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12着のウエディングドレス
作 雄一さん
「なあ咲耶・・・」
「御免なさい、またあとで」
「なあ鈴凛・・最近車の調子が」
「ごめん・・・忙しいんだ」
「雛子、おやつ・・・」
「いらない」
「白雪、今日の夕食だけど」
「お任せしますわ」
「・・・・・おかしい」
最近妹達の様子が変だ、話し掛けてもどこかそっけない返事をするし。
風呂に入るときも「背中を流す!!」と咲耶と春歌が争っているのに最近ではその気配すら見せない。
おやつの時も真っ先に来るはずの雛子や亞里亞、四葉が遅く着たり、衛も早朝マラソンをやっていないし、
可憐や花穂、鈴凛も様子がおかしい・・。
「とうとうお兄ちゃん離れをしたかな・・・・」
そう思うとちょっと寂しい気がする。そうは思ってもいつかは妹達も大人になって僕の元から旅立っていく。
それが自然だ・・・・
「でもやっぱ寂しいよな・・・なあバニラ」
飼い猫のバニラを抱きながら俺はつぶやく。
そう・・・・俺は兄なのだ・・・・いつまでも可愛い妹達を自分の手の届くところにおくわけにはいかない。
あの咲耶だって最近は夜這いをしてこない。滅多にないことだ。
「これでいいんだ・・・これで・・・・」
俺は自分にそう言い聞かせた。
兄が感傷的になっているそのころ咲耶の部屋では・・・・
「咲耶お姉ちゃん、11個目完成だよ」
「よしあと一つね・・・・ねえ鞠絵、そっちはどう?」
「今サイズをあわせてるところです、どう?衛さんきついですか?」
「ううん大丈夫」
「いたっ・・・あーまた指刺しちゃった・・・・機械は得意だけど・・・裁縫は・・」
「文句いわないの鈴凛・・・白雪ちゃんそっちは?」
「あともう少し・・・・きゃああああ花穂姉さま」
「うううう御免なさい、また糸絡まっちゃった・・・」
「・・・・・貸してごらん・・・ほらこれでもとに戻った・・・」
「ありがとう・・千影お姉ちゃま」
「うんしょうんしょ・・・布もってきたよ」
「ありがとうヒナちゃん・・・兄君様に見つからなかった?」
「うん、大丈夫」
「くすん・・・針に糸が通せません・・・」
「ほら貸して・・・・よしこれでいいわ・・・」
「ありがとう咲耶姉や」
「5・6・7・8・・・・・あと4着デス、咲耶姉チャマ」
「よしあと一息よ」
「おお!!」×11
なにやら裁縫作業をしていた。咲耶の指揮のもと・・・妹たちはある計画を立てていたのだ。
兄をびっくりさせること、そして幸せにする計画。
作業は夜中にまで及び、部屋の電気が消えたのは深夜3時だった。
今日は日曜だが大学にレポートを届けるため朝から大学に向かった。
例によって妹達の態度は昨日と変わらない。
やっぱりお兄ちゃん離れしたのだろう・・・・。
もうこれで・・・咲耶や春歌、白雪に寝込みを襲われることはないし、鈴凛に援助を求められることもない。
可憐や衛、花穂、鞠絵、雛子、亞里亞も普通の恋愛をするのだろう。
千影も俺を実験台に使うこともすくなくなるだろうし、四葉も他のものをチェキするだろう。
そう・・・・これでいいんだ・・・・
「あれ?・・・・泣いてるのか?・・・」
気が付けば俺は涙を流していた。
「嬉し涙か・・・それとも悲しみの涙か・・・」
涙を拭き、大学への道を急いだ。
「ただいま・・・・・」
俺は昼前に帰宅した。いつもなら雛子や亞里亞、咲耶が出迎えてくれるのだが・・・誰もこない。
やっぱ寂しいな・・・・。リビングに入ると誰もいなかった。みんな部屋にいるのかな?
「ん?」
俺はあるものに気が付いた・・・手紙とアイマスクとタキシード?
手紙を開くと見慣れた文字で(タキシードを着てアイマスクをしてください。)と書かれていた。
字から見るとどうやら雛子が書いたらしい。
「?」
わけもわからず俺はタキシードを着てアイマスクをする。すると・・・・
「兄チャマ」
「にいさま・・」
聞きなれた声が・・・
「四葉・・・白雪?」
「はい・・・私達がいいところへお連れしますの」
「兄チャマは四葉たちに全てをゆだねてください」
わけもわからず俺は四葉と白雪の手を引っ張る方に歩く。
「ここで靴を履いてください」
「四葉たちが履かせます」
靴を履かされ・・・外に出る。・・・・彼女たちはいったい何を企んでいるのだろう。
「にいさま・・・私達がいいというまでアイマスクを外さないで下さい」
「・・・わかった・・」
しばらく待つと・・・・
「お兄様・・・アイマスクを外して・・・」
咲耶の声だ。俺はゆっくりアイマスクを外す。
目の前に光が差し込みあたりの様子がはっきりしてくる。そして目の前には・・・・・
「みんな・・・」
目の前には妹達がいた。いつもと違うのは・・・・・皆が真っ白いウエディングドレスを着ていたことだった。
「これは・・・・どういうことだ・・・・?事情が良く飲み込めないんだが・・・」
「あら?見ればわかるでしょ?結婚式よ」
「誰と?見ればみんなウエディングドレスを着ているけど・・・・」
「誰とって・・・ひどいなあにぃ・・・・ボクたちとだよ・・」
「え?」
衛の言うことがいまいちの見込めない・・・・結婚?みんなと?
