Click here to visit our sponsor

前 戻る 次


アンジェのキス

〜白雪〜

作 雄一さん


 

姫とにいさまはとっても仲良しですの。
食べるときもお出かけするときもいつも隣ににいさまがいますの、にいさまと一緒で姫とぉっても幸せですの。
でも昔はにいさまは冷たかったですの、いつも怒ってばかりで・・・
それは去年のことでしたの・・・

 



 


にいさまといっても姫とにいさまは本当の兄妹じゃありませんの。
姫の父さまのお友達の子供で、高校に受験するために姫のおうちにやってきましたの。
それ以前にも何度か会った事がありましたけど、なんかとっても冷たい感じがしましたの。
「今日からうちに居候することになった祐輝くんだ」
「・・・よろしく・・」
という感じでなんか元気がなかったですの、父さまの話を聞くとにいさまの家では「りこんそしょう」というのが起こっていて、どちらがにいさまを引き取るか問題になったそうですの、姫には何のことかわからなかったですけど。
でもにいさまはとっても優しかったですの、高いところにあるものを取ってくれたり、姫の新作料理を食べてくれたり。
でも・・そんな優しい面もある日を境にしてなくなってしまいましたの。
部屋に閉じこもって勉強ばかり、時々電話に出ては叫んでいて・・なんかとても痛々しい姿ですの。
「わかっているよ!!!何度も何度も言われなくたって!!!俺はちゃんと勉強しているからほっといてくれ!!!!」
『がちゃ!!!』
「・・にいさま・・大丈夫ですの?」
「ほっといてくれ!!!勉強の邪魔だ!!!!」
一緒に食事をする機会もなくなって、姫はとても寂しかったですの。
たまに降りてきて食事をすると思えば、単語帳や参考書を片手に食事をしていますの。
それに夜更かしもしていて、姫にいさまの健康がとても心配になってきましたの。
でも勉強の邪魔はしたくありませんの・・どうしたら・・・
そこで姫が考えたのがお夜食ですの、姫のヘルシーお夜食を食べれば気分もすっきりしますの、早速姫は準備に取り掛かりましたの、キムチの素を少しあえたお粥に姫特製の野菜クッキーを沿えてにいさまのお部屋に。
『トントン』
「失礼しますのにいさま〜」
「・・・白雪」
部屋の中に入ったとたん、姫はびっくりしましたの・・
部屋の中は嵐が過ぎたように散らかっていて、壁には数式の書かれた紙が張ってあって、本棚は倒れていて、姫がにいさまにプレゼントした植木鉢も割れていて、姫・・何がなんだか分からなかったですの。
「何の用だよ白雪、邪魔しないでくれ」
「にいさま、根詰めていると体に悪いですの、ここでリフレッシュしたほうがいいですの」
「うるさいなぁ・・出て行けよ」
にいさまは姫の事を見ないで机に向かって言いますの、でも姫は引き下がりませんの。
このままだとにいさまががりがりにやせ細ってしまいそうで、だから諦めませんの。
「お夜食を作ってきましたの、食べてくださいの」
「そんな暇ないよ、出て行ってくれ」
「そういうわけにはいきませんの!!さぁにいさま!!」
姫はにいさまの机の上に無理やり乗せましたの、でもにいさまは・・・
「うるさい!!!!!!!!」
『がちゃん!!!!!』
「あ・・・」
姫の作った料理をのけて落としてしまいましたの、そして・・ものすごい形相で・・
「勉強の邪魔なんだよ!!!!あっち行けって言うのが分からないのか!!!!」
「に・・にいさま・・」
「どいつもこいつも俺の勉強の邪魔ばかりしやがって!!!!!!!」
そういうとまた机に向かって勉強をはじめましたの・・姫・・ショックですの・・。
せっかくにいさまのために作ったお粥が・・台無しですの。
姫・・とても悲しくて・・・その場にうずくまってないていましたの。
「早くそれ片付けて出て行け!!!」
「ひっく・・ひっく・・」
にいさまは姫の泣き声に耳を貸さないで勉強をしていますの、それがもっと姫を悲しくさせて、涙が止まりませんの・・
「・・・・・」
「ひっく・・ひっく・・」
「うるさい!!!!!!!!!!!!!!!」
「にいさまぁ・・」
「お前は片付けることもできないのか?そんなにないている暇があるなら早く片付けろよ、お前は邪魔なんだよ!!あっちいけ!!!!!俺のいうことが聞けないのか?この役立たず!!!!!」

『パン!!!』

「きゃあ!!」

そう叫ぶとにいさまは姫を叩き始めましたの、何度も・・何度も・・
どうして・・・どうして・・あんなに優しかったにいさまが・・・
「この!!この!!!!」

『パン!!パン!!!』

「痛い・・痛い・いやぁ・・にいさま・・・」
姫は抵抗できませんでしたの、ただにいさまに叩かれて・・・そして・・

「この!!」

『ドン!!!』

「きゃあ!!!」

『ゴッ!!!』
鈍い音が聞こえましたの、頭に何か流れてきて・・姫の意識は消えてしまいましたの。




 


