぇ・・・あれって生き物?」
「う・・・・うん・・・そうみたい・・」
「・・・・・ねえ・・・あれってもしかして」
「カブトムシ・・・かしら?」
「違うと思うけど・・・今は冬だよ」
しばらくすると黒い生き物が動きを止める。
そして・・・・羽みたいな物をを広げてる。
咲耶と衛はその光景を見てある確信を得た。
「ま・・まさか・・・」
「うん・・・きっと・・・そうだよ・・・」
「「キャ――――――――――――!!!!!」」
二人は悲鳴を上げると一目散にリビングから出てドアを閉める。
「あああああああれってごごごごゴキブリ・・・」
「そそそそそそうみたい」
黒い物の正体・・・それは誰もが嫌うゴキブリだった。
「まっ衛・・あなた男みたいだから何とかしなさいよ!!」
「なんだよそれ・・・ボクだって女の子だよ!咲耶姉ぇこそ年上なんだから」
「今はそんなの関係ないわよ!!」
ゴキブリの始末の役目を押し付けあってる二人のところに救世主(?)が現れた。
「・・・・どうしたんだい二人とも」
実験が一段落ついたのか千影が二階から降りてくる。
「・・・・・・リビングの前でなに話してるんだい?」
「ちっ千影、お願い!!何も聞かないでリビングに入って」
「????どういうことだい?」
「いいから早く・・・千影姉ぇの得意の黒魔術で・・・」
「・・・・どうやら幽霊類の物みたいだね、さっきの儀式で寄って来たのか?」
千影は何も聞かずにリビングに入る。これであのゴキブリも消滅する。
しかしその思惑は思いっきり外れた。しばらくすると・・・・・
「きゃあああああああああああああああああああああああああ」
リビングから悲鳴が響く。そして扉が開き血相を変えた千影が飛び出してくる。
「ち・・・千影姉ぇ・・・・キャラ変わってる・・・」
「どうしたの・・・千影?」
「ごごごごゴキブリじゃないかあれ・・・・」
「そうよ・・・早く何とかして」
「むっ無理・・・私もあれ苦手・・・」
「なんでさ・・・いつもあれよりもグロテスクな物呼び出してるくせに」
「それとこれとは関係ない」
「咲耶姉ぇ!ドア開きっぱなし」
衛の一言で咲耶と千影は我に返る。そして恐る恐るリビングを覗く。
ゴキブリの姿は見えない、どっかにいったのか?
カサカサカサカサ!
「ひゃああっ!!」
「うわ!!」
「きゃあ!!」
ゴキブリは足元にいた。そして咲耶たちの足元をうろうろさまよっている。
「逃げろ!!!!!!」
3人は一目散にその場から逃げ出す。そのあとを追うゴキブリ。
「何でついてくるのよ!!」
「知らないよ!」
「二階に!!」
階段を駆け上がり二階に上がり、そして悠の部屋に逃げ込む。ドアをしっかり閉め、窓も鍵をかける。
「はあはあはあ・・・ここまでは追ってこないでしょう」
「そうだね・・・」
「一応結界も張っておこうか・・・」
と千影がドアに近寄った時だった。
カサカサカサ!
「いやああああああああああああああああ!!!」
「どうしたの千影?・・・・きゃああああああ」
「うああああああああ」
いつの間にか入ったのかそこには見慣れた黒い物体が・・・・・ドアを蹴破り、廊下を走る3人。
「どうして入ってるのよあれが!!」
「知らないよ・・・もしかして二匹目?」
「そういえば一匹見つけたら40匹はいるって聞いたことがある。」
「「えええええええ!!!」」
「もうやだよ、誰か何とかしてよ!!」
「そういえば、ゴキブリ退治っていつもお兄様と春歌がやっていたような・・・」
普段ゴキブリが出た時、いつも退治していたのが兄と春歌であった。
兄はともかく、春歌が退治したときは壁に矢や、刀の跡が残っていた。
そんなこともあり、ゴキブリ退治は兄に任せっぱなしだった。
「ああ!!行き止まり!!」
長い廊下の先には壁が立ちふさがった。
「もうだめ・・・」
「諦めないでよ咲耶姉ぇ」
「・・・・・・もうだめ」
「へ?千影姉ぇ?」
ついに千影が倒れてしまう。
「こんな所で気を失わないでよ千影姉ぇ・・・」
「きた!!」
目の前には壁・・・後ろにはゴキブリ・・・絶体絶命だった。
「こっこないで!!」
衛は足をばたばたさせるが逃げ出す気配がない。じわじわとゴキブリが3人を追い詰めていく。
「ああせめてお兄様にこの体をささげてから死にたかった・・・」
「咲耶姉ぇってば何変なこといってんの・・・うわあああきた・・」
そして、獲物を追い詰めた(?)ゴキブリが3人に迫るまさににそのときだった!
プシューーーーーーー!!
「大丈夫か3人とも」
目の前には殺虫剤を持った兄の姿があった。
「あ・・・あにぃ・・・」
「お兄様・・・」
「何やってんだか・・・ほら千影起きろ・・・風邪引くぞ」
「ん・・・・・あ・・・兄くん・・」
「まったくたかがゴキブリで何やってんだか・・・・」
「だってぇ・・・」
「怖いものは怖いもの」
「まあ、しょうがないか・・・」
兄はそういうと殺虫剤をかけたゴキブリを見る。わずかだがぴくぴくと動いていた。
「ふ・・・・最近のゴキブリは生命力が凄いな・・・よしとどめだ」
そういうと兄はジャンプをする。
ぷち・・・・・
着地と同時に何かがつぶれた音がした。そして兄の履いているスリッパの下から奇妙な液体がでてくる。
「・・・・・・うわ・・・もうだめ」
「私も・・・・」
「ああ・・・時が見える(?)」
それを見た三人は倒れてしまう。
「おい!!大丈夫かしっかりしろ!!」
その後・・・・3人は夕飯が完成するまで寝込んでしまった。
兄の必死の看病(?)で何とか元気を取り戻した彼女たちは元気に夕食を食べるほどに回復した。
しかし・・・夕食の後・・・・屋敷に白雪と花穂の叫び声がこだました・・・
狂想曲はまだ終わりを告げない。
教訓:1匹見つけたら40匹いると思え by千影
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yuuiti53@hotmail.com
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