リボンつきの翼
第二十四話「今宵我等、街を奪う」
作者 ファルクラムさん
1
旧独立都市国家サンサルバジオンには、大きく分けて二つの顔がある。一つは、行政機能が集中した新市街。こちらは大型のビルが立ち並び、ハイウェイが整備され、近代的な装いを誇っていた。
もう一方は住宅地などが密集する旧市街。こちらは路面に石畳が敷かれ、一歩踏み込めば中世世界に逆戻りした感覚に陥る。
上杉四葉は旧市街の裏道を、全速力で駆け抜けていた。
時間は午前二時、明かりも無く、ただでさえ暗い道を上杉四葉は迷う事無く疾走する。
その四葉の背後から、複数の足音が迫ってくる事が分かる。彼女を追う憲兵隊の足音だ。
『しつこいデスねえ。』
走りながら四葉は、心の中で呟く。
ISAFの大陸西部侵攻作戦に合わせて、各レジスタンス組織にも破壊活動強化の指示が届いてきた。その一環として、四葉たちには空爆時に必要なレーザー誘導装置の取り付けるよう指示が来ていた。
しかし、大陸反抗に端を発するISAFの快進撃に業を煮やしていたエルジア軍上層部は、決戦時に足元を掬われないように、レジスタンス狩りに力を入れていた。その一つに四葉は引っ掛かってしまったのだ。
四葉は全速で走りながら街頭を曲がると、とっさに建物の間に入り、壁の隙間に身を隠した。
彼女を追う足音は同じように街頭を曲がったが、四葉の存在には気付かずに走り去る音が聞こえた。
それを聞いて四葉は、ゆっくりと息をついた。
「何とか撒けたようデスね。」
そう呟くと四葉はゆっくりと顔を出す。辺りを見回すが、これ以上憲兵が現れる気配は無い。
ホッと溜め息をつくと、足音を殺しながら隠れ場所から歩み出た。
その時、
「何をしている?」
「チェキ!?」
突然背後から低い声で呼び掛けられ、四葉はその場で1メートルほど飛び上がった。そして、恐る恐る振り返る。
闇の中に、辛うじて人と分かる影が立っている。
四葉は瞬間的にあとずさるが、それ以上は動かない。憲兵達を見事にまいた俊足も、まるで金縛りにあったかのように動かない。
やがて影はゆっくりと前に進み出る。それにつれて、その人物のシルエットがまるであぶり出しのように現れてくる。
「む、村岡さん!!」
そこに現れたのは、黄色の13こと、村岡虎太郎だった。
虎太郎はゆっくりと進み出ると、四葉の手前1メートルほどで足を止めた。
「ここで、何をしている?」
もう一度同じ質問を繰り返す虎太郎。
「っ……」
答えられない四葉。しかしこの場合。無言の返答は雄弁に真実を語っていた。
「そう言う……事か……」
自分でも可笑しくなるくらい妙に冷めた口調で、虎太郎は呟いた。
誰が内通者なのか?誰が操を殺すきっかけを作ったのか?その答えが、今、目の前にいる。
不思議と、
「なぜ?」
とは思わなかった。あるいは虎太郎自身、うすうすは勘付いていたのかもしれない。それはいつからだったか?四葉が爆発で負傷した時か?あるいは普段基地に出入りしている時からか?はたまた、出会った時から予感くらいはしていたのかもしれない。
と、一瞬の隙を突いて四葉は腰のポーチに手を差し込み、中にある物を抜き放った。
「四葉達の町から出て行くデス!!」
叫ぶと同時に四葉は、ハンドガンを虎太郎に向けた。
「…………」
それに対し虎太郎は、四葉を見据えたまま動こうとしない。
銃を構えた四葉の腕は、銃を支える重みと四葉自身の緊張から小刻みに震えている。
四葉は緊張に引き攣った目で、虎太郎の顔を見る。その顔には表情と言う物を窺い知る事はできない。唯一、猛獣を思わせる双眸には、苦悩の色が見て取れた。
やがて、
「安全装置を解除しないと、銃は撃てないぞ。」
「チェキ!?」
虎太郎の指摘に、四葉は慌ててハンドガンに目をやる。確かに指摘された通り、安全装置はオンになっていた。
そんな四葉に、虎太郎は続けた。
「そんなに……俺達が憎いか?」
「…………」
虎太郎は絞り出すような声で、四葉に尋ねる。
それに対し四葉は肯定も否定もせずに、ただ黙って銃を下ろした。その問いに対する答を、四葉は持ち合わせていなかった。
四葉や鞠絵がレジスタンスにいる理由は、下宿先のバー「スカイキッズ」のマスターがレジスタンスのリーダーの一人だった為である。
2人に選択肢は無かった。レジスタンスと言えど戦う為の非合法組織である事に変わりはない。もし仮に、初めの時点で二人がレジスタンス入りを拒めば、中田は四葉と鞠絵を機密保持を理由に抹殺せざるを得なかっただろう。
その時、通りの方から複数の足音が聞こえてきた。先程の憲兵達が戻ってきたのである。
四葉の額からは、止めど無く汗が噴き出る。逃げようにも、今目の前には虎太郎がいる。完全に進退極まってしまった。
その時、
「…………行け。」
ふとすれば、大気にかき消されてしまいそうなほど低い声が四葉の耳を打った。
「え?」
四葉は目を見開いて、声の主を見る。
「早く行け。連中が来る。」
虎太郎は、今度ははっきりした声で言った。
その声に、四葉は自分の目が潤むのが分かった。自分がいかに、取り返しの付かない行為をしてしまったのが分かったからだ。
しかしここで立ち止まる事は許されない。立ち止まれば、虎太郎の想いが全て無になってしまう。
四葉は必死に涙をぬぐうと、踵を返して走り出した。
その四葉の背中を、虎太郎は黙って見続けていた。
