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二人のアンジェ
小さな彼女と大きな彼女
〜奇妙なお誘い〜
作 雄一さん
時遡って、航ミニマム化前日の夕方・・・・
「ただいまぁ・・」
「ただいまぁっ!!!」
祐輝と雛子は同時に玄関をくぐった。
両親は共働きのため、この時間帯は雛子と祐輝二人っきりということが多い。
祐輝は靴を脱ぎながらこれからの予定を考えた。
「雛子ちゃんにお勉強を教えなきゃ、春奈さんから雛子ちゃんの教育を任されているんだ、しっかりしなきゃ」
雛子を預かる際、彼女の母親「春奈」からいくつか厳命されていた事を思い出す。
勉強は必ずやらせること、愛し合ってもいいが甘やかしてはいけない、おやつは必要以上に食べさせてはいけない、太らせるな、変なことを吹き込むな・・・などなど。
最後の一つは春奈がやっているのでは?と祐輝は思うが・・
「雛子と引き離すわよ」
と脅されてしまっている。
「ねーねーおにいたまぁ」
「なんだい?」
雛子が祐輝の袖口を引っ張る、その目は何かを期待している目だった。
「くししし・・・おにいたま、だきしめて」
「うん、いいよ・・」
彼女と暮らすようになって、いろいろな日課が出来た。
その一つが「ただいまの抱擁」。
学校から帰ってリビングのソファーで雛子を抱きしめるのが日課になってしまっている。
きっかけは祐輝が雛子を抱きしめながら昼寝してしまったことにある。
「すっごくきもちいいのぉ・・・」
と年齢に合わない官能的な声で起こされた祐輝は乱れた雛子の服を見て「いたしてしまったぁっ!!!」と一時期混乱、両親に白い目で見られたことがある。
何とか誤解を解いたものの、抱きしめてもらうことに快楽を見出した雛子は祐輝が帰って来ると必ず「だきしめて」とおねだり・・・すっかりこの抱擁のとりこになってしまった。
雛子は祐輝の手を引っ張り、リビングへ向かう。
そしてリビングに入ると・・・・
「やっほ〜雛ちゃん」
そこには何故か雛子の母親の春奈がいた、何故かデジカメを構えながら・・・
彼女の訪問はいつもいきなりで、毎回毎回びびらされている。
万が一、ということでこの家の鍵を春奈に渡しているが。
(間違いだったかなぁ)
後悔する祐輝であった。
「あぁ、おかあたまぁっ!!」
雛子は雛子で母の訪問を大喜びしている。
「春奈さん・・あの・・」
「お帰り二人とも、ささ・・早速二人のラブラブを・・」
「嫌です」
祐輝が呆れ顔できっぱりと断る。
「えぇ〜ひっど〜い、誘拐で訴えるわよ!!」
ビシっと人差し指を向けるという無駄な行為をする春奈。
「そっちだって!!育児放棄ですよこれは!!!」
同じくビシっと人差し指を向けるという無駄な行為をする祐輝。
「誰も放棄してないじゃないの、ちゃんと三者面談には出席するし、授業参観日だって出るわよ、それに休みには親子三人で一緒に遊んでるじゃない!!!」
「からかいにきてるの間違いでは?」
雛子が祐輝の家に着てから、休日に春奈が遊びにくるようになった。
祐輝に嫁として雛子を預けたとはいえ、やはり幼い雛子のことが心配な春奈は夫と共に休みを利用して祐輝の家へ遊びにくる。
そして遊びに来るたびに祐輝のことをいろいろからかっていくのだ。
「まぁまぁ、でも・・・二人を見ると思い出すわ・・私と悠のラブラブ・・・・出会いは公園で・・」
ふと自分の若かりし日々を思い出し、うっとりする春奈。
「勝手に惚気て下さい、僕たちは他の部屋で遊んでいますから・・」
祐輝は雛子の手をとるとさっさと自分の部屋に向かおうとする。
「まま、今日は話があって来たのよ」
「話?」
「まま茶でもすすって」
そういうと春奈はお茶を差し出す、それも自分の家のように。
食器の場所やお茶のある棚、はたまた雛子の着替えや祐輝のひぞうほんのある場所まで(これが見つかった時、めっちゃからかわれた)熟知している。
祐輝の家をまるで自分の家のようにくつろいでいる春奈、「いつか乗っ取られるのか?」という祐輝の心配をよそに、春奈は話を始める。
「実はね・・・悠が・・・」
「悠さんが?」
「・・・くすん・・くすん・・・」
急に春奈が泣き出した、はじめはからかっているのかと思った祐輝だが、目薬とは思えぬ涙の量に祐輝は驚く。
