前 戻る 次 |
アンジェのキス
〜千影〜
作 雄一さん
兄くん・・・
兄くんはちかが守るから・・・
だからどこにも行かないで・・
ちかは兄くんのことが・・・
「祐輝くん、千影、早く起きなさい」
美影さんの声で寝ぼけた頭がさっぱりする。
またあの夢か・・最近よく見るよなぁ、これもこの前に儀式に関係あるのかな。
「まぁ・・深く考えないほうがいいな・・」
布団から這い出し、カーテンを開けて体に太陽の光を浴びる。
そして写真縦を手にとり、中にいる両親に挨拶をする。
俺がこの家にきたのは赤ん坊のころだった、親が事故で死んで・・叔母にあたる美影さんのところに引き取られたのだ。
美影さんには千影という娘がいる、俺の義妹でもある。
千影はとてもおとなしく、口数が少ない子だけど・・俺のことを慕ってくれる。
まぁ・・その慕い方って言うのが・・異常なんだけどね。
美影さんも知っているのか知らないのか、千影は超がつくほどのオカルトマニアなのだ。
暇を見ては俺を実験といって変な体験をさせたり、おかしな薬を飲ませたり。
後遺症に悩ませたり、変な声が聞こえたりと・・もう散々だった。
それでも命だけは助かっていたけどね・・・でも不思議と嫌といえない。
この前の実験だって・・おかしな夢を見たんだ。
俺と千影が密会をする夢・・・それも凄くリアルで・・懐かしかった。
二人は敵対する勢力であるにもかかわらず、愛し合った・・でも結局引き離されてしまった。「また来世・・・」と再会を約束して。
次に見た夢は中世の時代、俺たちは兄妹だった。
二人は幸せで・・その日々が何時までも続けばいいと思っていた。
しかし俺は戦争に駆り出されてしまう・・出発の前日、二人は許されぬ行為だと分かっていながらも・・愛し合った。
結局俺は戦争で死に・・千影も毒をあおって後を追った。
凄くリアルな夢で・・・どれも懐かしくて・・
「ふう・・・千影・・」
前世の夢・・なのだろうか、こんな夢を何度も見る。
でも・・不思議と嫌じゃない、むしろ嬉しい位だ。
俺の千影の対する感情はすでに妹じゃなく、一人の女性への気持ちに変わっている。
いつかきっと・・千影に告白する、それがきっと・・前世の自分達を喜ばせることだから。
制服に着替えて、俺は一階に駆け下りる、リビングでは美影さんが朝食の準備をしていた。
美影さん・・俺の初恋の人でもあり、育ての親でもある。
見た目もそうだけど年も若い、なんたって二十八だもん・・千影は十五なのに、過去にいろいろとあったんだな。
「おはよう祐輝くん、千影はまだ寝ているのかしら?」
「すぐに起きてきますよ」
トースターにパンを入れスイッチを入れる、そしてコーヒーに砂糖とミルクを混ぜる。
その間に美影さんが作った朝食がテーブルの上に並ぶ。
「そうね・・そうそう祐輝くん、今日大切なお話があるから早く帰ってきてね」
「大切なお話?」
「そう、そして今日はご馳走だから」
「はぁ・・」
大切な話って何だろ・・そして何でご馳走なのかな?
別に誕生日ってわけでもないし・・・
「・・・おはよう」
千影がおきてきた、相変わらず眠たそうな目をしている。
低血圧って聞いているけど・・これはちょっと生活を改善した方がいいのでは?
