Story of Days
尽くしてあげたい
〜SISTERPRINCESSサイドストーリ〜
作者 フェルさん
にもかかわらず俺は一人高校教室棟内にいた。院生である俺が高等部内を徘徊している理由は・・・教員の代行である。何でも先日、高等部の一年生を受け持つ数学の教員が事故に遭い、全治二ヶ月の怪我を負って緊急入院をしたため授業が滞り、OBで大学卒業時に教員免許を取得し・・なおかつ暇をもてあましているこの俺に白羽の矢が立ったのだった。
俺のほうもまあ一月ぐらいならと了解し、早速今日から代行に赴くことになった。・・・
「・・・う〜〜〜ん・・何かいまいちしっくりこないなぁ・・・」
自分でも納得済みの上で承知したはずなのだがなんかいまいちしっくりこない
「どう考えても変だよなぁ・・・・・」
心の中でしっくりしない気持ちがだんだん疑問に変わってゆく
「うん。やっぱり変だ!・・・・大体なんで俺なんだ!?」
そしてついには依頼者の意図を疑うようになっていた。・・・そこへ・・・
「藤峰君、廊下の真中で何をそんなに大声上げているんだね?」
ふと振り返るとそこには初老の恰幅のいい男性が立っていてこちらを怪訝そうに見ていた
「あ、校長。実は今日の数学の代行のことなんですけど・・・・」
俺がそう切り出すと校長と呼ばれた男性はチラッと顔をゆがめた
「な・な・何か、も・問題でも・・あるのかね?」
声が少し引きつっている・・・・おそらく何か後ろめたいことでもあるんだろう・・・
そう悟ったが俺は構わず話を続けた。
「なんで俺・・いや私なんですか?」
「と・というと?」
さっきよりも声質が引きつっている・・・どうやら触れられたくないことに触れてしまったようだ。
「高等部{ここ}には入院された高沢先生の他にも数学専門の先生が何人もいらっしゃるじゃないですか。普通代行だったらその方たちがするはずですよね・・・なのになんで院生の私が代行なんですか?」
「そ・それはだねぇ・・・君を社会のあり方、職場のあり方に慣れさせようとして皆で話し合った結果なんだよ・・・・君の進路は確か教職だったはずだし・・」
「ほんとにですかぁ?」
「も・もちろんだとも・・」
俺がジト目でにらみながら質問すると校長は上手いことを行ってすり抜けていく・・・
だが、相当なプレッシャーがかかっているのかさっきから脂汗が額を何回もつたっていって校長の態度からすると、本当はみなこれ以上仕事が増えるのがいやでいつも暇人の俺になすりつけたくて直訴でもしたんだろう。
まあ俺としても1度はYESと言ったわけだし下手に断ると何が起こるかわかんないのでそのまま半年間代行を引き受けることにした。
担当の教室に入ると生徒達が初対面の違和感なしで俺を出迎えてくれた。
前もって担任の先生が事情を説明していたらしく、授業クラスに言っても緊張することなくスムーズに授業を進めることができた。といっても、その場にはクラスの半分の生徒(つまり男子のみ)しかおらず、残り半分の女子は体育の授業が長引いてるらしくいなかった。
その間俺は男子諸君に簡単な自己紹介をし,いつのまにか話がはずんでいた。
{15分後}
廊下の向こう側が騒がしくなり女子がぞくぞくと教室内に入ってきた。
入ってきた順に席へつくよう促し出席を採っているとそこへ・・・・・・・
見慣れた顔とポニーテールが目の前にあった。
「!!!?」
そう、目の前にいたのは藤峰家3女、春歌だった。
春歌自身も大変驚いてるらしく目を丸くして俺のほうを見ていた。
「あ、あ兄君さまでいらっしゃいますわよね・・・・そ、そのお姿は・・・?」
「ん? 俺が背広着てちゃおかしいかい?」
「いえ、そうではなくてなぜ兄君さまがワタクシのお教室へ?」
「なぜって・・俺はここで授業をしに来たんだよ。」
「それでは代行の先生って兄君さまのことだったのですね・」
「まあ、1学期の間だけどよろしくな。」
「はい☆(・・・ああっ!兄君さまと授業で会えるなんて幸せ。・・・)」
春歌は顔を少し赤らめ身をくねらせていた。・・・一体何を考えとるんだか・・・
俺は脂汗を浮かべながら授業を進めようと教科書を開いたとたんに生徒達の質問攻めに遭い、授業どころではなくなった。
