Click here to visit our sponsor

前 戻る 次


「ねえお兄様、今日はこんなにいい天気よ」

私はカーテンをお開く、太陽の光が差し込み、薄暗い部屋に光がさす。

「こんなにいい天気・・・最高のデート日和よ」

振り返り、最愛のお兄様に話しかける、いつもの日課・・・

「ねえ・・お兄様・・・」

振り返るとそこには・・・目を閉じたお兄様・・・

「いつ・・・目を覚ますの?」


アンジェのキス
〜咲耶〜

作 雄一さん


私とお兄様は最高のカップル、義兄妹ということ除けば、誰もがうらやむ完全無欠のカップルだった。でもお兄様はそんな風に思ってはいなかった、私を一人の妹としてしか接してくれない。
それでも私は幸せだった、ただお兄様の傍にいればそれでもよかった。
でも・・・それでも思いは抑え切れなかった、お兄様にあうたびに・・・好き・・・大好き・・・愛してる・・・想いがどんどん大きくなってくる、押さえ切れなくなるまで・・・
だから私は決意した、告白するって・・・お兄様に思いを伝える。
どんな結果でもかまわない、そう思って私はお兄様をデートに誘った。
そしてデート当日、お気に入りの香水や、アクセサリー、そしてリップを口に塗り、お兄様が来るのを待った・・・でも・・・


「咲耶・・・・落ち着いて聞いて・・・祐輝が・・・事故に・・・・」

 

 

病院に駆けつけたとき、お兄様は機械につながれていた・・・
待ち合わせに場所に向かう途中、よそ見運転していたトラックに轢かれたらしい。
私は・・・これが夢だと思った、そう思って顔をつねっても・・・痛いだけ・・
皆で騙してると思って・・私はお兄様を揺さぶった、きっと耐え切れなくなって「おはよう咲耶」って・・・でもお兄様は目を覚まさない・・・

「お兄様・・・ねえ・・お兄様・・起きてよ・・起きて・・・いやああああああああああああああ!!!!!」

その後、警察の人が来てお兄様の荷物を渡していった、愛用のバックの中には、私の写真入のパスケース、ボロボロになったモバイル、そして・・・小さな小箱。
その中には・・・銀色に輝くシルバーリング、私は目を疑った・・・そして・・指輪の裏には・・・・
『Y TO S』
祐輝から咲耶へ・・・・目が熱くなる、体中の血液が駆け巡り、体が熱くなる・・
「お・・お兄様・・・」
涙があふれてきた、本当はお兄様から手渡されるものなのに・・
この指輪をはめて、腕を組んで、正真正銘の恋人同士として歩くはずだったのに。
切なかった分、いっぱいキスをしたり思いを伝えるはずだったのに・・・
神様はなんて意地悪なんだろ、私たちにこんな試練を受けさせるなんて。
ねえお兄様・・・早く目を覚まして・・・そして・・私を抱きしめて・・

 

「よ」
「あ・・・橘先生・・・」
花瓶の水を代えた帰り、主治医の「橘悠」先生に会った。
何でも「神の手」を持つ医師って噂されてるみたいだけど、そんなすごい人は思えないくらいノー天気な人・・
「目覚めないのか・・・まったく」
眠ってるお兄様を見て、先生はカルテでお兄様の額を軽く叩く・・・でも反応は返ってこない。
「あの・・・本当にもう大丈夫なんですか?」
「ん・・・大丈夫、大丈夫なんだけど・・・目覚めない・・」
「そんな・・・」
先生はカルテとお兄様と交互に見つめる。
「運ばれたとき、脳内出血がかなり広範囲に広がっていたからなぁ・・・血腫はすべて取り除いたし、破損も見れない・・・しいて言うなら脳圧が高かったことだけど、今では落ち着いている・・・その他臓器の破損も異常なし」
「・・・でもお兄様は・・」
「・・・心の問題だな・・」
カルテを閉じて先生はため息をつく、そして窓のへりに腰掛けて空を見つめる。
「え?」
「何か悩みを抱えていて・・・それが原因で起きないのかもしれない」
「悩み・・・」
「あるんじゃないかな・・・彼は・・・」
「どうして・・」
「・・・・ま、そこら辺は深く聞かないけどね・・ところで・・・」
橘先生は私の抱き寄せ耳元で・・・
「今夜さ、デートしない?」
と・・言ってきた・・・・ちょっとこの先生・・・本当にお兄様を治す気があるの?
私は思いっきり怒鳴ってやろうと・・・・でも・・・
「今夜十時、裏口で待ってる・・・話はつけておくからお兄さんの傍にいてあげなさい」
そう言って先生は病室を出て行った・・・




