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アンジェのキス
〜衛〜
作 雄一さん
「よし、準備完了・・・でもやっぱり胸がきついや・・」
ボクは何度も胸に巻いているさらしを確認する、演劇部の子に借りたけど・・・やっぱきついや、最近胸が大きくなってきたみたいだけど・・・でも何とかごまかせるよね。
「でも・・・ここがあにぃの学校かぁ・・」
私立誠心館高校、ボクの大好きなあにぃが通っている男子校、歴史ある学校で、偏差値もかなり高い・・・頭のいいあにぃがやっと入ったくらいだもん、それに東大入学を果たした人だっているらしい。
その男子校に・・ボクはこれから侵入する、大好きなあにぃに合うために。
別に全然会えないってわけじゃない、毎日あっている、一緒に暮らしてるし・・・キスだってする。
へへ・・・実はボクとあにぃは・・・ひそかに愛し合ってるんだ、告白したのはボク、あにぃはボクの思いを受け止めてくれた、そして将来結婚しようって誓ったんだぁ。「生涯衛一筋だ」って意味も込めてあにぃはこの学校に入学したらしい。この学校・・・ものすごく校則が厳しいみたいなんだ、特に男女交際に関しては、女性は学校に敷地内に入るなってくらい・・・。あにぃは別にそのことを苦に思ってるわけでもないみたい、ボクだって・・あにぃの浮気の心配もしなくていいし・・でも・・最近様子が変なんだ。
家に戻ってキスをねだっても・・・すぐに部屋にこもっちゃうんだ、ちゃんとキスはしてくれるけど。もしかして・・・・学校で何かあったのかな?もしかして・・・いじめられているとか?もしかして・・・かつあげにあってるとか?もしかして・・もしかして・・・ホモに目覚めちゃったとか・・それだけは絶対にいやだっ!!!!
その真偽を確かめるためにも、ボクはこうしてここの制服を着て侵入するんだ!!!
あにぃの予備の制服は大きいから、演劇部から似たような学ランを借りてきて、こうやって胸をさらしで押さえて、髪の毛もちょっとぼさぼさにして、どこからどう見たって完璧な男の子!!って元が男の子っぽいからね・・・自分で言っておいてなんだけど。
とにかく、いよいよ侵入するわけだけど・・・さすがに授業中とかには侵入できないから、最後の授業が終わる前に侵入だ!!
「へえ・・・ここが・・・」
何とか侵入できたけど・・・結構広いんだなあ、でもあにぃの教室はわかっているからね。
えっと・・・もうそろそろチャイムが鳴るはずなんだ、え?何で知ってるかって?
この日のために、後輩で推理小説作家のお父さんを持つ子に調査を依頼したんだ。その子は探偵志望で結構細かく調べてくれたんだ・・・どこからが侵入しやすいとかどこが危ないかってまとめてくれたんだ。
「でもどうやってチェキしたんだろ・・・」
「そこの一年!!!」
「わぁっ!!!!!!!」
いきなりピンチ!!番長みたいな人がボクの前に現れたんだ、すっごい大きい・・それに・・・なんか汗臭い。
「見かけない顔だな・・」
「あ・・・あまり目立たないからボク・・・」
なんて・・・いい加減ないいわけだろ、バレル前に急いで逃げなきゃ。
とりあえず・・・ダッシュ!!!!!!!
「でぇぇぇぇぇいいいい!!!!!!」
「あっ!!!まてぇ!!!!!!!!」
廊下は走るべからず、だけど今は緊急事態!!!!
とにかくどこかに隠れてやり過ごさなきゃ、えっと・・・・どこがいいんだろ?
トイレ!!!は誰かいるかもしれないし、倉庫!!じゃすぐ見つかりそうだし・・・
あーもう、どこにも隠れる場所がないよぉ!!!
「まてぇぇぇぇぇ!!!」
「まてなぃぃぃぃぃぃ!」
とりあえずあにぃの教室へ行こう、あにぃに匿ってもらうんだ!!