質問の中身はそれぞれ多種多様なのだが、みな俺と春歌の関係に関することは共通していた。
彼らのいうことをまとめてみると春歌はこのクラスでかなりのブラコンとして通っていて俺のことが会話にたびたび出てくるらしい。
・ ・・ん?・・・以前どっかで似たようなことがあったなぁ・・・・・
「は・・はっくし!・・また誰かが私のうわさをしているわね。まぁ私の事を一番気にかけてくれてるのはお兄様だから犯人はきっとお兄様ね☆」
・ ・・・・気のせいか・・・・・
ようやく生徒達からの質問攻めから開放され職員室に戻ろうと教室の戸に手をかけた時、
「兄君さま!ワタクシと一緒にお昼を食べませんか?」
春歌につかまってしまった。 目をきらきらと輝かせないかを訴えるようなまなざしに太刀打ちできず彼女の申し出を受け中庭へと繰り出していった。
「はい、兄君さま☆ あーーーーーーーーーん。」
「あーーーーーーーーん。」
「ワタクシの手料理おいしいですか?」
「うん。おいしいよ。春歌はいい奥さんになれるね。」
「そんな・・・もうっ!兄君さまったら☆☆・・・{バシッ!!}」
いててて・・・誤解のないよう説明を重ねておくがこの物語において藤峰家(つまり俺達)の食事は
春歌と白雪が毎日交代で作ってくれていてたまたま今日は春歌の当番日だったのだ。
・・・俺達はしばし周囲を忘れて2人だけの世界に浸っていた。・・・とそこに・・
・・・ ザッ・・ザザッ・ザザザッ・・・
黒い2つの影が背後に現れた。
「2人ともこ・こ・で何しているのかしら?」
「これは・・・どういうことだい・・・兄くん。」
影の正体は咲耶と千影だった。
・・・両人ともすごく怒ってるみたいでこめかみに青筋がはっきりと見えている。・・・まずいなこりゃ。・・・
「やあ。・・・2人とも・・・そんなに怒った顔ばかりしているとせっかくの美人が台無しだよ。」
内心びくつきながら俺は何とかして2人の怒りを静めようとしたが・・・すでに手遅れだ
「春歌っ!!お兄様に食事を食べさせるのは私の日課なんだからさっさとそこをどきなさい!!!」
「嫌ですわ!!咲耶姉君さまの言い付けでもこればっかりはお譲りで来かねます!!」
「ほう。・・・すると春歌君、君は呪われたいようだね・・・フフフ。」
「コラーーーーー千影!!公共物とわら人形に釘を打つんじゃない!!」
「すべてはお兄様を愛するが故の行為なのよ☆」
「俺に全責任をなすりつけるなーーーーーーーー!!!」
よくよく考えてみるとここは高等部の中庭・・・ということは高2の千影や高3の咲耶にも会ってしまう(見つかってしまう)のだ。・・もっと別のところにすりゃよかったなと後悔しながら俺はそそくさとその場を退散していった。
昼間のことを思い出し自宅のリビングでため息をついていると
「おにいたま・・・どうかしたの?」
「兄や・・・なんだかげんきがないです・・・くすん。」
隣に座っていたヒナと亜里亜が心配そうな顔をして俺の顔を覗いてきた。・・・どうやら昼間のことは他の妹達に伝わっていないみたいだ。・・・これ以上騒ぎを大きくしてはいけないな・・・
「いや、何でもないよ・・・・。」
ヒナ達を安心させるため俺は2人の頭を優しくなでた。
・・・けれど正直な話しこれからこんなことが毎日続くかと思うときが気ではない・・高等部(1年)では数学が必修になっていて授業が毎日あるのだ。・・つまり、毎日{春歌VS千影&咲耶連合軍}の戦闘に巻き込まれることになる。俺は決してどちらかが嫌いというわけではない・・・が、もう少し仲良くしてくれればと願っていた。
「ねぇ、ありあおねえたま。おにいたまどこをみつめてるのかなあ?」
「ヒナちゃん、兄やなんだか楽しそうね。亞里亜も壁さんを見ようかな・・」
「兄君さま。少しよろしいですか?」
「!?・・なんだ春歌か・・・・いきなりどうしたんだ?」
リビングに入るなり春歌は突然、こっちの世界に引っ張り出された俺の向かいに座りテーブルの上になにやら本みたいなものを広げた。
「あの・・兄君さま。本日の授業でわからない所がありますのでお教えいただけませんか?」