「あら千影」
「おはよう千影」
千影が起きてきた、昨日は夜遅くまで実験していたからな。
ここ最近夜遅いし・・どこかに出かけたり・・なんか心配だな。
「千影・・最近寝るの遅いけど・・」
「・・大丈夫・・命には異常ない」
「・・なんか心配だぞ」
命に異常がなくても心配なんだよ、まったく・・・秘密主義もいいかげんにして欲しいよ。
美影さんだって、そんな千影の行動を止めるべきだ。
「ほらほら二人とも、早く食べないと遅刻よ」
「え・・ああ!!!千影、急ぐぞ!!」
「・・うん」
今日最後の授業が始まった、でも私の頭は授業を聞いていない。
今朝の兄くんの言葉を何度も反芻する。
「・・なんか心配だぞ」
兄くん・・私のことを心配してくれている・・
ごめんね・・心配掛けて・・でもこれは兄くんのためなんだよ。
兄くんは一言で言うなら特殊体質、幽霊に取り付かれやすいというわけじゃない。
でも・・・その体質で兄くんは狙われているんだ。
とんでもない奴らに、そいつらに兄くんを渡したら大変なことになる。
私も・・兄くんの体質に関しては何も知らない。
いろいろな実験をしたけど、力が発動するとかそういったことは無かった。
それでも私は・・私は・・
「兄くん・・私は・・兄くんを守りたい・・」
何も知らない兄くん、そんな兄くんに心配を掛けたくない。
でも私は・・・兄くんを守るために・・・
私は兄くんと一緒にいたい、例えこの世に存在できなくなっても。
この前だって、夢魔のふりをして兄くんを永遠の世界に引き込めようとした。
結局は未遂に終わったけど・・でも私は・・・
『キィィィィン』
「え・・」
耳鳴り・・いや違う・・これは・・
いけない!!!兄くんが!!!!
授業の合図と共に私は教室を飛び出した、兄くんが・・誰かに狙われている。
兄くん・・無事でいてくれ・・・
「あ・・れ?」
おかしいなぁ・・確かに俺は教室を出たはずなのに・・
美影さんが大切なお話があるから急いで帰らなきゃいけないんだけど。
突然おかしな空間に・・ここはどこなんだ?
「抹殺・・」
「え・・?」
「あのお方のために・・抹殺」
「誰?」
周りに黒ずくめの人たちが・・・手には・・・
『ブン!!!』
「わぁぁぁぁ!!」
「抹殺・・」
「ひ・・ひぃ・・」
こ・・こつら・・俺を殺そうとしておる・・どうして・・
「抹殺・・」
「た・・助けて・・」
とにかく逃げなきゃ・・こんなところ一秒だっていたくない・・
黒ずくめの男の間を縫って俺は走り出した、でも・・・どこに逃げればいいんだ?
こんなおかしな空間に・・出口なんてあるのか?
男達はなおも俺を追いかけてくる、いやだ・・死にたくない。
この状況を千影が見たらなんと言うだろ、助けてくれるのかな?
いや・・千影を危険な目にあわせたくない、自分の力で何とかしなきゃ。
千影・・千影に会いたい、まだ千影になにも言ってない。
俺は千影のことを思いながら走った、千影に会いたい・・千影に会いたい
「千影・・」
その時だった、男達の前に一つの見慣れた影が現れた。
手に分厚い本を持ち、ベールを被っているけど・・間違いなく千影だ。
「千影・・なのか・・・」
「消えろ!!!!」
千影の放った光が男達を薙いでいく、光を受けた男達は砂となって崩れていく。
人間じゃなかったのか?どうしてこいつらが俺を・・・
千影は振り向くと俺に抱きつく、いきなりだからびっくりしたけど・・なんか嬉しい。
「兄くん・・大丈夫かい?」
「千影・・どうして・・」
「助けにきたんだ、早く逃げよう」
「ああ・・」
どうやってここにきたのか、そして今の光は・・そんなの聞いている場合じゃなかった。
俺と千影はひたすら走った、無限にも思えるようなこの世界を。
だけど走っても走っても出口は見えない、千影は何かを探しているみたいだけど。
たまらず俺は千影に聞こうとした。
「千影・・あのさ・・」
「大丈夫・・兄くんは私が守るから・・」
「守るって・・誰から・・」
「分からない・・・でも守るから・・ああ!!!!」
突然、短剣が千影の腿に突き刺さった、どこから飛んできたのか分からない。
もうなにがおこってもびくっりしない、そう誓ったけど・・
「あ・・ああ・・」
「あの男の息子か・・」
今度はさっきの奴らとは違う男が立っていた、男からは嫌な空気が出てる。
これが・・殺気、この男・・俺を殺そうとしているのか?
