ALIVE
第3話 『メガネっ子は好きですか?』
作 雄一さん
「兄上様・・・」
「ん?」
ある晴れた日、読書をしていると鞠絵が真剣な面持ちで話し掛けてきた。
「あの・・兄上様はメガネっ子は好きですか?」
『ぶお!!!』
思わず口に含んだ紅茶を吹き出してしまう。ってこのパターンどこかで・・
それにしても・・・何で鞠絵がそんな事を聞くんだろ?
「まあ・・可愛いんじゃないかな?・・なんでそんな事を聞くんだ?」
「これ・・」
と鞠絵がテーブルに数冊の見慣れた雑誌や本が置かれる。
タイトルには「メガネっ子倶楽部」「激萌え、メガネっ子」と・・・うにゃあああ!!!!!
これは俺の・・しまい忘れたのかな?
「ええっとこれは友達が預かってくれって・・」
「嘘ですね」
鞠絵の「何もかもお見通しです(怒)」視線で見つめられ俺は観念した。
イスから下りて何の迷いもなく土下座する。
「すみません」
いや〜情けない・・・でも鞠絵の怒った顔や悲しい顔は見たくないからなあ。
「・・・兄上様は・・」
「ん?」
「私がメガネをかけてるから好きになったのですか?」
「いや・・・もういいだろ・・それ燃やしちゃうから・・」
「わかりました・・」
彼女はそれ以上何も言わず秘蔵本を渡すとそのまま去っていった。
怒ってるのか?それともこの本の女の子に嫉妬してるとか・・・
とりあえず今持ってる秘蔵本全てを処分してしまおうと俺は決心した。
勿体無いけどね・・・。
それから三日・・何の変化もなく時間は過ぎていった・・
変化があったのは鞠絵が秘蔵本を発見してから四日目の事だった。
「おはようございます、兄上様」
「おはよう・・・へ?」
その日の鞠絵はいつも通り健康な体でいた・・・一ヶ所を除けば。
「鞠絵・・メガネ壊れたのか?」
彼女はメガネをかけていなかった。
まあ、超近眼というわけでもないしメガネがなければ生活が出来ないというわけではないが・・
「コンタクトに変えてみました・・」
「コンタクト?なんでまた・・」
「気分転換みたいなものです・・似合いませんか?」
「いや・・」
メガネっ子にはある法則がある。
それは、いつもはメガネをかけてあまり可愛く見えない女の子がメガネを外すと飛びっきりの美少女になるという法則だ。
鞠絵の場合はメガネをかけても可愛いし外しても可愛いが・・俺はいつものメガネをかけた鞠絵のほうがいいなぁ。
別にメガネっ子が超がつくほど好きというわけでもないが。
「似合うよ・・うん・・似合う」
「ありがとうございます、早く朝食にしましょう」
「ああ」
「参ったなあ・・」
学校が終り、俺は校門の前で鞠絵を待っていた。
考えてるのは・・・鞠絵がメガネからコンタクトレンズに変えたこと。
明らかに・・あのときの秘蔵本が原因だろうなあ。
俺がメガネっ子好きだと思ってるんだろうな、もしかして自分がメガネをかけてるから俺が好きでいてくれると思ってるのかな?
だからメガネからコンタクトに変えて・・メガネをかけてない自分を好きになってもらおうとしてるのかな?
俺は・・メガネをかけた鞠絵も、かけてない鞠絵もどっちもいいと思うけどな。
「お待たせしました兄上様」
「やあ鞠絵・・これからどうする?」
「本屋さんに寄りたいのですが・・」
「いいぜ・・じゃあ行こうか」
今日はまりえの要望によりいつも行く本屋さんによる事にした。
まあ寄る所といえば映画館や本屋、図書館、後は公園ぐらいだしな。
本屋につくなり鞠絵は恋愛小説のコーナーに向かい本を物色し始めた。
俺は・・・暇だな・・コミックでも立ち読みしようかな?
ん・・「山へ行こう」の新刊か・・こっちは「シューティングスター」の新刊か。
「ん?」
こっこれは!!!!!・・鞠絵見てないよな・・よし・・これ買っちゃおう。
「兄上様、お待たせしました」
「おわあああ!!!!!!!」
「どうかしました?」
「あいや何も・・・決まったか?」
「はい、これにしました」
「ん「病床のパラドクス」か・・ん?「あなたのための夜のABC」「夜這いの仕方全集」?」
「あ・・見ちゃダメです」
「??」
なんか怪しい表紙の本だったが・・人のこといえないので見なかった事にした。
会計を済ませ本屋さんの外に出る、これからどうしようかな?