やがて四葉の体が闇に消えると、虎太郎は黙って頭上を照らす月を眺め入る。この日の月は満月のはずなのに、妙に霞んで見えた。
ISAFがサンサルバジオンに総攻撃を掛けたのは、それから五日後の事だった。
2
まるで冥界を連想させる暗闇の空間を切り裂いて、無数の光が一つ、また一つと浮かび上がってくる。その光はまさに、抑圧され続けた人々の魂の輝きだった。
ISAFの侵攻に合わせて、潜伏していたレジスタンス組織が一斉に灯火管制を解除したのだ。
夜の光が絶えて久しい町から、そこに住む人々の希望と共に無数の閃光が支配と言う闇を引き裂いて行く。
その光に向けて、郊外から一斉に火矢が放たれた。
ISAFによる、サンサルバジオン奪回作戦の始まりだった。
ユージア暦2007年10月25日、ISAF地上軍40万とエルジア陸軍25万は、旧独立都市国家サンサルバジオン郊外において激突した。
アルトーラ国から進撃した北部方面軍と、コフィンブルク共和国から北上してきた南部方面軍は、同年10月22日、メリトン地方サンドバリー砂漠南端において集結、エルジア軍前線司令部のあるサンサルバジオンに総攻撃を敢行した。エルジア帝国地上軍がサンサルバジオン郊外に構築した前線を突破したISAFは、全兵力を持ってサンサルバジオンに雪崩れ込んだ。
それに対し、エルジア軍の対応も万全だった。彼等も、サンサルバジオンが落ちれば、本国が攻撃に晒される訳であるから必死である。
守備兵力を市内各所に配置し篭城戦の構えを見せ、黄色中隊を始めとする同地に駐留する空軍の全兵力がその上空を護っている。
双方とも総力戦の構えで、戦いに臨んだ。
「アドラーより各機へ、所定に従い攻撃を開始せよ。グッドラック!」
攻撃隊を指揮する河村高士中佐の命令を受けて、ISAF空軍攻撃隊はそれぞれの目標に向けて散開する。
その中には上杉葵、上杉衛の両名の姿もあった。
二人の今回の担当は、行政区のある新市街である。エルジア軍はここにヘリ部隊を主力とした兵力を配置し、砂漠を越えて雪崩れ込んでくるISAF地上軍をてぐすねひねいて待ち構えていた。
既に地上軍の先鋒は市街地に入っている。急ぐ必要があった。
「アドラーより各機へ、市街手前で散開と同時に攻撃を開始する。なお、夜間に付き視界は極端に悪い。高度計の数値と誤爆には細心の注意を払え。」
「「「「「了解!!!!」」」」」
高士の命令に、配下のパイロット達が答える。
その直後、葵が操縦するX−02のコックピット内にロックオン警報が鳴り響いた。地対空ミサイルに捕捉されたのだ。
高士は素早く命じた。
「ブレイク、アンド、アタックオン。グッドラック!」
命令を受けると同時に葵は、スロットルを上げて増速する。
そんな葵のX−02に対して、地対空ミサイルが狂暴な牙を剥いて襲い掛かってくる。
「フッ」
ミサイルはX−02に対して正面から向かってくる。
しかし葵は軽く鼻を鳴らすと、ミサイルを充分に引き付けた上で翼を翻した。
まるで闘牛士が華麗に猛牛を避けるが如く、飛んできたミサイルは虚しく漆黒の闇に消えていった。
「こっちの番だ。」
回避を確認した葵は、ヘルメットの下で軽く唇を湿らせると、目標の選定を始めた。
すでに市街各所に配置された対空車両からは、ISAF機に向けて盛んに光弾が放たれている。
葵はその内の、ハイウェイに陣取っている部隊に目を付けた。
「行くぞ。」
葵は低く呟くと、機首を下げて目標に向かう。
X−02の胴体下には2発の2000ポンド爆弾が吊るされている。葵はFCSを操作して、その内1発を投下できる状態にしてあった。
ヘッドアップでディスプレイの中央に浮かんだ爆弾ピパーを覗きながら、葵はX−02を軟降下させる。それに答えるようにX−02も閉じていた翼を開き、空気抵抗でバランスを取る。
その葵のX−02に気付いたエルジア地上軍が、一斉に対空砲火を打ち上げてくる。しかし葵は微妙に機体の進路を調整しながら、やすやすと打ち上げられる花火を避けていく。
「食らえ。」
コックピット脇をかすめていく砲弾に目もくれず、葵は低高度まで舞い下りて爆弾を投下した。
慣性の付いた爆弾は暫く水平に飛んだ後、目標としたハイウェイ上の対空車両を吹き飛ばした。
その爆発は凄まじく、一撃で対空車両を吹き飛ばすだけに留まらず、ハイウェイの片射線に大穴が開けた。もはやこのハイウェイは復仇するまで使い物にならないだろう。
葵は自分の戦果を確認すると、次の目標に機首を向けた。
一方、数件の高層ビルが立ち並ぶ官庁街から進入を果たした部隊もあった。
彼等は対空砲火を避ける為に低空から進入すると、味方地上軍と砲火を交えているエルジア軍に、怪鳥の如く頭上から襲い掛かった。
約4年に渡る支配で、地の利は完全にエルジア側にある。
エルジア軍は少数兵力でも防御が可能なように、市内各所にバリケードを設けてISAFに対抗していた。
しかしそんな入念な防御も、頭上からの襲撃には耐えられない。
数機のF/A−18ENスーパーホーネットが、爆弾を抱いて低空まで舞い下りると、次々とエルジア軍防御陣を叩き潰していく。
その内の一隊が、大通に差し掛かった時だった。
「全機、他の部隊に遅れるな。少しでも多くの敵を倒し、味方の進軍を援護するのだ!!」
中隊長の命令に、隊員達は一斉に答える。
やがて、彼等に向けて地上から砲撃が加えられる。
