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アンジェのキス

〜鈴凛〜

作者 雄一さん


今日は鈴凛と最後のデートだ、私はそんなことを考えながら車を走らせていた。
隣では鈴凛が静かな寝息を立てている、朝早くだったからな・・。
別に悲しいわけじゃない、これが始まりなのだから。
デートの場所は海、しかも泊りがけだ、時間はたっぷりある。
今日は思いっきり楽しむことにしよう。
海に着くと彼女は飛び起き、すぐに荷物を降ろし始める。
「アニキ〜はやくはやく〜」
「わかったわかった・・というか・・この荷物の量は半端じゃないぞ」
いつもながらに彼女と付き合うデートには必ず大きな荷物がおまけで着く。
中身はたいてい新しい発明品ばかりである、特許物からくだらないものまで。
よくもまぁこんなものを作ると出会った当初は思ったものだ。
「今日は何を持ってきたんだ?」
「スイマー君三号改だよ」
「おい・・勘弁してくれよ・・おじさん体力そんなにないぞ」
「いいじゃん、実験台になってくれたら援助控えてもいいけど」
「ふん、実験に成功しようが失敗しようが援助をねだるくせに」
「えへへ〜」
私達は近くの民宿に荷物を置き、早速海で泳ぐことにした、もちろんスイマー君三号改の実験もかねてである。思えば・・初めての実験のときは俺が溺れ掛けたし、二回目は鈴凛が瀕死に追い込まれたよな・・まったくあれほどの目に遭っても懲りないとは。その精神を見習いたいよまったく。
「そういえば・・メカ鈴凛はどうなんだ?」
「ん?家で充電中、昨日の歩行試験でずいぶんエネルギー使ったからね」
「そうか・・いよいよメカ鈴凛も本格始動か」
「そうそう、後はアニキが触れても倒れないように改造すれば・・」
「応援だけはしてやる」
「あ・・アニキぃ・・」
浜辺に着くと早速鈴凛はスイマー君のセットに入る、被験者は俺で・・
「今度は大丈夫だよ」と言い張っていたが、鈴凛の「大丈夫」は当てにならないしな。
スイッチを入れ、早速海へ入る・・・が・・・
「し・・沈む・・」
「アニキ!!!!!!!!」
危うく溺れるところであった、そういえばこのスイマー君・・以前よりも大きくなっているような気がする。幸いにもライフセーバーに助けられ事なきを得たが、肝心のスイマー君が海へ沈んでしまったのだ。完全防水でまず壊れることはないが・・・回収が大変だぞこりゃ。
「こんどはサルベージか?」
「う・・」
「言っておくが・・手伝わないぞ・・」
「・・・自力回収します」
鈴凛は携帯用の酸素ボンベをつけるとスイマー君の救助に向かった。もちろん、あんなことをいったが一人で行かせるわけにもいかないので私も着いていく。
幸いスイマー君は比較的浅いところで見つかった、二人がかりで何とか回収する・・
それから浜辺で何が原因かを探ることになった、というか・・見たまんまだと思うけどな私は、こんな重いものを背負って泳げとは・・スキューバダイビングなら有効活用できそうだけど・・錘として。
「うう・・・せっかく作ったのに・・」
「まだまだ改良の余地があるな」
「うー」
「そうすねるな、今日は時間がたっぷりあるのだから」
「うん」






私と鈴凛の出会いは偶然が生んだも同然である。
私は「美咲」いう女性と出会った、はじめは話すだけの関係だったが、だんだん彼女の家に招待され食事をともにするようになった。初めて食事に行った時に出会ったのが彼女の娘の鈴凛である。
そのとき初めて美咲さんがバツイチだと知らされた、ショックだった・・・だってそんな風には見えなかった・・若かったし。
はじめはあまり馴染めない様子であったが、食事の回数を重ねるごとに兄妹のような関係になってきた。
そのころだな・・・援助をねだるようになったのは。
「ねぇアニキ」
「ん?」
「うれしい?お母さんと婚約できて」
「あぁ、うれしいさ」
「そうか・・」
彼女はちょっと寂しげな表情をする、しかしすぐに立ち直ると私の手を引っ張り
「早く早く!!いっぱい泳がないと日が暮れちゃうぞ!!」
「ああ・・」
私はあまりにも鈍感すぎた、そして・・・あのような事件を・・







