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花穂の花嫁修業

「ウェディングベル」

作者 雄一さん


「えっとぉ・・・私はこの時を・・ずっとぉ・・・待っていた」
「私だってこの時をずっと」
「え・・えと・・ああん忘れちゃった・・・はぁ・・」
あ〜あ、また台詞覚えなきゃ・・・あと二日で演劇会なのに、このままじゃ演劇会で失敗しちゃうよぉ。
お兄ちゃまだって楽しみにしてるのにぃ。
「いまこそこの想いをあなたに・・・あなたに届けます・だろ」
「うん・・お兄ちゃますごいね、台詞覚えてるんだ」
「もちろん、お姫様から王子様の台詞まで覚えてるよ」  
「はぁ・・・覚えられるかなぁ」
実は・・・二日後に花穂の学校で演劇会があるの、劇の名前は「戦場のお姫様と王子様」。
ちょっと難しい内容だけど先生の説明だと敵対する二つの国の王子様とお姫様が恋に落ちて、戦争を終わらせようとする話なんだって。
花穂は兵士の役だったのに、お姫様の女の子が足を捻挫しちゃって・・・花穂がお姫様をすることになっちゃったの。それが昨日のこと・・・だから花穂はあと二日で台詞を覚えなきゃいけないの。一生懸命に覚えてるんだけど、最後の結婚式のシーンがなかなか覚えられないの。劇の中でも一番いいシーンだから間違えないようにしないと、でもなかなか覚えられないよぅ。
「もう一回最初からやる?実践もかねて」
「実践って?」
「こうするの・・」
「きゃ・・」
お・・・お兄ちゃま・・花穂を抱きしめて・・・あ・・これってもしかして。
「私はこの時をずっと待っていた」
「私だってこの時をずっと」
「いまこそこの想いをあなたに・・・あなたに届けます」
やったぁ!!!間違えないで台詞言えたよぉ、これなら本番までに何とかなるかもしれない。
お兄ちゃまのおかげだよ、これならお兄ちゃまに喜んでもらえる。
抱き合って練習すれば台詞も覚えられるし、お兄ちゃまと一緒にいることもできる。
「こんなもんか?」
「うん・・あ・・でもね・・・」
「?」
「続きがあるんだよ」
えへへ・・・いいこと思いついちゃった、せっかくお話では王子様とお姫様が幸せになるんだから。
「受け止めて・・花穂の最高の想いを・・」
「ちゅ・・」
「え・・あ・・」
えへへへへへ、キスしちゃった・・・劇ではキスはしないんだけどね・・・お兄ちゃまとはキスしたかったの。
花穂がお姫様でお兄ちゃまが王子様、えへへ・・・本番でもお兄ちゃまが王子様がいいなぁ。
そうそう、結婚式といえば花穂ね、ウエディングドレスを着るんだよ。
衣装係の子が張り切って作っていたけど、すごいんだよぉ・・・かなり本格的な衣装で。
あの衣装・・・早くきてみたいいなぁ・・・その為にも台詞を覚えなきゃ。
「よぉし!!!!がんばるぞぉ!!!!!!!!」
「うわぁ!!・・・・すごい気合いだな」
「え・・・えへへへへ」





演劇会は明日、今日は最後の全体練習なんだ。
みんな衣装を付けて本番みたいに練習するんだよ、もちろん花穂だってお姫様のドレスとウエディングドレスをつけて。今日はじめて完成品をみたけど・・・とっても綺麗なんだよ、背中に小さな天使の羽がついていて。
衣装係の子は「今までで最高の出来ですわ」っていってたの、いいなすごく綺麗・・これを花穂が着るんだ。
「いいなぁ花穂ちゃん、ドレス着れるなんて」
「あ、美保ちゃん」
「私なんて兵士Aだよ、鎧と槍を持って「敵襲だ!!!」って叫ぶだけ、足さえ捻挫しなければねぇ」
「大丈夫?まだ痛むの?」
実は美保ちゃんがお姫様をやるはずだったんだけど、男子が槍を持ってふざけていて・・その男子とぶつかっちゃって足を捻挫しちゃったんだ。でも・・・その美保ちゃんが代役に花穂を推薦したんだ、どうして花穂を推薦したんだろ?
「まあ舞台袖から出て叫ぶだけだし、それに花穂ちゃんの方がお姫様が似合ってると思うな」
「そうかな?だって花穂・・・ドジだし・・・向いてないと思うよ」
「ドジは関係ないの、それにこのお話のお姫様は恋をしてるのよ・・・ね、花穂ちゃんにぴったりでしょ」
「え・・・(どきぃ!!!)」
ま・・・まさか、美保ちゃん・・・花穂とお兄ちゃまのことを・・・・・
「前から様子がおかしいと思っていたんだ、時々ボーっとするし、突然顔を真っ赤にするし」
「そ・・そうかな?」
「だから私思ったの、花穂ちゃん・・・恋してるんだって」
「ええ!!(どきどきぃ!!)」
ど・・・どうしよう、お兄ちゃまにはこのことはみんなに内緒って約束していたのに。
「相手が誰かわからないけど、花穂ちゃんの恋・・応援するよ」
「あ・・・ありがとう・・」
よかったぁ・・・ばれていないみたい、もしばれたら花穂どうしようかと思ちゃった。
でも、美保ちゃんが応援してくれるんだもん・・・花穂も一生懸命頑張らないと。
あ・・そろそろ花穂の出番だ、よぉーし頑張るぞぉ!!!!
「待て王子・・・・」
「ぼて」
「いったぁあああああい・・・」
「あはははははは」
ふぇえええええん・・・気合いが空回りしちゃったよぉ・・・







