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アンジェのキス
〜雛子〜

作 雄一さん


「おい祐輝」
「あ、先輩」
玄関で靴紐を締めていると、僕は先輩に呼び止められた。
「おまえの生徒が校門で待ってるぜ」
「え、雛子ちゃんが?ありがとうございます!!」
どうやら雛子ちゃんが校門で待っているようだ、待たせちゃいけないな、急いで行って上げないと、今日は先生の日だったな。僕は駆け足で校門に向かう。







雛子ちゃんは僕の家の近所に住んでいる女の子で、今年小学一年生になったばかりの子である。彼女が生まれる前から、雛子ちゃんの両親とは付き合いがあり、雛子ちゃんとは兄妹のような関係で「おにいたま」と呼ばれている。
「おーい雛子ちゃん」
「あ、おにいたませんせい〜」
僕と雛子ちゃんは本当の兄妹のように、毎日一緒に遊んだりお勉強をしたりしている。今日は「先生の日」と言って、いっしょにお勉強をする日である,
だから雛子ちゃんは「おにいたませんせい」と呼んでいる。
・・けど・・・今日はちょっと気が重い。
「おにいたませんせぇ、きょうはなにをおしえてくれるの?」
「そうだなぁ・・・」
僕は考えるふりをして別なことを考える・・・どうやったら・・
「?おにいたませんせい、げんきないの?」
「え?そんなことないさ、ほらげんげん元気!」
空元気である、今日は雛子ちゃんにとってとても悲しい日になってしまうからだ。そして今日、そのことを雛子ちゃんに伝えなきゃいけない。そんな僕の気持ちも知らないで雛子ちゃんは楽しそうにスキップする。
「きょう〜はおにいたませんせぇのひぃ〜」
「楽しそうだね、雛子ちゃん」
「だっておにいたませんせぇとおべんきょうだもん」
「そっか」
余計に言い出せなくなってしまった、こんなに楽しそうな雛子ちゃんを見ると僕も楽しくなってしまう。まいったなぁ・・・でも今日中に言わないと・・。
仕方がない・・・悲しい顔は見たくないけど・・
「雛子ちゃん」
「はえ?なぁに?せんせい」
「今日でおにいたませんせいは終わりなんだ」
「ほえ?」
「そして、お別れなんだ・・」
「え?」
両親の事情で、僕はこの町から引っ越すことになってしまった、決まったのは一ヶ月前、もう荷物はまとめてあり、転校手続きも終わっている。まだ終わってないのは・・・雛子ちゃんへのお別れの挨拶。一ヶ月の間言い出そうと思っていたけど、まぶしいくらいの雛子ちゃんの笑顔を見ているととても言い出せなくて、楽しい日々比例して嘘をつく罪悪感がだんだんと大きくなってきたのがわかった。
そして・・・その罪悪感が最高潮に達している・・、雛子ちゃんの笑顔はなくなり、今にも泣きそうな顔に・・
「おわかれ・・?」
「うん、ごめんね・・その代わり今日は・・」
「やだ」
「やだって言わないでよ」
「おにいたまとおわかれなんてやだぁ!!!!!」
雛子ちゃんは持っていたバックを道路に落とし、大声で泣き出してしまう。
「雛子ちゃん」
「わああああああん、いやだぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ごめん・・・本当にごめん・・」
「おにいたまなんか・・・おにいたまなんかだいっきらい!!!どっかいっちゃえ!!!!!!」
その言葉が深く心に突き刺さる、胸がナイフを突き立てられたようにいたい、僕も・・・大声で泣きたいくらいだった。気が付けば雛子ちゃんの姿はなく、残っていたのはかわいい手提げバックだけ。
「だいっ嫌い・・・か・・」
僕は変態なのかもしれない、自分よりすごく年下の女の子に恋をしているのだから、同級生から告白されても雛子ちゃんの笑顔と比べてしまう。彼女の笑顔は・・・きっと世界一純粋で、かわいい笑顔だと思う。そんな笑顔を独占できる僕は・・・世界一の幸せものだと誇りに思っていた。でも・・・
「あやまらなくちゃ・・」
あやまったって・・・許してはくれないかもしれない、でも・・もう一度あの笑顔に会いたい。僕は雛子ちゃんのバックを持ち上げると彼女の家に向かって歩き出した。