夜十時・・・面会時間も終わって、診察時間も終わり・・・急患が来なければとても静かな病院の裏口、私はそこにいた。しばらく待ってると・・・裏口の鍵が開いて・・・
「咲耶・・・さん・・ね?」
「はい・・」
一人の看護婦さんが顔を出した、私が返事をするとにっこり笑って中に招き入れる。
中に入ると看護婦さんは紙袋を私に手渡した、中には・・・・
「これは・・?」
「私のお古、見習いの時のだからサイズは合うと思うけど・・」
「あの・・・貴女は?」
「私は橘鞠絵、橘悠の家内です」
「え・・・奥さん?」
橘先生は結婚されているって聞いていたけど・・・この人が・・・とても綺麗な人。
あの橘先生とは似合わないと思うけど・・・
「おおい、準備できたか?」
「あ、兄上様・・」
「え?」
「こら!!」
暗闇の中から橘先生が姿を現す、そして鞠絵さんの頭をコツンと小突いて・・
「兄上様じゃないだろ、いつもそれで鞠子がなあ・・」
「ふふふ、ごめんなさいあなた」
「えっと・・」
「詳しい話は後、ほら着替えて・・・鞠絵は裏細工たのむ」
「はい、兄上様」
「鞠絵!!!」
「ふふふふ」
鞠絵さんは笑いながら暗闇の中へ消えていく、夫婦なのに「兄上様」って、この二人にどんな事情が・・・
「元義兄妹」
「え?」
「・・・君たちと同じ境遇さ、さ・・・早く着替えて麗しのお兄様の元へ参ろうか」
私が更衣室で着替えている間、先生は自分の過去を話してくれた・・

神の手と呼ばれた父親がいたこと

再婚で、病弱の鞠絵さんと出会ったこと

事故で両親が死んだこと・

鞠絵さんの病気が死にいたると知ったこと

医師になると決意したこと

そして、自分の手で鞠絵さんを治したこと

その後、プロポーズしたこと・・・

「ちょっぴりにてるんだよなあ・・・境遇が」
「意外・・・そんな過去が・・」
「意外とは何だよ、とにかく・・君をわざわざこんな時間に入れたのは訳がある」
お兄様の病室に入る、お兄様は相変わらず眠ったまま・・・
「俺が手術して鞠絵は治った・・・それは知ってるよね」
「ええ・・・」
「手術後・・・倒れて夢を見たんだ・・・鞠絵がどっかいっちまう夢をな・・」
鞠絵は歩いていた、訳のわからない・・・何も無い道をただひたすら・・・
追いかけて俺は叫んだんだ・・鞠絵・・戻ってきてくれ・・
行かないでくれ・・・死なないでくれって・・・そして鞠絵がこっちを振り向いたとき・・
「目が覚めた、そこで手術は大成功って聞いたんだ・・・俺が倒れてる間、鞠絵はすごく危険な状態らしかったけど・・・持ち直したんだ・・」
「それって・・」
「鞠絵にそのことを話したら・・・同じような夢を見たって、きっと・・心と心が繋がっていたと思うんだ、どんなにすごい薬でも・・・愛する人の声や想いにはかなわない・・」
「心と心・・・」
「きっと出来ると思う・・・君ならね・・思いが強ければ強いほど効果はある・・はずだ」
「・・・・でも・・」
「大丈夫さ、きっとうまくいく・・・じゃ俺はこの辺で・・・」
先生は最後に「グッドラック」というと病室を出て行く、心と心か・・・先生ったらお医者様らしくないことを、でも・・・・今の私はどんなことでも信じられる、お兄様が目覚めてくれるのなら。
「お兄様・・」
私はお兄様の手をとり、頬に当てる・・・暖かい、この手で早く私を撫でて欲しい・・
そしてその手を胸に当てる、感じて欲しい・・・私の鼓動・・・
ねえお兄様、私・・ドキドキしてるの、今にもお兄様がおきそうで・・・
早く起きて欲しい・・・何を・・迷ってるのお兄様?
ねえ・・・お兄様・・・・