その攻撃によって、何機かのスーパーホーネットが爆炎と共に闇の中へと消えて行く。
しかし中隊長は吹き上げる対空砲火を意に介さず、部隊の先頭を突き進む。
「ひるむな!!味方の地上軍はもっと激しい攻撃に晒されているのだぞ!!」
そう言って部下を、そして自分自身を叱咤する。
やがて、爆弾ピパーは目標の戦車を捉えた。
「今だ!!」
次の瞬間、中隊長のスーパーホーネットは爆炎を上げて吹き飛んだ。
「バックラー中隊全滅!!」
この報告は、いち早く衛の下に寄せられ。
夜間でしかもエルジア軍の激しい抵抗もあり、衛は一時的に葵とはぐれてしまっていた。
しかし衛も既に幾つもの死線を潜り抜けて来たストームナイトである。たとえ葵がいなくとも、今自分が何をすべきかと言う事を充分に理解していた。
「メビウス2よりスカイアイ、あねぇ!!」
事態の急変を受けて、衛はすぐに後方で指揮を取っている姉、上杉咲耶大尉を呼び出す。
ややあって、咲耶から返事があった。
「どうしたの、衛?」
「バックラー中隊は何にやられたの?」
衛の質問に、咲耶はややあって答えた。
「分からない。急に反応が消えたの。」
咲耶にも、何がバックラー中隊を壊滅させたのか分からなかった。
それを聞いて衛は、素早く決断を下した。
「分かった。じゃあボクが行ってみるから、あねぇは誘導をお願い!!」
「分かったわ。」
咲耶に誘導されて、衛はバックラー中隊が全滅した地点に来る。
眼下では味方の地上軍がエルジア軍相手に激しい砲火をかわしている。その周辺のビルからは所々から火の手が上がり、戦闘の激しさを物語っている。
「その辺りよ衛。充分に気をつけてね。」
「うん、分かってる。」
咲耶の言葉に頷きながら、衛はX−02を旋回させる。
その時だった。
衛の眼下を低空飛行していた2機のF−2バイパーゼロが、まるで見えない壁にぶつかったように弾け飛ぶ。
「え!?」
バイパーゼロはコントロールを失うと、炎を纏いながら手近なビルに突っ込んで新たな火種と化す。さらにその隣を飛んでいた機体も火球と化して墜落する。
「一体何が……」
驚愕を顔に貼り付ける衛。しかし、驚いている場合ではなかった。
突然、コックピット内がロックオン警報に満たされる。正体不明の敵は、次の目標に衛を選んできたのだ。
「っ!?」
衛はとっさにスティックを引くと、X−02を急上昇させる。それを追って、1発のアーチャーが上昇してくる。
衛のX−02の熱源を捉えたミサイルは、獲物を見つけた蛇さながらに急追してくる。
「くっ、このっ!!」
衛はとっさにフレアを放出する。
空中に撒き散らされた熱源によってシーカーを誤魔化されたミサイルは、そのまま爆発、四散した。
それを確認した衛は、スティックを戻して水平飛行に移行する。
そんな衛に対し、息も尽かさず第2撃が襲う。
飛んでくるミサイルは2発。
「っ、間に合え!!」
衛は機首を急激に下に下げると、アフターバーナーを全開まで吹かす。それと同時に、もう一度フレアを放出した。
ミサイルはまっしぐらに、衛のX−02に向かってくる。それに対し衛はとっさにスティックを横倒しにすると、機体をロールさせた。
急激にロールした事により、衛のX−02はミサイルの軌道からはずれ。回避に成功する。
「クッ!!」
衛はすぐにスティックを引き、地上激突を回避する。
低空で水平飛行に移行した衛は、そのままビルの合間を縫いながら飛行する。
「……危なかった。」
衛はホッと息をつく。その時、衛の頭上で突然白煙が踊った。
「え!?」
とっさに上に目をやる衛。その視線の先には、3機の戦闘ヘリが滞空していた。ミサイルは、そのヘリから放たれたのだ。
「……そう言う事だったんだ。」
これで全て合点が行った。味方の航空機を落としていたのは、このヘリだったのだ。
エルジア軍はあらかじめ戦闘ヘリをビルの合間に伏せておき、物陰に隠れながらスナイパーのように奇襲を繰り返していたのだ。
「でも、これ以上はやらせない!」
衛は一声吼えると、スティックを引いて急上昇をかける。
衛のX−02に気付いた戦闘ヘリ隊は一斉に散開を測るが、その時には既に衛の牙は戦闘ヘリを射程内に捉えていた。
「メビウス2、フォックス2!!」
コールすると同時に衛は、エアインテーク後部のウェッポンラックを開き、内部に収納されたサイドワインダーを放った。
放たれた白銀の矢は、下から突き上げるようにして撃ち出され、1機のヘリを粉砕する。
衛はそのままヘリ編隊の中央を抜けると、スティックを引いて上空で反転し、もう一度戦闘ヘリに襲い掛かる。
一方のヘリ編隊は、これまでは闇とビルの相間に隠れて奇襲を繰り返していた訳だが、衛の出現によって彼等を無敵たらしめていた要素が一瞬で吹き飛んでしまった。そうなると、衛と言う狼の前では彼等はあまりに無力な子羊でしかない。
再び衛の手によって1機のヘリが落とされるに至ると、残りのヘリは我先にと離脱を始める。
彼等の有利な要素である「死角からの攻撃」と言う体勢をもう一度確保する事が狙いのようだ。
しかし、それを黙って許すほど衛達は甘くなかった。
既に状況を把握した何人かのパイロット達が、この空域に殺到してきていたのだ。
彼等は退避に掛かる戦闘ヘリを背後からロックオンすると、一斉にサイドワインダーを放つ。