『天眞』とかかれた表札のある家の前に立つ、ここが雛子ちゃんの家。
確か今日はご両親はいないはず、そのため雛子ちゃんは家の鍵を持っていたはず・・・だけどその鍵はバックの中、無くさないようにといつも雛子ちゃんはバックのポケットにしまっていた。鍵がここにあるということは・・・雛子ちゃんは・・・
「ひっく・・」
「・・・雛子ちゃん・・」
雛子ちゃんは茂みの前で小さくなっていた、目には涙が・・・泣き疲れて眠ってしまったらしい。僕は家の鍵を空けると起こさないように雛子ちゃんをそっと抱き上げる。そしてそのまま家に入り、リビングのソファーに寝かせる。
「おにいたまぁ・・いかないでよぉ・・」
「僕の夢を見ているのか」
僕だって雛子ちゃんとは離れたくない、だけど・・・
「雛子・・・」
こんなかわいい子を泣かせるなんて、僕はなんて罪深き男なんだろう。
「離れたくないよ・・・僕も・・」
無意識のうちに、僕の顔は雛子ちゃんの顔に近づく・・・そしてそのまま・・・
「ん・・・」
気が付けば・・・キスをしていた、柔らかい・・・雛子ちゃんの唇・・・
「おにいたま・・」
「ん・・・え・・・」
目の前にはかわいいお目目が二つ・・・ってもしかして・・
「起きてた?」
「うん」
「・・・・・・・・・・・・・・・えっと」
「おにいたまちゅーした!!!!!」
「わぁぁぁぁぁぁぁ!!!ごめん!!!」
あわてて雛子ちゃんから離れる僕、どどどどどどどうしよう・・・
「ごめん・・・かわいいからつい・・・」
「うそ・・」
「・・・」
「だって・・・「ちゅー」はすきなひととだけするものだって、おかあさんいってたもん、おにいたまはヒナのことすきなんでしょ」
「ぼ・・・ぼくは・・」
「ヒナね、おにいたまのことだいっきらいっていったけど・・・あれうそなの、ほんとうは・・・ほんとうはおにいたまのことダイダイダイすきなの、だから・・・おにいたまもヒナのことすきって言って」
「そ・・そんな・・ほ・・本当にかわいかったから・・」
「ヒナがこどもだから?ヒナがこどもだからうそつくの?」
「それは・・」
「ヒナ・・いそいでおとなになるから・・だから・・・」
また雛子ちゃんの目に涙が溢れ出す、僕は・・・・
「雛子・・」
「あ・・・」
僕は溢れ出す涙をすすってやる、そしてもう一度、雛子ちゃんにキスをした。
「おにいたま・・」
「泣かないで雛子、永遠のお別れじゃないんだ・・また会えるよ」
「ほんとう?」
「うん・・・僕も雛子ちゃんが大好きだよ・・、だから引っ越しても雛子ちゃんに会いに行くよ、約束する」
「ほんとうにほんとぅ?」
「ああ・・約束する」
「やくそくだよ・・」
そして僕たちは、誓いのキスをい交わした・・・この別れが・・永遠ではないことを証明するために。