「そんなことか・・・どれ、どこだい?」
{約30分経過}
「どうだ。わかったかな。」
「はい。ありがとうございました。・・・・ワタクシ数学の公式を見ただけで吐き気がいたしますので兄君さまにこうして教えてもらうとよくわかりますわ。」
「そういえば春歌は古典なんかが得意だったよなぁ。」
「ええ、日本の古きよき文化を現代に伝えてる科目なので非常に興味がありますわ。」
「ふふ、春歌らしいな。ところでずっと気になってたんだが春歌ってこの家に来てからずっと着物で通してるよな・・・制服以外の洋服って着たこと無いのか?」
「はい。昔、おばあ様にいろいろなお稽古習いました時に大和撫子の美しさ慎ましやかさにあこがれまして自分もああなりたいと・・それからですわ。それに{入るにはまず形から}って言いますでしょ。」
「そうだな。・・・でも俺としてはぜひ一度、春歌の洋服姿ってのも見てみたいもんだなぁ」
「もうっ! いやですわ兄君さまったら☆」
「ははは・・それはそうと昼間の事だけど咲耶や千影にもきちんと言っておいた方がいいな・・」
「はい。でもワタクシ、姉君さま方には屈しませんわよ!」
「ま・まぁほどほどにな・・・・{汗}」
「大丈夫ですわ。・・・と、いけませんわ・もうこんな時間・・・準備の方がありますので
兄君さま、これにて失礼いたします。」
「準備?」
「い・いえ、こちらのことですわ。では。」
なにやら不思議な笑みを残したまま春歌は自分の部屋へと戻っていった。一方、俺はすっかり存在を忘れられてすねていたヒナと亞里亜をなだめるのに苦労していた。
そして、また階段のところで
「う〜〜ん。春歌ったらやっぱり何かたくらんでるわね・・・でも思い通りにはさせないわよ{炎}」
俺の知らないところで一大決戦の幕が切って落とされた。
「ふぅーーーーーっ。一日の疲れを癒すのときたらやっぱ風呂だよなーーーー」
春歌の勉強を見た後、しばらくして俺は湯船に使っていた。
今日の騒動など忘れてのんびりしていると・・・・体を洗っていないことに気づいた。
「ヤバイ、ヤバイ。体を洗うのを忘れちゃったな・・・えーーーとタオルタオルっと。」
いすに超し掛け傍らにおいて合ったタオルに手を伸ばす・・・・・と
「はい。兄君さま。手ぬぐいならこちらです。」
「?・・・!?・・・!!?・・・!!!??」
背後から聞こえた声にびっくりし後ろを振り返るとそこにいたのは・・・・・
完全武装(銭湯バージョン)をした春歌だった。
「お・お・お・おお前・・こ・こ・こ・ここんなところで一体何してるんだ!!?」
「あら、お気に召しませんか?」
「召すも召さないもない!一体その格好は???」
「ああ、これですか。ワタクシはただ先ほどの御礼と昼間できなかったおもてなしの続きをして差し上げようとこうして準備までしてまいりましたのですが・・・。」
・ ・・・準備ってこのことだったのか・・・・
「さあ、兄君さま。お背中お流して指しあげますわ。」
「い・いや、それはもう終わってるから・・・。」
「いいえ!そうは参りません。殿方のお風呂のお世話をしてこそ真の大和撫子!ここはなんとしても兄君さまのお背中を流して差し上げますわっ!!」
・ ・・・なんか「大和撫子」の意味を勘違いしてないだろうか・・・・
「とにかく、前をお向きくださいませ!」
春歌のあまりの迫力に気おされ俺は抵抗するのをあきらめた。
「フフフ・・・兄君さまのお背中って大きいのですね。」
「ハハハ・・・・・そうかな・・・・・」
平静を装ってはいるが心の中では「どうか他の妹達に見つかりませんように」という焦りと「・・・・気持ちいい・・・・」という本音が交錯していた。
「兄君さま。次は前を洗って差し上げますわ。」
この言葉で本音が焦りを吹き飛ばした・・・が、なんとかこらえて
「・・・遠慮しときます。」
「前をおむき下さい!!!」
・ ・・・・ヤバイ。本当にヤバイととっさに悟った。春歌は妹達の中でも俺好みだし
(他の連中に聞かれたらまずいな・・)
やさしく家庭的だ。俺は倫理道徳の垣根を越え新世界の扉を開こうとした。
扉のカウントダウンが急速で始まる。
カウント10(フッ、後悔なぞするものか!)