「にいさま、最近言っていましたわ・・・・・みんないつかは僕からを離れるのかなって」
「はい、確かに兄チャマは言っていました」
「ヒナ達はおにいたまから離れたくないよ」
「だから花穂たち考えたの」
「・・・・・いっそうのこと結婚しようかってね・・・」
「でも・・・誰もが兄上様のお嫁さんになりたいって思っています。ですからいっそうのことみんでお嫁さんになろうということに・・・・」
「誰かが代表してウエディングドレスを着ようと提案があったのですが」
「みんなが着たいって言っててさ・・・」
「結局みんなで着ようってことになって・・・」
「亞里亞は兄やと離れ離れになりたくないの」
「で・・でも俺たちは兄妹だ・・・・こんな・・・」
「そんなの関係ないわ」
俺が話そうとすると咲耶がそれを遮る。
「たとえ血が繋がっていても・・・・・私達の気持ちは変わらないわ」
「確かに籍も入れないし・・・・世間から変な目で見られるけど・・・」
「私たちは兄君様が好き・・・・私達もみんなのことが好き・・」
「こんな賑やかな家族・・・どこを探してもいないよ・・」
「・・・・・・みんなで決めたことなんだ・・・兄くん・・・」
「ホント・・・・アニキは世界一の過宝者だよ」
「み・・・みんな・・・」
無性に嬉しかった・・・さっきまで皆がお兄ちゃん離れしたんだって喜んでいたのに。
あのときの涙・・・・悲しみの涙だったんだ・・・。
皆がブラコンであるように・・俺もいつの間にかシスコンになっていたんだな。
・・・・いかん・・・また涙が・・・
「・・・・・みんな・・・本当にいいのか?」
「いいに決まってるじゃない・・・だからこうやってお兄様に内緒でウエディングドレスをわざわざ12着も作ったんだから」
「にいさまに隠すのも大変でしたの・・・だからあんな態度を・・・」
「本当にごめんね、あにぃ・・・」
「でもこうやって今日を迎えられたんだから・・・・今までのことは・・・ね?」
「おにいたま、泣いてるの?ヒナが慰めてあげる」
「兄や・・・大丈夫?」
しばらく泣いていた。久しぶりに泣いた・・・。
泣くと自分が弱い気がしていつも泣くのを我慢した。
でも・・・・今は違う・・・。
「お兄ちゃん・・・・泣かないで・・」
「う・・・み・・みん・・・な・・・」
「私達・・・幸せだよ・・・」
「・・・俺も・・・嬉しい・・みんなが俺のことをこんなに思ってくれるんなんて・・・」
「ほらほら・・アニキ・・・はじめようよ・・・私達の結婚式・・・」
「ああ・・・そうだな・・・」
俺は涙を拭き襟を正す。
みんなの思いを受け止めるために、こうして結婚式が始まった。
「私たちは」
咲耶が手にもったブーケを掲げる。
「ここに誓います」
春歌も咲耶に習い掲げる。
「どんな困難が待ち構えても」
花穂も
「どんな障害があっても」
衛も
「どんなかべがまちかまえても」
雛子も
「共に手を取り」
亞里亞も
「心を重ね」
鞠絵も
「希望を失わずに」
鈴凛も
「明るく」
四葉も
「笑顔で」
白雪も
「・・・・乗り越えていくことを」
千影も
「誓います」
そして可憐もブーケを掲げる。そして最後に全員で・・・
「そして私たちは誓います。私たちは永久に夫であり兄である悠を愛しつづけることをここに誓います。」×12
「俺も・・・ここに誓います・・・妻であり妹であるみんなを永久に愛し、この命に賭けて守り通すことをここに誓います」
俺も誓いの言葉を言う。そして誓いの言葉が終わり・・・ブーケが一斉に投げられる。
「さあお兄様・・・指輪を・・・」
「え?」
「私と可憐と咲耶で作ったんだ・・・・交換するんじゃなくて・・・・はめるだけでいいんだ・・・」
千影は俺に指輪を渡す。シンプルなデザインだが指輪の内側には「ETERNITY×12」と刻まれていた。
「指輪のサイズはぴったりだよ・・・四葉ちゃんからの情報だから」
「・・・ありがとう」
渡された指輪を左の薬指にはめる。確かにぴったりだ。みんなも左の薬指に指輪をはめる。
「これで私たちはずっといっしょにいられるよ」
「ああ・・・・そうだね・・」
みんな幸せそうな顔をしている・・・・
「・・・・みんな・・・・本当に・・・」
「アニキ!まだそんなこというの・・・いいの・・・みんな幸せなんだから」
「鈴凛・・・・そうだな・・・」
「ほら・・・写真とろう」
その後、俺たちは集合写真をとった。俺はタイマーをあわせると駆け足でみんなの所へ走る。
「よし・・・・ん?」
誰かが俺の腕を引っ張る。何かと思ったそのとき・・・・
ちゅ・・・・・
カシャ!!
「ああ!!!ずるい!!」×11
気が付いたときには俺は妹達に囲まれてキスを迫られていた。
やっぱり結婚式を挙げてもみんなは変わらない。
でも・・・・俺は幸せだった。この幸せはこれからもずっと続くんだな・・・・。
あとがき
・・・・・何も言いたくありません
こんな主人公どこにいるでしょうか
いいなぁ・・・・
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yuuiti53@hotmail.com
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