「あの男・・父さんのことか・・」
「ふん・・」
男の手から短剣が放たれる、短剣はそのまま千影の肩に突き刺さる。
「あぁ!!!」
「千影!!やめろ!!!」
拳を固めて男に殴りかかる、しかし拳は空を切っただけ。
「非力な・・しかし・・我が野望の妨げになる・・死んでもらおうか」
男は俺の背中に立っていた、振り向こうとしたとたん首に短剣が突きつけられる。
「あ・・兄くん・・」
「ち・・千影・・お・・俺・・」
怖い・・ここから逃げ出したかった、夢かとも思った・・でも短剣の冷たさがそれを否定している。
「いやだ・・死にたくない・・」
「やめろ・・兄くんを離せ・・」
「ふ・・兄妹愛か・・でもこいつはそう思っていないようだ」
「や・・やめろ!!」
「ならば・・愛するものを先に殺そう・・貴様の絶望に満ちた悲鳴は・・私にとって最高の快楽になる」
男は短剣をもう一本取り出し、千影に向ける
「やめろ!俺を殺したいのなら俺を殺せ!!」
「・・だめ・・兄くん・・しんじゃ・・だめ」
「終わりだ・・死ね」
短剣が放たれた、俺は突きつけられている短剣を忘れ、千影に向かって駆け出した。
「千影ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
「兄くん!!!!」
千影を抱きしめ自分の死を覚悟した、そのときだった
「万物の根源よ!炎となりて愚者を焼き尽くせ!!!!」
激しい熱風が俺の背中をたたいた、何が起こったかわからない。
でも・・この声は…
「美影・・さん・・」
「・・母さん」
「はぁい、生きている?」
そこにはエプロン姿の美影さんが立っていた、何でこんなところに・・
「・・炎竜の美影か・・」
男は美影さんを知っていた、美影さん・・あなたは・・
「あら・・覇王のブラサムじゃない・・いつからこんな三下のお仕事をするようになったのかしら」
「ふん、貴様こそ・・非力な人間の味方をしおって」
「あら、すねかじりのあなたに言われたくないわね、今でもママのおっぱいを吸っているのかしら?」
「ママを悪く言うな!!!」
あ・・こいつマザコンでやんの、さっきとはうって変わって動揺しているし。
「だからいつまでたっても一流にはなれないの・・風よ、剣となって闇と踊れ!!!」
「大地よ、立ち上がりわれを守れ!!!」
信じられない光景・・でもない、千影が不思議な力を使った、ということは美影さんも同じ力の持ち主ということになる。
「水よ!!怒りに燃えその身を振るわせろ!!!」
「闇よ、絶望へといざなえ!!!!」
激しい魔法合戦が繰り広げられる、まるで・・ファンタジーの世界にいるみたいだ。
俺はその間に千影に刺さっている短剣を抜き、制服を破って止血をする。
たいぶ深く刺さっていたようだ、それでも何とか出血を止める。
「あ・・兄くん・・」
「大丈夫だよ・・千影・・」
でも戦いは・・美影さんが劣勢をしかれていた。
「く・・風よ、われを守れ!!」
「大地よ!!罪人に天罰を与えよ!!!」
ほぼ互角、だが少しずつ美影さんが押されている、このままじゃ美影さんが。
その時、俺の頭にあることが浮かんだ、もしかして・・まさか・・でも・・
「なぁ千影・・」
「何?」
「あの力・・俺も使えるかな?」
「・・多分・・」
弱々しく千影が返事をする。
「兄くん・・私達は魔法を使える一族の末裔なんだ、だから・・兄くんも使えるかもしれない」
「だったら使い方を教えてくれ、このままじゃ美影さんが」
「うん・・でもいきなり魔法は使えないよ・・だから・・」
千影は俺に手を強く握る、千影のぬくもりが伝わり感じられる。
「兄くんは増幅器になるんだ、私が魔法を唱えるから・・」
「分かった・・無茶するなよ・・」
そういうと千影は呪文を唱え始めた、雰囲気から・・かなり大きな魔法を使うらしい。