カウント5(きっとそこには素晴らしい世界があるはずだ!!)
4・3・2・1・0!!!
カウント0に達し、俺は春歌の体に巻きついてる邪魔者に手が触れかけた時、
{バァーーーーーーーーーーーン!!!}
扉の開く音が風呂場じゅうに響いた。しかし、開かれたのは新世界の扉ではなく風呂のドアだった。
「春歌っ!!!そこまでよっ!!」
声の主は誰あろう咲耶その人だった。
「咲耶?・・・・お・おまえ何て格好をしてるんだ??」
危うく人の道に外れそうになったが咲耶の声で我に返ることができた。
そして救いの女神のほうに顔を向けた瞬間・・・・・・・・・・・・卒倒。
咲耶も春歌と似たような格好をしていた。けどこっちのほうが露出が激しい。
おそらく慌てていたか策略の1つかは彼女の態度を見れば一目瞭然だが、実は両方という答えも予想され、このことに行いては深くにまで触れなかった。
「さ・さ・さ咲耶さん?ど・どうしてここへ?」
「昼間っから春歌の行動が少しおかしかったんで様子を見てみたらこんなことに・・・・
まっったく油断もすきもないわね!」
「お褒めいただき光栄ですわ姉君さま。」
「誉めてんじゃないわよっ!!いいことっ!お兄様と一緒にお風呂に入るのは私の日課なんだから。・・・それで、あーーーーんなことやこーーーーんなことも☆・・・キャーーーーー恥ずかしい一――――☆☆☆」
(日課って・・・確か俺に物を食べさせることのはずじゃあ・・・)
そう言いいそうになったが、今の咲耶に下手なツッコミを入れると後でどんな目に遭うかわからないので喉のところで言葉をストップした。
・・・やっぱり姉妹だな。考えてること一緒だし・・・・俺は少しあきれたように2人を見ていたが、やがて今が好機とばかりにそろりと風呂場を抜け出した・・・その矢先・・
「あっ!お兄様!」 「兄君さま。お待ちください!」
・・・気づかれたか・・・
「ふ・二人とも風呂は仲良くゆっくりとはいるもんだよ。」
「それもそうね。」 「そうですわね。」
「じゃあ2人でお兄様を洗ってあげるわ。」
「それはいい考えですわね。」
えっ?・・・ちょっと待て・・・・
2人は自分達のつけていたバスタオルをはがし、勢いよく俺に飛びついてきた。
「うわあっぁあぁあああぁああーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!ストップストップストーーーーーーーーップ!!!!」
「だめよ、お兄様!春歌には背中をあらわせたんでしょ?なら私だってやってもいいはずだわ!!」
「ワタクシだってまだ前を洗っておりませんもの。兄君さまっ、お覚悟!!」
とても絵にできる光景じゃない・・・・俺の体にやわらかい物体が4つくっついている。・・・・文章でよかった。俺は命からがら二人を振りきり風呂場から脱出することに成功した。
「・・・・・これも毎日続くのだろうか・・・・・」
風呂の前でさっきよりも大きなため息をついた。
そして、風呂の中では・・・・
「くッ、・・・・明日こそは大和撫子の勤めを全うさせていただきますわ!」
「もうっ!お兄様ったら相変わらず照れ屋やなんだから・・・・でもあのようだともう少しで落とせそうね☆」
そんな2人の決意を耳にしたとたん俺はその場に崩れ落ちた。・・・・
フェルさんへの感想はこちら
hairbannimoeru@muc.biglobe.ne.jp
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