ビルの隙間と言う狭い空間に殺到したサイドワインダーは、一部狙いが逸れて回りのビルに激突したが、大半は目標に命中し憎き暗殺者達を炎の渦に巻き込んだ。
スナイパーの役目は相手から見えない場所に占位し奇襲を繰り返す事によって、敵の戦意を削ぐ事にある。しかし所詮、スナイパーは支援部隊でしかない。一度に叩きつかれられる大火力に抗う術はなかった。
官庁街の戦いは、葵達の的確な援護により徐々にISAF優位に傾きつつあった。
3
一方、旧市街に向かった部隊は、エルジア軍の激しい迎撃に遭っていた。
こちらの部隊の指揮は、飛行副隊長である鎌田信悟中佐が指揮を執っていた。
「大した数だ。」
信悟は愛機であるF−2Nバイパーゼロのコックピットの中でうめいた。
今回信悟が率いて来た航空機は全部で142機。対して信悟達の前に立ちはだかったエルジア空軍機も、ほぼ同数といって良い。
「シオンより各機へ、」
信悟はマイクのスイッチを入れて、指示を飛ばす。
「第1から第6までの中隊は俺に続いて敵機の邀撃、残りは攻撃続行だ!!」
「「「「「了解!!!!」」」」」
信悟の命令を受けて、攻撃隊は一斉に散開する。
それを確認した信悟は、バックミラーで後方から付いてくる機体に目をやる。
「シオンよりナイトメア1、ナデシコ1。エルジア軍の攻撃をなんとしても押さえるぞ。」
「……了解。」
「了解ですわ!!」
2人のストームナイト、千影と春歌の存在は今の信悟にとってこれ以上無い助っ人だった。
「行くぞ!!」
信悟は翼を翻してやや高度を上げると、FCSを中距離ミサイルモードにする。
『ドッグファイトに入る前に、可能な限り敵を落とす必要がある。』
そう心の中で呟く信悟の額に、冷たい汗が滲む。
その瞬間、FCSが接近するスホーイ35を捉える。
その瞬間、信悟は大きく目を見開く。
「シオン、フォックス3!!」
コールすると同時に翼端のパイロンに吊るしたアムラームを放つ。
さらにそれに続いて、制空隊も一斉にアムラームを放つ。
信悟はさらに続いて、2発目のアムラームを放つ。撃ちっ放しの可能なアムラームならではの芸当である。
彼方の闇より迫るエルジア空軍の大編隊に一斉に爆炎の花が咲き乱れ、確実に何機かのエルジア機が落ちて行く。
しかしそれが限界だった。
一気に距離を詰めたエルジア空軍は、ISAF空軍に襲い掛かった。
「くっ!?」
突っ込んできたF−15アクティブを、翼を翻してかわす信悟のバイパーゼロ。
見ると千影と春歌のラプターも、翼を翻してドッグファイトに入っている。
「舐めるなよ!!」
信悟は機首を捻り込ませるように旋回すると、自分を狙ったF−15アクティブを下から突き上げるように接近して照準をつける。
「喰らえ!!」
信悟がトリガーを引くと、閃光と化した弾丸がF−15アクティブの垂直尾翼とエンジンノズルをまとめて吹き飛ばし、撃墜する。
しかし、息をつく暇はない。その信悟の背後から、今度はスホーイ35が迫る。
「っ!?」
信悟が気付いた瞬間、スホーイ35は翼下のアーチャーを放つ。
「くっ!?」
信悟はとっさにフレアを放出し、同時に機体をロールさせてスティックを引き、機首を大きく下げ下方に逃れる。
アーチャーは信悟のバイパーゼロを追尾して下方に向かう。しかしその前に立ちはだかった炎の壁の前に自爆を余儀なくされる。
その様子を見たスホーイ35のパイロットは、距離を詰めてバルカンで仕留めようとする。
「フンッ!」
バックミラーを見る信悟の視界に、急速に膨らむスホーイ35の機影が映る。そんな敵機を見て、信悟は鼻を鳴らすと同時に機首を持ち上げてハイGバレルロールに入る。昼間に使っても敵を撹乱できる技である。夜間に使われた日には、魔法にでも掛かったかのように相手の視界から姿を暗ます事ができる。
文字通り消え去った信悟のバイパーゼロを探して、スホーイ35のパイロットはコックピット内で外を見まわしている事だろう。それを見透かしたように、信悟は暗闇を突いて上方から襲い掛かった。
バイパーゼロの大出力に加え、重力による自由落下を上乗せした高速急降下である。仮に知覚し得たとしても、回避は不可能であっただろう。
信悟はそのままバルカンを一閃させ、スホーイ35のボディーを叩き折って撃墜した。
「次だ!」
信悟は火球に転じた敵機を確認すると、次の目標を捜し求めるようにバイパーゼロを旋回させた。
「村岡、始まったようだ。」
村岡虎太郎中佐に率いられた黄色中隊は、サンサルバジオン国際空港を離陸すると国道7号線に沿って低空を這うように飛行していた。
「…………ああ。」
副隊長である斉藤賢少佐の声に、虎太郎は低い声で頷く。
黄色中隊はデルタ編隊を組んで、南下している。ただ、いつもと違うのは、これまでのように5機だけで飛んでいるのではなく、15機全てを投入している事だった。
その黄色中隊の中にあって、かつて故立花操中佐がいた黄色の4のポジションは、現在空席となっている。
操は開戦以来、常に虎太郎の後方にあってその活躍を援護してきた。それが失われた今、虎太郎は背中に薄ら寒いものを感じずにはいられなかった。
その空白となったポジションを眺めながら、虎太郎はマイクのスイッチを入れて斎藤を呼んだ。
「……斎藤。」
「んあ?」
虎太郎の声に、斎藤はやる気の低い声で応じる。
「例の……リボン付きの目撃情報は入ったか?」