俺の体に何かが流れ込んでいく、これは・・千影の魔力だ。
千影の魔力が俺の体の中を走り回る、体の細部まで流れてきた。
体が熱い・・・魔力が俺の体の中を何往復もする・・耐えられない熱さじゃない。
でも急がないと・・美影さんがやられてしまう。
あせる思いを抑えながら俺は千影が呪文を唱え終えるのを待つ。
そして・・
「・・いくよ兄くん」
「あ・・ああ・・」
千影はつないだ手を男・・ブラサムに向ける、そして美影さんの魔法が炸裂し、油断が生じた瞬間・・・
「絆のロンド!!!!消えろ!!!!」
光と共に体の中の魔力が消えていった、光はブラサムに命中する。
「やった!!!」
「・・だめだ・・」
「え・・あぁ・・」
びくともしなかった、男は無傷のまま立っている。
美影さんもその光景に余裕を無くし始めている。
「・・あなた・・魂を抜いたわね・・かりそめの永遠の命・・」
「だから?」
「あなたは・・力のためにどこまで人をやめられるの・・」
「ふん・・お遊びもここまでだ」
殺される、千影も・・美影さんも・・俺も・・
嫌だ・・死にたくない、死にたくない・・なんで俺は・・こんなにも無力なんだ。
力が欲しい・・力が・・誰にも負けない力・・大切な人を守る力・・
(未来を・・)
「え・・」
(・・・を・・つむぐ・・)
「こ・・これは・・」
「あ・・兄くん・・」
「祐輝くん・・あなた・・」
熱い・・手が熱い・・そして・・頭に響くこの言葉・・
「き・・貴様!!!」
俺は怖くなかった、立ち上がり手を男に向ける、そして・・・・
「光と闇よ!!!!未来を紡ぐ力となれ!!!!!!!!!!!」
光が爆発し、俺の意識は薄れていった・・
「う・・ん・・」
唇に柔らかい物を感じながら俺は目を覚ました、うっすらとする視界には千影の顔が・・
「ん・・兄くん・・」
「ちか・・?」
「・・・よかった・・兄くん」
「俺・・」
視界がはっきりする、そこは俺の部屋だった・・
もしかして俺は・・勝ったのか?
「兄くん・・無茶をして・・」
「無茶って・・」
「あの魔法・・私達の間では最高位の魔法なんだ、初心者がいきなり使う魔法じゃないよ」
「そんなの知らないよ・・ただ・・無我夢中に・・みんなを守りたかった」
「・・・ありがとう・・兄くん」
めったに見せない千影の笑顔、この笑顔が俺を元気つける・・でもまだ目の前がくらくらする。
それでも俺は千影の頭に手を乗せ、優しくなでてやる・・千影は気持ちよさそうに俺の手を受け入れていた。
「なにラブラブしているのよ」
「わ!!!・・み・・美影さん」
「お母さん・・」
何時の間にか美影さんが部屋の中に立っていた、慌てて離れる俺たち。
「予想外の展開だったけど・・まあ事情を話す手間が省けたわ」
「もしかして・・話したいことって・・」
「そう・・それだけじゃないのよ・・」
美影さんの話が始まった、俺の両親はその世界ではかなり高名な魔法使いで、何度も悪の魔法使いを倒していったという。
しかし、ある魔法使いの策略にはまり俺を残して死んでしまった・・事故死って聞いていたのに。
しかし敵は二人の子の俺を見逃さなかった、いつか力をつけ、彼らの前に立ちはだかる・・
俺が魔法の存在に気が付くまでに消し去ろうと・・さっきのように襲ってきたのだ。
「まぁ・・さっきのブラサムって奴・・一応親玉なんだけどね」
「そうなんですか?」
「ふふふ・・面白いわよ、彼はマザコンでね・・なんでも「ママはママは」っていうから・・他の魔法使いが愛想つかして出ていっちゃったの・・だから事実上敵はあいつだけ」
「・・なんかアホらし・・」
「まぁ・・実力は見てのとおりよ・・祐輝くんの魔法でかなりのダメージを受けたから、当分は攻めて来ないでしょ」
「よかったぁあ・・」
なんか・・一変に俺の生活が変わってしまったような・・まぁあんまり変わらないな。