『ぷるるるるるっる』
誓いのキスから二週間後、ようやく新天地で落ち着いた僕の元に一本の電話が入った。
「もしもしぃ、祐輝くん・・」
「あ・・春奈さん」
電話の相手は雛子ちゃんのお母さんの春奈さんだった、ちなみに旦那さんの名前は「悠」さんである。
「そんなことはどうでもいいのよ」
「あ・・そうですか、それで?」
「雛子のことよ・・」
「雛子ちゃんですか?」
会いに行くと誓ったものの、引越し後にテストが待ち受けていて、会いに行くことができなかった、今度の休みにでも会いに行こうかと思っていたけど。
「何かあったんですか?」
「泣いてるのよ・・・祐輝くんが引っ越してから・・・」
「え?・・引っ越したときからって・・まさか二週間も!!!!!!」
「そうよ・・・朝から晩までわーわーわーわー・・・悠も泣かしておけって放置プレイしていたけど・・・まさかずっと泣きつづけるとは思わなかったでしょうねえ・・」
「うわぁ・・学校どうしたんだろ」
「もう私も悠も限界よ・・・二週間もあの子の泣き声聞かされたら・・」
「すみません、来週会いに行きますから・・」
「聞こえなかった?限界だって」
「あ・・・まさか今からこいと?」
「なわけないでしょ・・・あげるわ」
「・・・・・え?」
春奈さんの言葉に一瞬フリーズする僕、再起動して春奈さんに聞き返す。
「あげるって・・どういう・・」
「他意はないわ、悲しいけど娘のためよ・・」
「えぇ!!!」
「この犯罪者が、ヒナを幸せにしなかったら・・・マジで訴えるからね、じゃあお幸せに、大丈夫よ、時々会いに行くから」
電話が切れてしまった、そして同時に玄関のベルがなる・・・
「まさか・・」
心臓が早鐘のように早くなっていく、僕は急いで玄関のドアを開けた・・そこには・・・
「おにいたまぁ!!!!!」
「雛子!!」
そこには・・・天使のような衣装を身にまとった雛子ちゃんが・・・
雛子ちゃんは僕を見るなり抱きついてきた、目が少しはれてるけど・・確かに雛子ちゃんだ。
「雛子ちゃん・・」
「えへへ・・・ヒナね、おにいたまのおよめさんなの」
「およめさん?もしかしてその衣装って・・・」
「おかあさんがつくってくれたの、うえでぃんぐどれすだよ」
「春奈さんったら・・・」
「おにいたま、ヒナのことおよめさんにしてくれる?」
雛子ちゃんが不安そうに僕を見つめる、僕は雛子ちゃんを抱き上げ思いっきり抱きしめた。
「ああ、結婚しよう」
「おにいたまぁ!!!」
雛子ちゃんの目から涙が溢れ出した、悲しみの涙じゃない・・・そして僕も涙を流していた。
「よろしく、僕のかわいいお嫁さん」
「おにいたま、ヒナをいっぱいいっぱい愛してね」







あとがき代わりの座談会

出演者
悠、春奈、祐輝

悠「犯罪者」
春奈「犯罪者」
祐輝「う・・・」
悠「まったくいい年した学生が・・・よりによって小学生を・・」
春奈「本当、かわいそうにヒナちゃん(涙)」
祐輝「うう〜」
悠「ま、いじめるのはこんくらいにして・・・今までのアンジェのキスシリーズを振り返ってみようかと」
祐輝「あ・・はい(びくびく)」
春奈「新兄、「祐輝」くんのことね・・なんで今ごろ」
悠「作者の気まぐれ」
祐輝「管理がただでさえ大変なのに・・・よくもまぁ」
悠「まぁそのおかげで君が生まれたんだ」
春奈「設定では・・・プレッシャーに弱く、キレやすい、ちょっと暴力的と・・・ダークな印象があるわね、気の弱い男の子みたいな」
悠「で・・シリーズが進むごとに少しずつ大人へと・・・というか・・すでに設定が変わってるし」
祐輝「す・・・すみません」
春奈「白雪ちゃんのBDSSの感想でブーイングのメールを受け取ったからねぇ・・・」
悠「ま、今後の活躍に期待・・・だな」
春奈「あっさり終わったわね」
悠「まぁまぁ、ところで・・アンジェのキスを読んでいて気が付いたことはないか?」
春奈「そういえば・・・美咲さんや私が出てる・・・悠も、もしかしてこれってサボテンと何かつながりが・・」
悠「ない」
春奈「をい!!!」
祐輝「某ス例矢―図と某炉巣と湯にバーすを読んで影響されたと作者は熱弁しております」
悠「まぁ確かに関係なさそうだけど・・・実は作者の中で新シリーズがあるらしい・・・」
春奈「またぁ?ただでさえ忙しいのに・・」
悠「あくまでも「らしい」だから実現するかどうかはわからないけど
祐輝「今後に期待・・・ですか」
悠「そういうこと、それじゃあ短いけどこの辺で」
祐輝「みなさん、今後もよろしくお願いします」
春奈「十三人目の妹希望というメール待ってます」
悠「送らないでいいからなあ〜」
三人「それでは!!!!」

 


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yuuiti53@hotmail.com
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