「ん〜……」
斎藤は暫く通信状況を聞き入る。
「まだないねえ。ま、この状況じゃ仕方ねえだろ。」
戦場は暗闇の上に双方の機体が入り乱れる乱戦と化している。これでは、相手を確認する事は不可能に近い。
「そうだな。」
虎太郎は頷いてから命じた。
「斎藤、お前は第2小隊と第3小隊を連れて旧市街へ行ってくれ。俺は第1、第4小隊と新市街へ行く。」
「了解。んじゃあ、グッドラック。」
そう言うと、斎藤は翼を翻した。それに続いて、第2、第3小隊の計7機が続く。
虎太郎は、8機のスーパーフランカーが吹き出す排気炎を黙って見詰めている。
『死ぬなよ。』
バイザー越しの瞳は、仲間達にそう語り掛けていた。
それを見届けた虎太郎は、改めて視線を前方に向けた。
「行くぞ。俺達の目標は新市街だ。続け。」
そう言うと虎太郎は、愛機のアフターバーナーを吹かした。
今、狼と虎の翼は再び交差しようとしていた。
一方、地上と空中で戦端が開かれている頃、市街地の住宅街でも動きが生じていた。
この時を一日千秋の思いで待ち望んでいたレジスタンス組織が、一斉に蜂起していたのだ。
エルジア陸軍は大半の兵力をISAFとの前線に貼り付けており、市街地までは手が回らない状況だった。まさしく千載一遇の好機、この時を置いてエルジア軍をサンサルバジオンから追い出すチャンスはないだろう。
出撃の伝令を受けて、バー「スカイキッズ」ではレジスタンスリーダーである中田が出撃準備を整えていた。
夜間用迷彩服を着込み、手には突撃銃を持っている。
全ての準備を終えた中田は、不安そうな顔で自分を見ている2人の少女、上杉鞠絵と四葉に目を向けて言った。
「俺達はこれから町を出て前線に加わる。お前達2人は夜が明けるまで決してこの家を出るな。」
そう言ってから中田は、手の中の突撃銃に目を落とす。
「多分、勝つにしろ負けるにしろ、今夜中に体勢は決するだろう。もし勝ったなら、お前らの愛しい兄貴が迎えに来るだろう。仮に負けたとしても、お前らが罪に問われる事はない。」
中田の言葉から鞠絵は、彼が自分達の名前をレジスタンス名簿から削除してあるのだと言う事を察した。
「中田さん……」
思わず声を漏らす鞠絵。そんな鞠絵を見て中田は笑みを浮かべる。
その笑顔はかつて、戦争が始まる以前にカウンターに立った彼が常に絶やす事の無かった笑顔だった。
「お前達には、本当に済まなかったと思っている。こんな戦いに巻き込んでしまって。俺がこんな立場じゃなかったら、お前達に辛い思いをさせずに済んだのにな。」
「そんな事言わないで下サイ中田サン!!」
四葉が声を上げる。
「もし中田サンがいてくれなかったら、四葉も姉チャマもきっと今頃死んでいたかもしれません。だから……」
「良いんだよ、四葉。」
中田は四葉に振り返った。
「お前達の手を血で汚してしまったのは俺だ。だから俺には、その償いをする義務がある。」
中田がそこまで言った時、スカイキッズの扉が開いてレジスタンス兵の1人が駆け込んで来た。
「中田さん、準備完了だ。いつでも出れる。」
その言葉に中田は無言で頷くと、もう一度鞠絵と四葉の顔を見た。
「じゃあな。兄貴が来たら、思いっきり甘えさせてもらえ。」
そう言うと中田は踵を返し、外の闇に向かって駆け出す。その背中は、一瞬後には闇の中に溶け込み、後には彼方で起こっている銃撃戦の音のみが木霊していた。
それが、鞠絵と四葉が中田を見た最後だった。
黄色中隊の参戦によりエルジア空軍は俄然勢いを増し、旧市街上空の戦線でISAF押し戻していた。もともとサンサルバジオンに集結したエルジア空軍は、ISAFが投入可能な兵力と大差無い。それがこうもエルジア側優位に進んでいる理由の一つにISAF側パイロットの抱える疲労があった。
地上軍の前進に伴い、エルジア軍が放棄した大陸中部に点在するいくつかの基地を整備し、そこから飛び立ったISAF空軍だったが、やはり夜間の難易度の高い飛行は疲労が溜まり、それが空戦にも差し支えているようだ。一方でエルジア空軍は根拠地から飛び立ってすぐに空戦に入れる訳だから、疲労の度合いも少なくて済む。言ってみれば、ノースポイント戦線時代の両軍の立場がそっくり入れ替わったような物だった。
参戦僅か6分で制空隊の護りを突破した黄色い翼の機影は、低空飛行をしつつ市街地のエルジア軍陣地を爆撃している攻撃隊を、まるで雑草を刈るかのように蹴散らして行く。
「くっ。」
翼を叩き折られてスパイラルダウンに掛かった味方のスーパーホーネットを見て、千影は軽く唇を噛んだ。
「これ以上は……やらせない。」
千影は低く呟くとラプターの翼を翻して、たった今スーパーホーネットを叩き落とした黄色中隊のスーパーフランカーに向かう。今なら離脱中の背後を突ける。
そのスーパーフランカーは背後から近付く千影のラプターに気付いてはいない。今なら倒せる。千影は次の目標を選定しているであろうスーパーフランカーを鋭く睨み付けつつ、トリガーに指を掛ける。
千影はレティクルの照準を、ラプターのエンジンノズルに合わせる。
「……もらった。」
千影が低い声で呟く。同時に指に力が篭る。
しかし次の瞬間、千影は強烈な殺気を感じ、本能に従ってスティックを引いて急上昇を掛ける。
その千影のラプターがいた空間を、1機のスーパーフランカーが駆け抜けた。その機首には黄色い文字で「002」とある。斎藤の機体だ。