いつもどおり、千影と美影さんとこの家で暮らしていくことには変わりない。
それに・・やっと千影と同じ舞台に立てたような気がする。
「とにかく、今はゆっくり休んでね、もう少ししたら夕食ができるから」
「はい・・あぅ・・」
いきなり目の前がくらくらした、なんか力が入らない・・・魔法を使った影響かな。
「大丈夫?」
「あ・・はい・・」
「千影、祐輝くんに魔力を分けてあげて」
「あ・・う・・ん・・」
何故か千影は顔を真っ赤にしてうなずく、魔力を分けるって・・どうするんだろ。
「本当は私が分けてあげたいけど・・今は千影が適任よ」
「・・はい」
「じゃお願いね」
美影さんはそういうと部屋を出て行った、千影は相変わらず顔を真っ赤にしている。
「じゃあ・・兄くん・・魔力を・・分けるよ」
「あ・・ああ・どうするんだ?」
「・・・目を閉じて」
俺は言われたとおりに目を閉じる、すると・・・
「んふ・・」
「ん・・」
またあの感触が・・えっと・・これって・・・
「んぁ・・ち・・千影・・」
「(真っ赤)・・どう?」
「どうって・・気持ちよかった・・じゃなくて!!元気になったよ」
「そ・・そうか・・」
なんか気まずい、そりゃ千影とキスできるのは嬉しいけど・・・
でも・・またしたいと言う自分がいる・・
「まだ・・魔力が足りないみたい・・・」
「・・そう・・じゃあ・・」
「千影・・」
「・・何?」
卑怯かもしれないけど・・今なら言えるかもしれない。
やっと千影と同じ舞台に立てたんだ、今を逃したらずっと後になっちまう。
「・・・千影・・・もし俺が・・魔力尽きたら・・また分けてくれるか?」
「・・兄くん・・」
「夢見るんだ・・お前との夢・・俺たち・・別れてばっかりだよな・・もう・・分かれたくないよな」
「・・・前世を・・思い出したのかい?」
「いや・・・これから思い出すよ・・・でも思い出さなくても俺は・・千影のことが好きだ・・」
千影は何もいわなかった、そして・・・何もいわずに俺にキスをする。
「千影・・」
「・・・兄くん・・好きだよ・・生まれ変わっても・・姿が変わっても・・私は・・兄くんが大好きだ・・」
「ちかげぇ・・」
俺は千影を抱きしめる、抱きしめたとたん・・心の中に懐かしさがこみ上げてくる。
きっと過去にも・・何度もこうやって抱きしめていたんだな・・
そして・・何度も離れてしまう・・でも・・でも俺はもう離すつもりはない
「千影・・離さないからな・・」
「うん・・・私も・・」
「祐輝くん、はいあーんして」
「え・・あ・・」
「・・兄くん・・あーんして」
「えっとぉ・・」
あれから俺の生活は少し変わった・・・いや変わりすぎ。
俺と千影は美影さん公認で正々堂々と付き合うことになった・・・条件付で。
その条件というのが・・・俺の共有・・・
「祐輝くん・・兄さんに似ているのよねぇ」
事情はわからないが・・親父が小さいころ、美影さんは千影と同じように親父を実験台に使っていたらしい。
どこかで聞いたようなシチュエーション・・一発で理解できました。
いや・・正直嬉しいけどね・・初恋の人だし・・
このシチュエーションもあながち悪くないし・・
「兄くん・・鼻の下が伸びている」
「あう・・すまん・・」
「今日の夕飯は精力がつくものを作らなきゃね」
「・・お母さん・・何をたくらんでいるの?」
「いいじゃないのよ・・ねぇ祐輝くん」
「あ・・えっとぉ・・」
「・・なにどもっているの・・・兄くん」
両手に花という状態・・まぁ・・千影と一緒にいれるからいいか。
また変な奴が攻めて来ても・・俺が絶対に守って見せるよ・・自信ないけどね。
そして・・二度と離さないからな・・千影。
雄一さんへの感想はこちら
yuuiti53@hotmail.com
前 戻る 次