「結・・婚・・?」
「あぁ・・そういうことにな・・」
それは初めて私が美咲さんとの結婚を鈴凛に明かした時だった、彼女は動かしていた手を止め俺を見つめる、その瞳は・・ショックと悲しみの色で染まっていた。
私はそのことに感づきながらも話を続ける。
「もうアニキって呼べなくなるな、お父さんになるわけだから・・」
「いやだ・・」
「・・鈴凛?」
「そんなのいやだっ!!!」
拒否の叫び声をあげ、鈴凛は私の横を駆け抜けていく。
予想していた反応だった、無理もない・・兄のように思っていた人がいきなり父親になるのだから。
それに・・・彼女は死んだ父親を誰よりも慕っていた、援助をねだる癖だって相手が父親だからこそである。その癖を私にぶつけているのだから・・よほど私のことを慕っていたのだろう、違うのは私を父親代わりではなく一人の男として慕っていたこと。
我ながら鈍感というのであろうか、美咲さんを慕うがあまりに彼女のことは将来の娘としか考えてなかった。彼女も一人前の女の子だということを、ちゃんと人を好きになる一人前の・・。
彼女は父親の墓の前で見つけた、すっかり泣き疲れ、まるで父親のぬくもりを感じるかのように丸くなって寝ていた。
「鈴凛・・」
「お父さん・・・いかないで・・」
父親の夢を見ているのか・・彼女は寝言で父親を何度も呼びつづけた。
「私は・・君の父親になることは出来ないのか・・」
彼女を背負い私はそうつぶやいた。
翌日・・鈴凛は何事もなかったように振舞っていた。
私と美咲さんの結婚をよろこんでいるようにみえた・・でも・・明らかに無理をしている。
そんな姿が・・私には痛々しく見えた。







 

 