呼んでいる・・・咲耶が・・・僕のことを・・・・
でも・・怖いんだ、何が怖いって?
咲耶の可能性を壊したくなかった、咲耶は頭もいいし容量もいい、きっと将来いい仕事に就けて、輝かしい未来が待っていると思う。
デートだって・・・僕のことを諦めさせるつもりでいた、指輪は・・・僕の思いの形。
確かに僕も咲耶のことは好きだ、でも・・・やっぱり咲耶の将来を優先したい。
この道・・・今歩いてる道の先にはあの世があるんだ・・・
そして・・・もうすぐ道も終わる・・・死ぬんだ・・・
きっと咲耶なら素敵なパートナーを見つけられる、僕のことを忘れるくらいに幸せに・・
「お兄様!!!」
咲耶の声が聞こえた、空耳か・・・それにしては近すぎる・・・
ここにいても咲耶の声は聞こえた、でも・・道を進むにつれてその声も小さくなってゆく。
そして聞こえなくなるはずなのに・・・鮮明に・・
「お兄様!!行かないで!!!!」
「・・・咲耶?」
振り向くと・・・咲耶がこちらへ走ってくる・・・嘘だ!!!
まさか・・・後を追って自殺を・・・・
胸にう飛び込んできた咲耶を受け止め、僕は呆然とする。
「お兄様ぁ!!!!」
「咲耶・・・なんてことを・・・」
「よかった・・・お兄様に会えた・・・」
「自分で命を絶つなんて・・なんて愚かな・・」
「え・・?私・・自殺してないよ・・私はお兄様に会いに着ただけ・・・会って・・一緒に戻ってもらうために・・」
「・・・ダメだ・・」
僕は咲耶を突き放すと道を歩き出す。
「お兄様・・・どうして?」
「・・・・咲耶の未来を壊したくない・・」
「それだけ?」
「ああ・・・僕だって咲耶が好きだ・・・でもね、恋人が義兄ってだけで咲耶は何も出来なくなるんだ、なりたい職業にも就けないし・・・正々堂々と一緒に歩けないんだよ」
「それだけ?それだけで起きたくないの?それだけのことで・・・」
「他にもいろいろあるさ、言い切れないくらい・・・」
僕はそういいながら道を歩き出す、それでも咲耶は付いて来て僕の手を掴む。
「ふーん・・・じゃあ帰りましょ」
「はぁ?」
『ぱぁん!!!!』×10
咲耶のビンタが炸裂した、痛い・・・・
「下らない事で死のうとしないで!!!!大体私がそんなこと気にすると思ってるの?」
「いや・・・」
「別にいいじゃない、気にすることは無いわ」
「・・・・あのなぁ・・・」
「例え血が繋がっていたとしても、私は・・・」
咲耶の表情が暗くなる・・・この顔に弱いんだ僕は・・・
いつもこの顔で説得させられる、これは咲耶の切り札なんだ・・・
「・・・・咲耶・・・」
「それに・・・将来って言ったけど、私の将来の夢はお兄様のお嫁さんになることよ、私の将来のことを考えて死のうとしないで、それから・・周りがなんと言おうと私はお兄様が好きなんだから、お父様とお母様が反対したら駆け落ちしたらいいじゃい、世間で変な目で見られたって、構いやしないわ見せ付けてあげましょう」
「お・・おい・・・」
「もし一緒に来てくれないんだったら・・・私も一緒に行くわよ、この道」
無駄だ・・・僕は思った、もし死んだら本当に後を追いかねない。
僕もまだ・・・咲耶の気持ちをわかっていない証拠かもしれない。
「・・・・まったく・・・いいんだな」
「うん・・・女に二言は無いわ」
「男だよ・・・まったく・・・帰ろう・・」
僕は咲耶とともに道を戻り始めた・・・