「う・・うう・・」
「どうした鞠絵?」
「目にごみが・・うう・・」
あらら・・慣れないコンタクト使ってるからな・・・
「うう・・コンタクト取らなきゃ・・」
「・・ほら・・慣れないコンタクト使うから・・」
「・・・・」
「鞠絵?」
「やっぱり兄上様は・・」
「?」
「兄上様は・・メガネをかけてない私は嫌いなんですね」
「おいおい、何でそうなるんだよ」
「私は・・素顔の私を好きでいて欲しいのに・・」
「鞠絵!!」
そう言い切ると鞠絵は走り出してしまった。
まあ・・・目があまり見えないからそう遠くにはいけないと思うけど。
ってボーっと追いかけてる場合じゃないや、急いで鞠絵を捕まえないと。
いつの間にか鞠絵の姿がなくなってるし。
もし交通事故とかにあったら・・急いで探さなくては。
どこ言ったんだ?そう遠くにはいけるはずはないけど。
鞠絵は・・・いた!!!
視線の先には複数の男達に絡まれて腕をつかまれてる鞠絵の姿があった。
あんにゃろ!!!俺の鞠絵に!!!!!
「やめてください!!」
「いいじゃんかよ〜コンタクトなんか」
「俺たちと一緒に楽しいことしようぜ〜」
「ほらほら〜」
「俺の鞠絵に何しやがる!!!!!!!!!!!」
「な・・なんだこいつ・・・」
「ぶっ飛ばしておこうか?」
「やれやれ〜・・ほげえええ!!!!!!」
『ぼご!!!』
問答無用にパンチを男の顔に叩き込む。
「こいつう!!!」
もう一人は手に何かを持ってる・・ってスタンガン!!!
「地にひれ伏せ!!!!」
「おわっ!!!そんなもん振り回すんじゃねえ!!!!!」
俺は男の腕をつかみスタンガンを叩き落しみずおちに蹴りを食らわす。
「げえええ・・・」
「汚いなあ・・そんなところで吐くんじゃねえよ」
吐いた汚物に男の顔を押し付けてやる。
「やったな・・ぶっ殺・・・ぎゃああああ!!!!!」
相手の台詞が終るのを待たないで金的を食らわす。
ふん雑魚どもが・・・っていかんいかん。
「鞠絵、逃げるぞ!!」
「あ・・はい」
俺は鞠絵の手を取り急いでその場から逃げる事にした。
「兄上様」
「ん?やっぱりそっちがいいね」
家に戻り、鞠絵はいつものメガネをかけた。
やっぱりこっちのほうがいいな。
「兄上様・・さっきはありがとうございます」
「いいよ・・・あのさあ鞠絵・・」
「はい」
「俺がメガネっ子が好きだと思ってるだろ」
「はい・・だってあの本は・・」
「まあ・・好きだってことは否定しないけど・・それを鞠絵に重ねた事はないよ」
「でも・・」
「俺は・・メガネをかけた鞠絵も、かけてない鞠絵も好きだよ」
「・・・はい(真っ赤)」
「・・なあ・・コンタクトをするのは俺の目の前だけにしてくれないか?」
「?」
「鞠絵の一番綺麗な姿を・・俺だけのものにしたいから・・」
我ながら・・・なんとくさすぎる台詞だろう。
鞠絵なんか幸せいっぱい〜って表情だし・・。
とりあえず・・めでたしめでたし。
次の日・・
「兄上様」
「ん?」
「黒髪のロングヘアーの清純な女の子は好きですか?」
ずどべし!!!!!!
「な・・なんでそんな事を・・」
「これを・・」
鞠絵が手に持っていた本には「黒髪清純少女乱れ姿」「清純少女の恥じらい」と言うタイトルが・・・確か昨日買ったやつだ。
「これは・・・死んだ友人の形見で・・」
「嘘ですね」
うう・・・鞠絵の「何もかもお見通しです、私というものがありながら(怒)」視線が体に突き刺さる。
その後、美容院に行こうとする鞠絵を説得するのに苦労した(汗)。
そしてこの日から・・もう二度と秘蔵本は買うまいと心に誓った。
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