「ふー・・いい湯だった」
「あぁ・・身にしみたよ・・」
「アニキ親父くさい・・」
「うっさい」
日が暮れ、私達は民宿に戻り温泉で一日の疲れを癒した。
風呂上りの鈴凛はとても色っぽい、やはりこういうところでは彼女を将来の娘と見ることはできない、それに・・・どうやら美咲さんの言葉は正しかったのかもしれない。
「えへへ・・・今日はいっぱい遊んだね」
「ああ、しかし・・お前スタイル良かったんだなぁ」
「そうだよ、私のナイスバディを見たんだから、見返りがあっても」
そういうと鈴凛は両手を差し出し「頂戴」のポーズをとる。
私ははっきりといってやった。
「金はない」
「無くてももらう」
「守銭奴」
「けちんぼ」
鈴凛はほほを膨らませ拗ねる、そんな姿がとてもかわいかった。
私は鈴凛の頭をなでてやる。
「はいはい・・おじさんはけちだよ」
「アニキ・・まだ若いのに自分のことをおじさんって言わないほうがいいよ」
「ん・・そうか?」
「そりゃ・・年は離れているけど・・」
私と鈴凛の年齢は微妙に離れている、兄妹というには離れすぎているし、親子というには年齢が近すぎるという感じである。ちなみに・・自分のことを「おじさん」と呼ぶのは、見た目が実年齢より老けて見られたり、近所の子におじさんとよく呼ばれるので開き直っているだけで。
「・・ねぇ」
「ん?」
「なんて呼ばれたい?」
「え?」
一瞬何のことかわからなかったが、次の鈴凛の言葉ではっきりと理解した。
「パパ?それともお父さん?それとも親父?」
「・・鈴凛」
「結婚したら妹が出来るのかな?楽しみだぁ・・」
明らかに無理をしている、どんなに明るく振舞っていても、悲しみを隠しとうすことは出来ない。
真実を伝えるのなら・・・今しかないな。
「鈴凛・・話がある・・」
「何?」
「・・・美咲さんに振られた・・」
「へぇ・・ってええ!!!!!!!!!」
寝耳に水という感じで鈴凛が驚く。
「娘を悲しませる男と結婚できるか!!・・・だって」
「だって・・お母さんそんなこと一言も・・」
「だろうな・・まぁ・・美咲さんらしいけど・・で・・美咲さんが言うには・・俺が浮気をしてるって言ってるんだなこれが」
「浮気・・アニキまさか!!!」
鈴凛は怒りを瞳に宿し、私を強くにらむ・・・不謹慎ではあるが怒った顔もかわいい。
「しているな・・確かに・・そして俺は今その人にメロメロなんだ」
「ひどい!!アニキって最低!!お母さんという人が・・」
「鈴凛・・結婚してくれ」
沈黙が部屋を支配する、鈴凛は目を点にして私を見つめる。
私は真剣なまなざしを鈴凛に向ける、偽りは言っていない、私は本気だ。
「あ・・アニキ・・」
「・・・美咲さん・・「あなたは私よりも鈴凛がお気に入りのようね」って・・そんなこと無いと思っていた、私は美咲さんが好きで・・愛している・・はずだった、だけど・・気が付けば・・・いつも鈴凛とすごしているときのことを話していた、夢中になって・・まるで少年に戻ったように・・私は普通の人より鈍感だからな、鈴凛を悲しませた後でしかこんなことがいえない、君が飛び出したあの日・・・私は自分の気持ちに気がついた・・きっと君のことを娘と見れない・・一人の女性としてみてしまったから・・」
私は偽りを言ってない、すべて真実である、私は美咲さんに呼び出され、出会い頭に平手打ちを三回受けた、そして私と鈴凛が写っている写真を手にし「この浮気者!!」と言い放った。
ただ一緒に写っているだけの写真がなぜ浮気となるのか・・・まったく理解できなかった。
その写真は美咲さんがとってくれたもの、それがどうして浮気の証拠になるのかまったくわからなかった。
美咲さんの話は続いた、最近かまってくれないやら、私との時間が少ないやら、すべて心当たりが無いことばかりである。
そして一通り怒った後、美咲さんは人が代わったように私を抱きしめた・・
「あなただって気がついているはずよ・・・あの子はあなたの娘になんかなれやしない、そして・・想いだって気が付いているはず・・」
私は理解した・・・私は振られたのだと、その瞬間・・心のなかで安心をしている自分を見つけた、そうか・・私は・・
私はいつのまにか鈴凛を愛していた、妹のような存在として・・・そして一人の女性として。
「じょ・・冗談はよしてよ、だってあんなに幸せそうだったじゃない、私が羨ましがるくらい・・それなのに・・」
鈴凛は戸惑っていた、そんなことはお構いなしに、私は話を続ける。
「それ以上に・・・美咲さんは私達が羨ましいといってた・・・それで気が付いた・・私は鈴凛のことが・・」
「嘘なんでしょ・・」
「鈴凛?」
「私をからかってるんだ、毎日援助をねだるからそんなこと・・」
「嘘じゃないさ・・私は本気だ・・」
「そんな嘘ついたって私は・・・ん!!」
鈴凛の言葉をさえぎり、私は強引に彼女の唇を奪う、嘘じゃないということを私は行動で示した。
鈴凛は目を丸くし、あっけにとられるが、すぐに私から離れようと暴れだす。そんな抵抗にかまわず、私は彼女を強く抱きしめた。
そしてそのまま敷いてあった布団へ押し倒す、尚も彼女は抵抗するが・・
「・・・んふ・・」
やがて抵抗が無くなり、鈴凛がおとなしくなる、そして今度は私の背中に腕を回し、自分から唇を押し付けてきた。
この行動が嘘偽りからくるものではないと悟ったのだ。
「ん・・んふ・・」
私は鈴凛から唇を離し、彼女の頭をそっとなでてやる。
鈴凛は顔を真っ赤にし、目を潤ませ私を見つめる、その姿に私の心は少年時代、初恋の人と初めてであった時のようにどきどきする。
「アニキ・・いいの?私わがままだよ・・」
「いつものことだ、どんなわがままも聞いてあげるよお姫様」
「ほんとに?無茶なこと言うよ?それでもいいの?」
「ああ、鈴凛のすべてを受け止めてやる・・かな」
「えーっと・・」
鈴凛は必死になってわがままを考える、しかしすぐに考えるのを止め・・
「思いつかないや・・・やっぱアニキがずっと傍にいてくれるだけでいい」
「すっごく謙虚だな」
「うん・・・お母さんには悪いけど・・私はアニキのことが好き・・」
「私もだ・・・結婚してくれるかい?」
「うん・・」
そして私はと鈴凛はもう一度唇を重ねた、お互いに唇を求め合う。
ぎこちなさを感じさせながらも、彼女は一生懸命に私を受け入れようとする。
私は唇を離し、耳を甘噛みする・・・
「はぅ・・」
鈴凛の体が刺激で震える・・私はもう一度強く抱きしめた。
「はぁ・・ぁ・・」
「いいかい?」
「う・・うん・・あ・・あのね・・」
「ん?」
「た・・高くつくよ・・」
「わかっている、覚悟の上だよ・・」
「アニキ・・・ずっと傍にいてね・・」