(まさか悠さんの身に何か・・・悠さんって考古学者って自称してるけど・・・)
春奈の夫、悠はほとんど家に居ることが多い。
その割にはちょっと豪華な一戸建てに住んでいる。
時々出かけては傷だらけで帰ってくることも、そんな彼の本当の仕事を祐輝が知るよしも無い。
「悠さんがどうしたんですか・・」
「・・・悠が・・悠が・・・商店街の福引でこれを当てたの・・」
「は?」
春奈が取り出したもの・・・それは四枚のチケットだった。
『プロミスランド無料パスポート券』が二枚
『プロミスランドホテル無料宿泊券』が二枚
プロミスランドは超有名な遊園地で、遊園地全体が町にもなっている最新プレイスポットである。
デートスポットのランキングでも常にトップの座をキープしており、ここでデートしたカップルは例え兄妹でも結婚する(?)というジンクスもあるとか無いとか。
とにかく超が付くほどの人気スポットでそのパスポートといえば超が付くほど入手が困難といわれている。
予約しても入手できるのは半年先ともいわれている。
「・・・で・・なんで泣いてるんですか?」
「だって・・だって・・明日行くはずだったのに・・・悠がエジプトに行っちゃったの」
「あらら・・」
「しかも期限が今週中で・・・あぁ・・・一緒に堪能したかった・・プロミスランド・・」
夫の写真を見つめながら涙する春奈・・・祐輝にはその姿が可愛そうに見えてくる・・
(この二人って、本当に仲がいいんだなぁ・・)
二人の夫婦仲は祐輝も熟知している、人前で平気でキスをしたり、腕を組んで出かけたりと。
「というわけで、明日二人で行ってきなさいよ、プロミスランド」
(うぁ、立ち直り早っ!!!)
と内心驚く祐輝、春奈の心の切り替えは大魔神並みである。
「わぁ〜い!!ゆうえんちだぁ!!!」
いつものからかいとは違うことに祐輝は内心ほっとする、そして差し出されたチケットを手にする。
「じゃあ遠慮なくこれ頂きますね」
「ちょっと待った!!!条件があるのよ」
「条件?」
やはりタダでは済まされないか、こういった話にはいつも何かがある。
春奈が出した条件、それは彼女の友人の息子とその彼女とダブルデートをしろという奇妙な条件であった。
「私の友人がねぇ「なんか最近弄りがいがなくなって来て・・・昔の新鮮さが無いのよ」って嘆いていたわ」
「・・・類は友を呼ぶを地でいってますねぇ」
「るいはともをよぶ?それなぁに?」
「例えるなら、お猿さんがお猿さんを呼ぶだね・・・」
「ふーん」
「というか・・・なんでダブルデートなんですか?どうせだったらそっちにこのチケット渡せばいいじゃないですか」
「当てたチケットはそれだけじゃないの」
「・・・・なるほど」
「まぁ、相手も貴方が知っている人だから気兼ねなく楽しめるわよ」
「僕が知っている?」
「そそ、とっても仲良しなはずよ・・・彼女」
「??」
「まぁ、楽しんできなさい、雛ちゃんも、いっぱい楽しんできてねぇ」
「おかあたまこないの?」
「ゴメンね、本当は二人のラブラブを撮るために自腹切って行こうと思ったんだけど・・・友人のところに遊びに行くのよ、身重だって言うからちょっとしたお手伝いにね」
あまり残念そうに見えない、と祐輝は思った。
その後、春奈は一通り祐輝たちをからかった後、予約していたホテルへ帰っていった。
どんな風にからかわれたかは・・・祐輝が「頭が痛くなるからやめて・・」という要望により、割愛する。
祐輝たちは明日のために準備を始めた、着替えや人形(これは雛子の)をバックにつめたり、明日の交通費や雑費を銀行から下ろしたり。
そんな準備に追われている中で、春奈からファックスが届いた。
明日一緒にデートするカップルの詳細がこまごまと書かれている。
「まさか僕と雛子ちゃんみたいなカップルじゃないだろうな・・・って」
その時目に入った二つの漢字・・・祐輝は目を疑った。
「咲耶・・・ってまさか、あの咲耶ちゃん?」
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yuuiti53@hotmail.com
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