いよいよ本番、オープニングは何とか乗り切ったけど・・・次の出番は大丈夫かな?
客席見てもお兄ちゃまはいないし、どこにいるんだろ・・・・お兄ちゃまの顔さえみれば緊張が解けると思うの、でも客席には人がいっぱいいて・・・どこにお兄ちゃまがいるのかわからない。
あぁ・・・・すごくドキドキするよぉ・・・もし・・もし舞台でころんじゃったりしたらどうしよう。
「花穂ちゃん大丈夫?」
「あ・・・美保ちゃん」
「大丈夫だよ、花穂ちゃんならきっと出来るよ」
「でも・・・」
やっぱり緊張しちゃうよぉ、ここから逃げ出したいくらい・・・どうしよう。
「ふーん・・・あ、あれ花穂のお兄さんじゃないの?」
「え!!!」
美保ちゃんの指さす先には・・・ああ!!お兄ちゃまだ!!
お兄ちゃま・・ちゃんと見に来てくれたよぉ。
「・・・花穂ちゃんってお兄ちゃんって聞くと元気になるね」
「え・・あ・・」
「そっか・・・ふーん・・」
「み・・美保ちゃん・・」
な・・なんだろ・・美保ちゃんの意味ありげな笑顔は、もしかしてばれちゃったかな?
「ほら、そろそろ出番じゃないの?」
「あ・・あ・・そうだね・・」
「頑張って花穂ちゃん」
「うん・・頑張る」
ばれてないのかな?ううんそんなことよりも今は演劇会に集中しなきゃ。
よぉし、とにかくお兄ちゃまのためにも頑張らなくちゃ!!









「ぱちぱちぱちぱち」
お・・・おわったぁ・・・何とか間違えないで出来たよ。
もう花穂へろへろ、このまま倒れちゃいたいくらい。
「お疲れさま、花穂ちゃん」
「お疲れさま、美保ちゃん」
「やっと終わったね」
「うん、私の代役ご苦労様」
演劇会終わったんだよね、そうなったらこのウエディングドレス・・もう着られないんだよね。
ちょっと残念だなぁ、この姿でお兄ちゃまと一緒に並びたかったなあ。
「このドレス・・・・どうするんだろ?」
「捨てちゃうのももったいないよね」
「もらっちゃえば?衣装係の子には私から言っておいてあげるよ」
「でも・・・」
花穂だってこの衣装ほしいよ、でもこの衣装ほしい子たくさんいると思うけどなぁ。
「大丈夫、いきなり役を押しつけた私からのお礼だよ、みんなだってちゃんと理解してくれるよ」
「でも・・・」
「お兄さんと一緒に着たいんじゃないの?結構お似合いよお兄さんと花穂ちゃん」
「え・・(どっきぃ!!)」
やっぱりばれてるのかなぁ、どうしよう・・・
「ほらほらもってった、ほら」
「う・・うん・・・」
なんか押しつけられたって感じだけど、でももらえるならもらっちゃおっと。







「花穂、どうしたんだよチャペルになんかきてって・・・」
あ・・お兄ちゃまが来た、へへびっくりさせちゃおっと。
「お兄ちゃま、いらっしゃい」
「か・・花穂、その格好は・・・」
「もらったんだよこのドレス」
「か・・・可愛い」
お兄ちゃまが可愛いって、うわぁ嬉しいなぁ、もらってよかった。
「可愛いな、花穂」
「ありがとう・・・それでね、花穂・・・結婚式したいんだぁ・・」
「うん、俺もそう思った・・・指輪無いけどね」
「それは、本当の結婚式の時にね」
だって花穂はまだお子様だもん、ちゃんと大人になったらお兄ちゃまとエンケージリングを交換するんだ。
それまでちゃんと待っててね、お兄ちゃま。
「仮結婚式かな?」
「そうだな・・・でも将来はちゃんと・・」
お兄ちゃまは花穂を抱きしめたの、そして花穂のおでこにそっとキス。
「お兄ちゃま、花穂のことを永遠に愛してね」
「勿論」
そしてもう一度キス・・・お兄ちゃま、花穂ずっと待ってるからね。
花穂が大人になったら、本当の結婚式をしようね。



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