侵入したことがばれちゃうかもしれないけど、捕まるよりはましだっ!!!
えっと1−2はどこだろう、ずいぶん走ったけど教室が見当たらないよぉ。
もしかして見当違いのところを走ってるのかな?でもこの地図にはもうそろそろ・・って・・
「あったぁ!!!!」
『きーんこーんかーんこーん』
あにぃのいる教室だ!!しかもタイミングよく授業終了に合図!!!
下校のどさくさにまぎれて隠れてあにぃを探そう!!!
あにぃ、今会いに行くよ!!
『がしっ!!』
「捕まえたっ!!」
「わぁぁぁ!!!」
つ・・・捕まっちゃった、まだあにぃにあってないのに、この汗臭い番長に・・・どうしよう、ボクどうなっちゃうんだろ・・・
「お前・・・いい匂いする・・」
「え?」
「香水でもない、シャンプーでもない・・・これは・・コレは・・・」
な・・・何かいやな予感・・・もしかして・・・もしかして・・・
「お前・・・お前・・・」
「離してよぉ!!離してよぉ!!」
「お前・・もしや・・・いやそんな・・・」
「まさか・・・まさか・・おん・・」
「波紋疾走!!!!(オーバードライブ!!)by奇妙な冒険より引用」
『ズドベシ!!!!』
「んがっ!!」
「わぁっ!!!」
番長の後ろで聞きなれた声が、もしかして・・・
「なに弱いものいじめを・・・って・・」
「あにぃ!!!!」
やっぱりあにぃだ!!!この声、この呼吸!!、そして・・・この技!!
「あにぃぃぃぃぃっ!!!」
「衛!!ってお前なんで・・というか・・・」
やっぱりびっくりしている、それもそうだよね・・・ボクがあにぃの学校に侵入してるんだもん。
「違和感ないなお前・・・」
「・・・・え?」
「マッチしてるな・・制服」
「あにぃ・・・」
『ぼかすかっ!!!!』
「っでぇぇ!!!!」
もう誰のせいでこんな格好してると思ってるの!!誰のせいでこんなきつきつなさらしを巻いていると思ってるの!!!
「と・・とにかく、逃げよう・・・」
「そ・・そうだね・・」
他の生徒が集まる前に、ボクたちは全力疾走で逃げることにした。
「ここなら大丈夫だろ・・」
あにぃは鍵をかけるといすに腰掛ける、ボクはベッドの上に・・・ちなみにここは保健室、誰もいなかったし隠れるにも都合がよかった。
「衛・・お前やっぱそういう・・」
「あにぃ・・」
「冗談だよ、まったく・・・お前がこんな大胆なことをするなんて思わなかったぞ」
「だって・・・最近のあにぃの様子・・変なんだもん・・」
そういったとたん、あにぃの顔が硬直する、やっぱ何かがあったんだ。
「・・・・変か?」
「うん、ものすごく」
「そうか・・・だからといって変装して侵入はないだろ、変装して」
「だってぇ・・・」
「うちの学校、ただでさえ女気ないからなぁ・・・襲われるぞ」
「うう・・・話変えないでよ・・」
「はいはい・・・で・・どこから話せばいいのやら・・・」
「そんなに複雑なの?」
「いや・・男に告白されてな」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?