「君の相手は、俺がやってやるよ。」
そう言うと斎藤は皮肉っぽく笑い、無造作とも言える手付きでスティックを倒し機体を水平に起こす。
千影も斎藤のスーパーフランカーを追って水平飛行に入る。
両軍を通じてトップクラスの性能を誇る2機の戦闘機が、夜空を切り裂いて飛翔する。
千影は機体をロールさせると、スティックを引いてスプリットSの要領で機体を降下させると同時に機首を180度振り向かせ、低高度を飛んでいた斎藤のスーパーフランカーの背後に付ける。
しかし斎藤のスーパーフランカーは、千影の追撃など気にもせずに悠然と飛行している。
そんな斎藤を、千影はロックオンする。
「これで!」
千影は主翼脇に備え付けられたウェッポンラックを開くと、中に備えられたサイドワインダーを放った。
次の瞬間、斎藤のスーパーフランカーに劇的な変化が訪れた。
サイドワインダーの命中直前に翼を翻してよけたかと思うと、機首を捻らせてあっという間に千影のラプターに向き直った。やや変則的な動きながら、クルビットを応用したようだ。
「なっ!?」
僅か1秒。千影は完全に虚を衝かれ斎藤を見失う。
その隙に斎藤は千影の下方に回り込んで突き上げるように接近する。
斎藤の視界には、ラプターの平べったい機影が迫る。一見しただけでステルス戦闘機と分かるその機体は、エルジア軍にとってもまだなじみが薄く、未知数の力を秘めているように思われた。
しかし視界の中で、ラプターは動こうとしない。これなら行ける。そう心の中で呟くと同時に斎藤はトリガーを引いた。
その瞬間、千影も下方から迫る影の存在に気付き、とっさにスティックを右に倒す。
斎藤が放った30ミリバルカンが千影のラプターに迫る。しかし、その銃弾は千影を捉える事はなかった。その前に千影の機体はロールし、投影面積を最小にする事で回避したのだ。
そのまま上方に駆け抜ける斎藤。千影は一旦下方に向かって旋回しスピードを稼ぐと、もう一度スティックを引いて今度は上昇を始める。
追う千影に逃げる斎藤、再び攻守を入れ替えて飛翔する2羽の猛禽。
斎藤は逆転を狙い、スティックを引いて水平飛行に転じる。
「……逃がさない。」
千影も、それに倣って水平飛行に移る。そのFCSは既に斎藤のスーパーフランカーを捕らえていた。そして千影の手元には後1発だけサイドワインダーが残っている。
「もらった。」
千影はそう呟いて、発射ボタンに指を掛ける。
しかし次の瞬間、斎藤のスーパーフランカーは機首を大きく持ち上げたかと思うと、クルビットの要領で機体を振り向かせて千影と相対した。
「なっ!?」
驚く千影、その一瞬を斎藤は逃さず、30ミリバルカンを発射した。
戦士が振るう大剣にも似た30ミリバルカンは、サイドワインダーを発射しようとしていた千影のラプターの右主翼を削り取った。
「っ!?」
たちまち、不規則な振動を起こすラプター。そのラプターを千影は必死の思いで押さえつける。
バランスを失ったラプターは、徐々に高度を落として行く。
これにはさすがの千影も焦りの色を隠せない。何とか高度を保とうと、必死にスティックを操る。
その甲斐あってか、猛禽の名を持つ戦闘機は本来の絶妙なバランスとは程遠いものの、何とか水平飛行に移る事に成功した。不快な振動はなおも続いているが、墜落するほどではない。
千影は、慌てて辺りを見まわした。
右、左、前、後ろ、上、下。しかし斎藤のスーパーフランカーは影も形も無かった。恐らく千影を撃墜したと誤認して離脱したか、この乱戦で見失ったかのどちらかだろう。いずれにしても、千影が取りあえずの危機を脱した事だけは間違いないようだ。
「……ふう。」
千影は軽く溜め息を吐くと、いまだに振動を続ける愛機の機首を巡らした。どちらにしてもこれ以上は戦えない。味方の確保した基地まで後退するのだ。
「……でも……この次は必ず……」
そう呟く千影の瞳は、斎藤が飛び去った暗闇を見詰めていた。
千影の戦線離脱により、旧市街上空での戦いがより一層不利な物に変わりつつある頃、新市街制圧に向かった部隊も、黄色中隊の迎撃に遭っていた。
総飛行隊長である高士に率いられたこちらの部隊も、総数は旧市街に向かった部隊とほぼ同数の144機。対して迎撃に現われたエルジア空軍は約120機。数の上ではやや有利と言えた。しかし先述した疲労の件に加えて、こちらのエルジア軍には最強の「黄色の13」がいる。侮る事はできなかった。
葵は自らが駆るX−02を低空まで誘導すると、激突ギリギリの所で水平飛行に入った。その背後から、2機のF−15アクティブが追尾してくるのが見える。
その2機は水平飛行に入ると、スピードを上げて葵のX−02に迫ってくる。
と、葵はバルカンの射程に捉えられる直前、葵は機首をやや引き上げる。その瞬間、異形のW字翼が空気抵抗を受け止めて急減速を掛けた。
その葵の行動に射撃のタイミングを逸したF−15アクティブは、そのままオーバーシュートする。
葵は素早く機首を元に戻すと、すぐに追撃する。
「食らえ。」
葵はウェッポンラックを開くと、サイドワインダーを発射する。
ミサイル接近に気付いたエルジアパイロットはフレアを放出して退避に掛かるが、その前にサイドワインダーはF−15アクティブの後部ノズルを吹き飛ばして撃墜する。
「次。」