「白雪・・・白雪・・・」
虚ろな意識の中、にいさまの声が聞こえました。
だんだんと意識が戻って、目を開けるとにいさまが心配そうな顔をしていますの。
「にい・・さま?」
頭がずきずきしますの、手を当てたら布が巻き付いていますの・・
「姫は・・」
「よかった・・白雪・・・」
にいさまは涙目で姫を抱きしめましたの、力が強すぎて痛かったけど・・・前の優しいにいさまに戻っていて。
「ゴメン・・痛かっただろう」
「にいさま・・・よかった・・にいさまぁ・」
「白雪・・本当にゴメン・・ゴメン・・」
それからしばらく姫とにいさまは抱き合っていましたの、そしてしばらくして・・にいさまが口を開いて今までのことを話してくれましたの。
「俺・・・親爺とお袋にいつも言われていたんだ・・」
にいさまのご両親はにいさまをいい学校に行かせようと、一生懸命に勉強を教えていましたの。
にいさまが悪い点数を取ると激しく叱り、叩いたりして・・いい点数をとってもご両親はにいさまに優しい言葉を書けることはなかったそうですの。そしてある日を境にご両親の意見が対立し、喧嘩ばかりをするようになって・・激しい言い争いの中、にいさまは勉強していました・・。
そしてご両親は離婚、受験の真っ只中だったにいさまはそんなご両親の争いから逃れるために全寮制の優秀高を受けようと姫の家にやってきたですの。
「電話がくるたびに、勉強しているか?勉強しているか?・・俺の健康のことなんかこれっぽっちも心配してくれなかった、風邪を引いた時だって・・無理やり勉強させられたんだ」
「ひどいですの・・・」
「もう・・あの家に戻るのは嫌だ・・だから一生懸命に勉強しないと・・でも思うように成績が上がらなくてさ・・このままじゃだめだって思って・・そう思えばそう思うほど成績が落ちてきて・・そして・・白雪にあんな・・」
にいさま・・とても悲しそうですの、姫・・にいさまを癒してあげたいですの・・
どうしたらにいさまは救われるのか、そして姫はいいことを思いつきましたの。
「姫いいことを思いつきましたの」
「え?」
「にいさま・・姫の本当のにいさまになってくれませんの?」
「白雪・・どういことだい?」
「にいさまが姫のにいさまになってくれれば・・あの家に戻らなくてすみますの、ずっとこの家で・・姫と一緒に暮らして欲しいですの」
姫はまだ小さいから何もお手伝いすることはできないですの、でもにいさまが家族になってくれればずっとにいさまと一緒にいられますの。そうすれば毎日健康的な食事も取れるし、無理に勉強しなくても済みますの。
「にいさま・・ここにずっといて欲しいですの・・」
「白雪・・」
「姫はにいさまが好きですの・・だから・・」
いつのまにか・・姫は泣いていました、にいさまと離れたくない・・にいさまを苦しめたくない、姫はにいさまが・・・姫は今までの思いを込めて・・にいさまに・・

『チュ・・』

「・・しらゆきぃ・・ぐす・・うわぁぁぁぁぁぁん!!!」
それが合図になってにいさまは大きな声で泣き出しましたの、姫はそんなにいさまに何度も何度もキスをしましたの、しばらくして・・にいさまは泣き止むと決意を固めた表情で姫の顔を見つめました。
「俺・・あの家に帰りたくない」
「にいさま・・」
「いいのかな?・・俺・・この家にいたい・・」
「にいさま・・・いていいですの・・この家で・・姫の料理を食べてくださいの・・」
「うん・・俺・・白雪のお兄さんになるよ・・・約束する」
「にいさまぁ!!!!」
そして、姫とにいさまは強く抱き合いましたの・・・絶対にはなれないように・・





それからにいさまはご両親と話し合い、姫のにいさまになりましたの。
受験のほうも無事合格して、姫の家から通うことになりましたの。
そして・・・・・
「白雪・・飯まだ?」
「まだですの」
「腹減ったぞ!!食わせろ〜」
「くすくす・・子供みたいなにいさまですの」
姫とにいさまは幸せに暮らしていますの、テーブルの上には姫の手料理がたくさん乗っておいしそうな湯気を立てていますの。それをおいしそうに食べるにいさまも幸せそうな顔をしていますの。
この幸せが・・・ずっと続きますように・・・
「ところでにいさま、いつになったら姫を食べてくれますの?」
「いい!!!!」


あとがき

新シリーズいかがでしたでしょうか?
兄も一新して新たなストーリーが展開される・・・予定です。
これからも「アンジェのキス」をよろしくお願いします。
感想はメールか掲示板に


雄一さんへの感想はこちら
yuuiti53@hotmail.com
前 戻る 次