しばらくお待ちください・・・・・・・・再起動
「な・・・なに?」
「だから、男に告白されてな」
「・・・・・ホモに目覚めた?」
「なわけないだろ!!!!!」
そ・・・そうだよね、あにぃはボク一筋だって言ってくれたし、そもそも告白されてから目覚めるなんてありえないよ、でもどうしてあんなに悩む必要が・・・
「・・・告白された人数が・・・半端じゃねぇ・・」
「え?」
「・・・・三十人・・」
シャットダウンします・・・・・・再起動中・・・・・・・・・・・・
「まさかぁ・・」
「事実だ、襲われかけたし・・」
「ええええ!!!!!!!!」
あ・・・あにぃってそんなに美少年というか・・・かっこ悪くはないけど、男の人にもてる様な顔じゃないと思うけど、まぁ以外といえば以外・・・
「毎日暑い視線を向けられてな・・・・ぐんにょりなんだ・・」
そ・・・それは嫌かも、ボクのことを思ってやったことが裏目に出るなんて。
同性の人からの熱い視線かぁ、ボクにもその気持ちがわかるけど。
あにぃ可愛そう・・・その気持ちわかるよ・・・
「御理解していただけだでしょうか?」
「まるで漫画みたいな話だったけど・・・・・信じるよ」
「ん、感謝する・・・さて帰ろう・・・」
ここでこんな話をしてもしょうがない、さっきの番長のこともあるし、日が暮れてきたし・・・この後あにぃとデートもしたいしね。それに・・・さらしって結構むれるんだぁ、もうあつくてあつくて、早く脱いで楽になりたいなぁ。
『ざっざっざっざっざっざっざ』
「・・・・あ・・」
「な・・何?この足音は・・」
急に規則正しい足音が聞こえてきたんだ、まるで映画で見た軍隊のような、それになんか・・・感じたことがある熱気を感じる、たしか・・・ボクのクラスの女の子がよく出す熱気だ!!
「あ・・・あいつらが来た・・」
規則正しい足音を聞いたとたん、あにぃの顔が青空のように真っ青になった。
あいつらっていったい・・・その足音がだんだん保健室へ近づいてくる。
「あ・・あにぃ・・?」
「いつの間にか・・・ファンクラブができていてな・・」
「ふぁ・・・ファンくらぶぅ?」
「そいつが・・悩みの種なんだ・・」
いつの間にか足音がやみ、保健室のドアが揺れている・・・強引に開けようとしてるみたい・・というか・・人の気配がすっごいんですけど。ドアの向こうでは「祐輝くん」と名前を何度も連呼してるし、これじゃああにぃがぐんにょりするのは当たり前だよ。
はやくにげないと・・・もしボクが女の子だってばれたら大変なことになるよ。
でも・・・このままじゃいつかあにぃがだめになっちゃう、何とかしなきゃ・・ボクのせいであにぃが倒れるなんて見たくないもん!!
「あにぃ!!!!」
「ま・・衛・・」
「戦おう!!」
「無茶を言う!!」
「大丈夫!!ボクに一撃必殺の技があるんだ」
ドアの鍵が壊れる音がした、迷うことはない!!
ボクはあにぃに抱きついてその時を待った、そして・・・・
『がちゃん!!』
壊れた、ドアが開いて男の人たちがなだれ込んでくる、うわぁ・・ごつい人ばかり・・
あにぃ、大丈夫だよ、ボクが守ってあげる!!!
「あにぃ、目を閉じて・・」
「ま・・・衛?」
「ボクは君の事が好きだぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」
『ちゅ』
捨て身の作戦、ボクはあにぃに思いっきり告白した、この光景を見せ付けてあきらめさせる作戦!!即席ながら完璧な作戦・・・なのに・・・
「祐輝くん・・」
「嘘だろ・・」
「こんなに愛してるのに・・」
「すべてをささげようと思ったのに・・」
あれ?なんかすっごくやな予感がする、熱気も倍に膨れ上がったような気が・・・
もしかして・・・逆効果?
「衛・・・火に油を注ぐとどうなる?」
「・・・ゴメン・・」
「にげろぉ!!!!!」
「わぁぁぁぁあぁぁ!!!!」
ボクたちは保健室の窓から飛び出した、後ろからは火の玉と化したあにぃファンクラブの皆さん・・・・ボクたちは走った・・・息の続く限り・・・・
その後、あにぃは共学の学校に転校することを決めたらしい・・・・
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yuuiti53@hotmail.com
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