葵は低い声で呟きながらスロットルを上げる。ウェッポンラックにはもう1発サイドワインダーが入っている。これで仕留めるつもりだ。
F−15アクティブは何とかスピードを稼いで、退避に掛かっている。しかし、加速力はX−02の方が速い上に個々は低空である為、重力を利用した機動は行えない。
「……」
葵は無言のまま、F−15アクティブを追尾する。FCSは既に敵機の影を捉えていた。後は録音しサイドワインダーを放つだけで、目の前の敵は火球へと転じるだろう。
しかし次の瞬間、葵のコックピットにロックオン警報が響き、ヘッドアップディスプレイが危険を示す赤に点滅する。
「っ!?」
葵はとっさにアフターバーナーを吹かす。それを追うように、上空から弾丸の雨が降り注いだ。
葵は水平飛行に入ると、すぐにバックミラーに目をやる。そこには急降下してきた敵機が水平飛行に移行する光景が映っていた。、流線形の優美なフォルムを持った機体である。
「スホーイ35……37……どっちだ!?」
まったく同じシルエットの両機を見分ける事は不可能に近い。ただひと事言える事は、今追尾してくる機体のパイロットが、かなりの腕だという事だ。この暗闇の中での乱戦で、危機に陥った味方を救援に赴き、なおかつ低空であるにもかかわらず、実に滑らかな動きで葵を追尾してくる。
「強敵……」
葵は低い声で呟くと、機体を傾けて急旋回に入った。
その男を、「強敵」などという生ぬるい言葉で表現するには、辞書の改変が必要であろう。
「黄色の13」村岡虎太郎中佐は、たった今味方のF−15アクティブを撃墜したISAF機に対して、追撃を敢行していた。
敵がよほどの手練であろうという事は、一連の行動を見ていて理解していた。
まず、敵を低空に誘い込み機動力を殺してからじっくりと餌食にする。夜間でこれ程の動きができるという事は、低空での戦闘に余程慣れていると言う事だろう。
「それに……」
虎太郎は口に出して呟いてから、思考を続ける。
『あの、見た事も無い、大振りな翼。あれが噂に聞くISAFの新型機か。』
虎太郎は、軽く眉を釣り上げた。奴の実力は、ノーム幽谷での戦闘結果を聞いて既に知っている。相手にとって不足はなかった。
奇妙な戦いだった。「リボン付き」と「黄色の13」ISAFとエルジアが誇る2大エースが戦場で顔を合わせながら、互いに認知することなく牙を剥きだしている。しかし、それは2人にとってこの際どうでも良い事だった。相手を倒さねば自分が生き残れない。それだけで相手を殺す理由としては充分だった。
虎太郎はスロットルを上げて、機体を加速させ始める。
一方、葵の方でも後方の敵が接近してくる事に気付いていた。
「来るか!?」
葵は機首を大きく持ち上げると、バレルロールを行い、相手のオーバーシュートを誘う。
昼間ならば、ジェットコースターのように天地が逆転する光景が拝める所だが、あいにく今は暗闇の只中にいる為、スリルある光景を見る事はできない。
しかし、オーバーシュートするかと思われた後方の敵機は、ひるむ事無く自らもばれるロールに入り、葵に追随してくる。
「くっ!?」
葵は軽く舌打ちする。
一方で虎太郎も、バレルロールを行う敵機を追いつつ、短距離ミサイルをロックオンしに掛かる。相手も虎太郎の行動に気付いたのだろう、高Gの急旋回に入って、振り切りに掛かっている。
「逃がさん!!」
虎太郎は旋回を終えた直後の敵機に、構わずアーチャーを放った。
その攻撃に、葵も気付いていた。しかし、自機と敵機との距離が短すぎる為、フレアを放ったとしても間に合わない可能性がある。
「チッ!!」
葵は舌打ちすると、スティックを思いっきり前倒しにして機首を下げた。
X−02の排気炎を追って、アーチャーも降下してくる。
葵は、一瞬も瞬きせずに高度計に目をやる。自分がこれからやろうとしている事は、余りにも無謀な行為だ。その為に、高度計から目を離せなかった。
やがて高度計が200を差した時、葵は思いっきりスティックを引いた。
そのまま地上激突しかねない勢いで降下していたX−02は異なった力を加えられた為、急激に機首を上げ、地面すれすれの所を高速で駆け抜けて上昇に転じた。
対して葵を追って来たアーチャーは、自らの造物主ほどの機敏さを持ちあわせる事ができず、そのまま地上に激突して炎を虚しく吹き上げるに留まった。
「なっ!?」
これにはさすがの虎太郎も、度肝を抜かれた。まさか暗闇であのような低高度まで舞い下りて、ミサイルの自爆を誘うとは思っても見なかった。
そんな虎太郎に対し、ループによって機体を振り向かせた葵が正面から迫る。
「今度はこっちの番だ!」
言うが早いか、葵はバルカンのトリガーを引いた。
虎太郎の眼前から、高速で曵光弾が迫る。
「クッ!!」
それに対し虎太郎は、スロットルを上げて加速する事によって葵の射線から逃れる。
回避された事を悟った葵は、機体を水平に戻し、右に旋回しつつ虎太郎のスーパーフランカーの背後に回り込む。
「逃がすか。」
低い声で呟くと、葵はスーパーフランカーに照準を付けた。
一方で虎太郎のコックピット内に、ロックオン警報が鳴り響く。
「くっ、噂通りの機動性だ……」
あっという間に逆転されてしまった状況に、虎太郎は舌を巻く。
報告では聞いていたものの、実際に戦うのは今日が始めてである。その戦闘能力は聞きしに勝る物があった。
葵は冷静に照準を付ける。
