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ALIVE
第1話 『一緒に・・・』

作 雄一さん


父と義母が死に・・・残ったのは多額の保険金とたった一人の愛する義妹・・・
小さい頃から病弱で、ある日を境に彼女は病院に閉じ込められてしまう・・・。
長い闘病生活・・・彼女は何度も命を落としかけた・・・
俺も・・・彼女と共に病と戦った・・・そして今日・・・・彼女が戻ってくる・・・。
長い闘病生活に幕を閉じて・・・・。
俺の腕の中に。


「兄上様、これはここでよろしいでしょうか?」
「ま・・鞠絵!!ダメじゃないか!!そんな重い物持っちゃ!!」
俺は急いで彼女の下に駆け寄り、持っていた荷物を受け取る。
・・・・よかった・・・そんなに重くないや・・・。
「兄上様・・私はもう・・」
「ダメだよ!!鞠絵はまだ体力がないんだから」
「でも・・・」
「いいから、鞠絵は軽い物を・・・ね」
「はい」
二人で暮らすには大きい洋館・・・お祖父さんが残してくれた大切な家だ。
以前は父と義母と共に暮らしていたが、二人が死んでからはお祖父さん親友の陣内耕作、俺は「じいや」って呼んでるけど彼のおかげでなんとか暮すことが出来た。最近は腰の調子が悪く、滅多にこられないけど週に一度は囲碁や将棋、テレビゲームの相手をしている。
今日からは鞠絵と二人・・・この屋敷で暮らすことになる。病気が下火になり、自宅療養の許可が下りたのだ。自宅療養といっても普通の子みたいに学校にいけるし外を歩くことができる。まあ月に一度は病院で検査を受けなくてはならないが・・・。
「しかし・・・凄い量の本だな・・・これみんな鞠絵の?」
「はい、病院の方が持ってきてくれたり、隣のひばりちゃんから譲ってもらったり・・」
「へえ・・・」
病院にいた時の鞠絵の唯一の楽しみ、それは読書だった。
彼女の病室にはいくつも本棚があり、ものすごい量の本が詰まっていた。
退院する時、看護婦さんに手伝ってもらいこの家に持ってきたのだ。
その本の山を、鞠絵のために作った書斎にしまいこみリビングで一息をつく。
後は・・・鞠絵の部屋の家具をそろえたり・・・ミカエルの小屋を作ったり・・それだけだ。
「うふふ・・」
「ん?どうしたんだい?」
「いえ・・これから兄上様と一緒に暮らすって考えると・・」
鞠絵はそっと俺に寄り添ってくる。俺も彼女の肩に腕を回し彼女を引き寄せる。
細くて・・・ガラス細工のような肩・・・少し赤みを帯びた透き通るような白い肌・・生命に満ち溢れている瞳と吐息、そして・・・体温・・・。こんな少女が長い間、病と戦ってきた。だから・・・守るんだ・・・この愛しい存在を・・・たった一人の愛する妹・・。彼女の笑顔を見れば・・・何でもできるって思えてくる・・大げさだけど。
鞠絵の存在は・・俺の心の中でなくてはならない存在になっていた。
だから彼女が危篤状態になった時、俺は彼女に精一杯呼びかけた・・・
「死ぬな!生きろ!!」
「俺とデートするんだろ!!ここで諦めるなよ!!」
「お前がいなくなったら俺・・・何のために生きればいいんだ!!」
「俺がついてる・・だから・・」
「戻ってきてくれ・・・鞠絵・・」
「俺を一人にする鞠絵なんて・・・だいっ嫌いだ!!!」
無我夢中で俺は叫びつづけた、自分でも何いってるのかわからないくらい。きっとひどいことも言ったに違いない。
でも・・・そんな俺の腕の中に彼女は帰ってきた・・・。
そして今、こうしてお互いの温もりを感じ合えることができる。
ただ肩と肩をくっつけるだけ・・・それでも俺と鞠絵は幸せになれる。
「鞠絵の体・・温かい・・」
「兄上様の体こそ・・」
「・・・・・・(真っ赤)」
「・・・・・・(真っ赤)」
言いたいこといっぱいあるのに・・・いざとなったら言葉が出なくなってる。
どうしよう・・なんて言ったらいいかな?
鞠絵・・・愛してるよ・・・じゃなくて・・
鞠絵・・・これからもずっと一緒に・・・じゃなく・・
ああ〜もうなんて言ったらいいんだろ。
いままで普通に話していたのに・・・あの時・・・鞠絵が自分の想いを俺に話してくれたときから・・。
「私は・・・兄上様が好きです・・・」
「鞠絵・・」
「これからは・・・私を一人の女性としてみてください・・」
「・・・・・・」
いかん・・・思い出しただけでさらに赤面してしまう・・。
どうしよ・・さらに緊張してきた・・例えるなら・・初恋の人と初デート・・・
う・・・ここは・・・
「「あの」」(ハモった)
「あ・・・(さらに真っ赤)」
「あ・・・(さらに真っ赤)」
「・・・鞠絵・・先に・・」
「いえ・・兄上様が・・」
第三者の目から見ればお互いが初恋の人で、相思相愛で、初デートで緊張・・・と見えるだろう。初々しいと言うか・・・(照)
「あのさ・・今日は・・・俺の部屋で寝なよ・・」
「え?」
「鞠絵のベッドが来るの明日だし・・・客室のベットはまだ夏用の蒲団のままだし・・・俺はここのソファーで寝るから・・・」
「でも・・」
「いいよ・・試験勉強なんかの時ソファーでよく寝てたし」
「・・・でしたら・・」
「?」
「あの・・一緒に寝ませんか?」
「いいっ!!」
「だめ・・ですか?」
「い・・いや・・そんな事無いよ・・うん・・・無い・・」
「じゃあ・・・一緒に・・・」
「うん・・・」
「・・・できればこれからも・・」
「え?」
「いいえ・・何でもありません」
まあ、初めてと言うわけじゃあるまいし・・・・な・・・別にいやらしいことするわけじゃないし。それに・・・鞠絵が嬉しそうだし・・、めったにっしょに寝るってこと無いしな。俺自身・・・・鞠絵よりも嬉しかったりしたりする。・・・・となると部屋の掃除とかしなきゃな。そういう怪しい本とかあるわけじゃないけど・・・・万が一と言うこともある。
「これから・・・兄上様と一緒なのですね・・」
「ああ・・これから死ぬまで・・いろんなことを経験するんだ・・幸せなこと、苦しいこと、怖いこと、悲しいこと、面白いこと・・・鞠絵・・一緒にいろんなことを経験していこうな・・」
「はい・・・」
どことなく自然に、俺たちは唇を重ねた、胸一杯に甘い気持ちが広がる。一度唇を離し、鞠絵を抱きしめる。そしてもう一度・・・今度は長く・・・。
「はぁ・・」
「・・・鞠絵」
「・・・・・(真っ赤)」
「・・・・・(真っ赤)」
「・・・・・」
「あ・・・・そろそろミカエルの小屋・・」
「兄上様・・」
「あ・・・」
立ち上がろうとする俺を鞠絵が引き止める。
「もう少し・・このまま・・」
「ああ・・・」
しばらく俺と鞠絵はリビングのソファーで抱き合っていた。
これから二人で過ごす幸せな生活を夢見て。


追記・・・・そういやいつの間にか雨が降ってて・・・
ミカエルを家に入れるのを忘れてた・・・(汗)。
小屋まだないし・・・可哀相に・・・雨に打たれたままジーっと立っていた。
すまんミカエル!!
ちゃんとお前の小屋、用意してやるからな。


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yuuiti53@hotmail.com
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