「お・・おれ・・・ば・・あ・・」
「違う違う、「俺は君の事を愛してる・・」でしょ」
「う・・う・・あ・・・」
「もう・・・」

○月X日
患者の容態が安定、本日よりリハビリに取り掛かる。
昏睡状態から目覚めた患者は言葉を失っていた、失語症の症状である、そこであるリハビリ法を試すことにした、それは・・・

「これを?」
「そう、鞠絵の秘蔵本だ」

妻のコレクションの一つである恋愛小説を朗読させることにした。

「ほらほらお兄様、次のシーンよ、えっと・・・えぇ・・・こんなことを」
「う・・うう・・・」
「頑張ってお兄様、そして・・・早くこの台詞を・・」
「うううう〜」
「ほら、お兄様・・・「君を愛してる、永久に・・例え生まれ変わっても・・」って・・・この台詞の後にね・・・二人は・・・」
効果はともかく、この二人には好評のようで・・・
「ん〜」
「うう・・・あ・・・い・・し・・て・・・る・・」
『ちゅ』
「はい良く出来ました」

昔の私たちを見ているようである・・・・まったく若いっていいなぁ・・・






あとがき(また暴走してます)


春奈:オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラぁっ!!!!!

悠:無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁっ!!!!!!!

祐輝:えっと前回に引き続き暴走しています・・・今回は悠さんも・・・まぁこの二人はほっといて、今回はすぺさるなゲストをお招きしております、鞠絵ちゃんです〜
鞠絵:はい、兄上様の妻、鞠絵でございます・・
祐輝:正確には・・・「橘悠」の奥さんなんだよね
鞠絵:はい、シリアス編のSS「奇跡を起こせ」での設定ではそうなっております。
祐輝:そうそう、それにしても今回は・・・どこかで聞いたことあるようなお話・・
鞠絵:えっと、確か可憐ちゃんのお話に似たようなエピソードが・・・
祐輝:あぁ、そういえば
鞠絵:作者いわく「可憐BDSSと同時に咲耶BDSSも完成したようなもんさ」だそうで・・思いっきり手を抜いてますね、このお薬であの世に送って差し上げましょうか?(にっこり)
祐輝:そ・・そしたら僕たちの存在も危なくなっちゃうよ・・・
鞠絵:そうですね、よかったですね、作者さん(にっこり

悠:波動拳!!!!!

春奈:竜巻旋風脚!!!!!

祐輝:まだやってますねぇ・・・と、そういえば作者から頂いたメモが・・・えっと・・「いよいよアンジェのキスも後一回、よくもまぁここまで書けたと思う、というのはおいといて、実は重大な発表みたいじゃないけど一応発表しておこうと思う」
鞠絵:なんでしょう?また自分の首を絞めるような企画かしら?
祐輝:「ぎくぅっ!!!」って・・・手紙でびびってる・・・えっと「実は・・新兄をまた一人登場させようと思ってる、つまり新シリーズだ」・・・他のSSはどうした・・・
鞠絵:いったいどんな兄上様なのでしょう・・・(ぽぉ・・)
祐輝:「名前はまだ明かさないが・・・正確は小悪魔というか背徳なんてくそ食らえといったちょっと危ない仕様にしてある、そして今回の新シリーズだが・・・悠は出番なし」

悠:にゃんですと!!!!!!!!!!

春奈:もらったぁ!!!!

悠:なんの!!!無駄ぁっ!!!!!!

祐輝:話は一応聞いていたらしいですね・・・暴走中でも・・・
鞠絵:兄上様〜ファイトです〜
祐輝:えっと、「その代わり、春奈の出番はめっちゃある」

春奈:マジで?

悠:隙あり!!!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁっ!!

春奈:くっ!!「ザ・ワールド」!!!

祐輝:はい、九秒経過したところで・・・えっと「とまあネタバレもこれくらいにしておいてこれからも新兄をよろしく頼む、もち祐輝、君の出番もあるから安心してくれ、いぢょ」・・・ふう・・・どうやら僕の出番まだありそうです。
鞠絵:私のSSも書いてくださいね、作者さん
祐輝:というわけで平和主義ナ僕たちはこの辺で
鞠絵:また次回〜

悠:ゲッタービーム!!!!

春奈:ブレストファイヤー!!!!!

その後も二人の戦いは続く・・・

 


雄一さんへの感想はこちら
yuuiti53@hotmail.com
前 戻る 次