 

 

 

こうして、最後のデートは終わった、兄妹として最後の。
これからは「恋人」として、私達は歩んでいく・・。
年の差はあるがそんなことは関係ない、私は鈴凛が好きで、鈴凛は私が好き。
ただそれだけのことだ。
世間様がなんと言おうと、私はこの愛を貫くつもりだ。
「アニキ・・ダイスキだよ」
「ああ・・・愛してる」
私の大切な小さな婚約者は、腕の中で心地よさそうにしている。
この腕が離れないように、私は腕の力を強めた。




 

 

 

 

追記
「ようやく結ばれたか、もう・・手間かけさせるんだから」
「アニキさま、おめでとうございます」
デートから戻ると、私は美咲さんに呼び出された、どうやら・・・デートの顛末を知りたいらしい。
私は少し偽りを入れながら、美咲さんと何故か同席しているメカ鈴凛に事細かに話した。
「美咲さん・・私は・・・」
「いいのいいの、こうなることわかっていたから」
「え・・あ・・はぁ・・」
相変わらず美咲さんのこの性格にはついていけない。
「そっかぁ・・・うふふ・・楽しみだなぁ・・避妊しなかったんでしょ」
「え・・?」
少し沈黙・・・
「・・・・・・・・・・・何のこと・・」
一応とぼけてみるが、美咲さんは私の方を思いっきりたたく。
「見え見えよ、鈴凛の様子を見れば一目瞭然よ、この犯罪者」
「えっとぉ・・・」
別に私が鈴凛に手を出したことは気にしてないらしい・・・それはそれで安心したが・・・
「子供出来てたらいいなぁ、家族が六人になるんだもん」
「ろ・・・六人?」
鈴凛の家は三人家族、鈴凛、美咲さん、そしてメカ鈴凛・・・私を混ぜても四人、もし鈴凛が・・・・・その・・・身ごもったとしても五人のはず・・・双子を生んだら確かに六人だけど。
「六人って・・」
「ぱんぱぱかーん!!発表します!!」
『ぱぱ〜ん』
メカ鈴凛がクラッカーを鳴らし、「重大発表」とかかれたプラカードを掲げる。
「三ヶ月」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
「だから、三ヶ月なの」
「・・・・・・・・・・・・いやまさか」
「本当」
「・・・・・・でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」




 

 

数年後、一枚の写真の中には六人の姿が映っている。
私、そ有名発明家となり妻になった鈴凛、メカ鈴凛、美咲さん・・・そして・・・






 

あとがき
・・・・・・本当にこれシスプリ?(汗
前回の四葉BDSSと比べるとなぁんかあだるとだし。
年齢制限すべきかな?
それにしても・・・親子丼ネタ二作目・・・えっちぃというか自分。
千影BDSSの美影さんといい、今回の美咲さんといい(サボテンの花とは関係ないよ・・多分)若い奥さんネタ・・・・生んだのいつよまったく(おいおい
鈴凛と年齢制限といえば、自分鈴凛裏書いてます(をいいい!!!
裏に掲載してあるので十八歳以上でしたら読んでみてください。
それでは、次回をお楽しみに。


雄一さんへの感想はこちら
yuuiti53@hotmail.com
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