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二人のアンジェ
小さな彼女と大きな彼女
〜祐輝と咲耶〜

作 雄一さん


「あー・・・・終わった・・・」


授業が終わり、祐輝はホット一息つく。
彼がこの学校に転校してから一ヶ月、気のいい友人や先生のおかげでスッカリ学校になじみ、ごく普通な高校生活を過ごしている。
しかし、彼は日常生活においてはちょっと変わった日常を送っている。

「ヒナちゃん・・」


彼には恋人がいる、その子は将来を約束した仲であり、すでに婚約もしている。
誰もが羨ましがる境遇、だが彼はそんな境遇をクラスメートには話さなかった。


(相手が小学生の少女と言えるわけがないだろ・・)


彼の恋人は小学生の少女なのである、名前は雛子。
祐輝いわく「この世に舞い降りたたった一人の天使」とのこと。
決して祐輝はロリコンではないが、周りが見れば立派なロリコンであるわけで。


(僕はロリコンじゃなくて、雛子ちゃんが好きなの!!)


本人は激しく否定をするが、そう思われてもしょうがない。
一途に自分のことを思ってくれて、その思いをストレートでぶつけて来る。
祐輝はそんな雛子の無邪気さに惹かれたのである。
一時は別れの予感もあったが春奈の計らいにより、一緒に住めることになったのだ。


(周りが変態だといおうと、僕は雛子ちゃんが好きなんだ・・・)


そして祐輝はこれから繰り広げられる甘い時間を想像し、顔をほころばせる。
妄想に浸っている祐輝の元へ、ツインテールの少女が近づいてくる。
そして・・・


「祐輝くん」
「のぉっ!!!!!!!!」


少女は両手を使い、彼の背中を思いっきりたたく。
突然のことに祐輝は大声を上げて、クラスメートの視線を集めてしまう。


「さ・・・咲耶ちゃん・・・」
「なぁにニヤニヤしてるのかな?」
「べ・・・別に・・・」


咲耶と呼ばれた少女はニヤニヤしながら祐輝の机の前にすわる。
彼女は転校初日に祐輝の面倒を見た少女である。
最初のうちは祐輝に対し冷たい態度をとっていたが、会話の回数を重ねるうちに意気投合。
親友のような関係になっていた。
クラスメイトは「奇跡だっ!!!」と一時期大騒ぎしていたことも。
彼女が他の男子生徒と明るく会話することはまずありえないのだと彼らは口々に叫ぶ。
そんな騒ぎの中でも咲耶と祐輝の中は親密になっていった。

「で・・・何か用ですか?」
「別に用ってわけじゃないけどね、なんかニヤニヤしてたから・・・」
「そうですか・・・まったく・・心臓に悪い・・・」
「そんなに君を夢中にさせる何か知りたいわねぇ、私はお兄様に夢中だけど」

咲耶がする話といえば、いつも彼女の「兄」の話である。
口を開けば、いつも「お兄様」のことばかりであった。
聞けば、血のつながりはなく、恋人となっているとのこと。
このことは祐輝以下、彼女と親しい親友にしか語ってないという。
事情を知らない男子たちは「ブラコンの咲耶さんと転校生の祐輝が急接近」と思い込んでいる。


「知らなくていいですよ、さて・・そろそろ帰らないと」


祐輝は鞄に荷物を詰め込み、立ち上がったその時。


「おにいたまぁ〜」
「んなっ!!!」
「あら?」

聞きなれた声、そして見慣れた愛らしい姿が教室の出入り口にあった。

「雛子!!」

この学校の付属小学校の制服に身を包んだ少女、彼女こそ祐輝の恋人の雛子ちゃんである。
祐輝の奇妙な声に、他のクラスメートの視線がまた祐輝に集中する。
クラスメートの視線を気にしながら祐輝は雛子の下へ駆け寄った。

「雛子ちゃんどうしてここに・・」
「あのね、ヒナおにいたまのことをまっていたの、でもね・・ヒナまっていてとてもさみしくなっちゃったから・・ヒナがおにいたまをむかえにきたの」

彼の胸にずきーん!!とくる一言であった。
思わず抱きしめたくなる衝動に駆られるが、はっと我を取り戻す。

「そ・・・そうなんだ、ゴメンね・・待たせちゃって、学校終わりだから一緒に帰ろう」
「うんっ!!!」
「妹さん?」

突然後ろから咲耶が覗き込んでくる、祐輝は冷静を装い彼女の疑問に答えようとしたが・・

「あのね、ヒナはおにいたまのおくさんなんだよ」
「え?」
「わぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

祐輝よりも先に雛子がストレートに答えてしまう、あわてて祐輝は雛子の口を押さえる。

「おくさん?」
「違う違うっ!!親戚が仕事が忙しくて面倒を見れないって言うからうちで預かってるんだ!!」

あわててあらかじめ作っていた言い訳の一つを咲耶に話す。
そして雛子の耳に向かって・・・

(だめじゃないかヒナちゃん、内緒だって言っただろ)
(えへへ・・失敗失敗)

雛子も小さな声でささやく。

「何ぶつぶつ言ってるの?」
「わぁぁぁっ!!!」

再び奇妙な声、そして再び集中する視線、祐輝は雛子を抱きかかえると・・・
「それじゃあまたっ!!!」
といってダッシュで駆け出した。

 

 

 

そして物語はもう一人の主人公へ

 


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yuuiti53@hotmail.com
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