「食らえ。」
葵は必中の気合と共にトリガーを引く。
「チッ!?」
その瞬間、虎太郎は捻り込ませるようにして機首を下に向けると、葵の射線から逃れる。
その行動は功を奏し、葵は虎太郎のスーパーフランカーを闇の中に見失った。
「…………チッ。」
葵は軽く舌打ちした。辺りを見まわすが、闇夜の上に他の機体の排気炎と混ざって、どれが本物か分からなくなってしまった。
「…………」
葵はもう一度レーダーに目を走らせるが、やはり反応はない。その状態で10秒間辺りを警戒したが、やはりそれ以上接近してくる敵を捉えることはできなかった。どうやらお互い、完全に相手を見失ってしまったらしい。
「…………間の抜けた話だな。」
葵は溜息混じりにつぶやくと、そのままシートに座り直しX−02の翼を翻した。まだ衛や高士を初め他の味方はは交戦中である。早く援護に向かう必要があった。
こうして、通算で2度目となる葵と虎太郎の対決は、始まったときと同様、唐突に終わりを告げた。
一方でその頃、エルジア軍の戦線後方で、今回の戦いを決定付ける戦いが行われていた。
4
戦場上空の戦いは、徐々にではあるがISAFがエルジア空軍を押し始めていた。
当初こそ、長距離飛行による疲労や黄色中隊の参戦などで苦戦を強いられたISAF空軍だったが、ここに来て技量の差が見え始めていた。
長引く戦争とここ1年ほどの敗勢は、エルジア軍に極度の消耗を強いていた。特に、大戦初期より前線を支え、常に激戦の渦中に置かれて来た空軍の消耗は目を覆いたくなる物だった。消耗した人材は特にベテランが多く、既に開戦以来の歴戦の勇士は、黄色中隊を始めとした一部のみとなっていた。その為、現状のエルジア空軍は、機体は最新型でも、乗っている人間はヒヨッコといった有り様だった。
そしてさらに、ISAFの後続である第2次攻撃隊がサンサルバジオンに殺到して来た事で2倍の戦力を得たISAFは、一気にエルジア空軍を撃破しにかかった。
到着した第2次攻撃隊は市街地には目もくれず、後方にあるサンサルバジオン国際空港を目指した。ここが在サンサルバジオン空軍の拠点となっている事は既にレジスタンスの報告で分かっていた。
つまり、ここを叩けばエルジア空軍の足並みを大きく乱す事ができる。
総飛行隊長である高士はそう読み切り、第2次攻撃隊の目標を飛行場に選定したのだった。
その作戦は図に当たった。
もともと、補給の心配を軽減する為に市街地上空での迎撃戦を企図したエルジア空軍だったが、その肝心要の補給線が断ち切られてしまったのだ。
その報告を受けたエルジア空軍の各パイロット達の間に動揺が走り、やがてそれは決定的な戦線崩壊へと繋がって行った。
衛は向かって来たスホーイ35の攻撃を翼を翻してかわし、急速に反転して背後から迫ると主翼に20ミリ砲弾を叩き込んで撃墜した。
「ふう。」
落ちて行くスホーイ35を見ながら一息つく衛。
辺りは暗がりで、戦況はどちらが優勢かも分からない。が、入ってくる情報を分析する限り第2次攻撃隊が到着と同時に空港を叩き、破壊に成功したということは理解できた。
ふと、眼下に目をやった。
先程衛達が攻撃したサンサルバジオンの新市街地は、今も激しい爆炎に晒されている。時折垣間見る事のできる閃光は、そんな中でいまだに激しく戦っている人達がいるという事だろう。
衛は黙って、視線を手元にやった。
残弾は100発を切っていた。さらに初期のヘリ部隊との遭遇戦で搭載していたサイドワインダー2発も使い切っていた。
「……咲耶あねぇ。聞こえる。」
周りに敵がいないことを確認した衛は、マイクのスイッチを入れて咲耶を呼び出した。
ややあって、咲耶からの返事があった。
「どうしたの、衛?」
「うん。ここら辺の敵はみんな退却しちゃってさ。他にはいないかと思ってさ。」
「う〜ん。ちょっ待ってね。」
そう言ってから咲耶は、レーダーディスプレイに目を向ける。そこには無数の光点が浮かんでいるがその大半がISAFの三角形を三つ積み上げたシンボルマークのみとなっている。
『これで……』
咲耶は心の中でふっと呟く。
『これで、鞠絵と四葉を助け出すことができるわね。』
彼女たちとは、もう何年会っていないことだろう?きっとその容姿は、想像の中のそれよりもずっと大人っぽくなっているだろう。そう考えると、今から会うのが楽しみになってくる。
「あねぇ?」
そんな咲耶に、衛は催促するように声をかける。
その声に、咲耶は我に返った。
「あ、ごめんごめん。ええっとね。あんたの周りにもう敵はいないみたいよ。やっぱり飛行場を落とされたから。撤退に移っているみたいね。」
「……そう。」
衛は、感慨深げに呟いた。
「もうすぐだね。」
「ええ。」
衛のつぶやきに、咲耶も頷く。二人とも、想いは同じである。
「もう一息で、鞠絵と四葉に会えるわ。」
「うん。」
「さあ、もうひとがんばりよ。」
咲耶そう言ったときだった。
突然、ディスプレイの西の端に、新たな光点が浮かんだ。その光点は、超音速でまっすぐにサンサルバジオンを目指している。しかもその大きさから言って、かなりの大型機のようだ。
咲耶は一瞬で相手の正体が分かった。ISAF空軍に該当する大型機はない。となると相手はエルジア空軍機。
「スカイアイより各機へ!!」
咲耶は声が枯れんばかりに叫ぶ。その声には、聞いていた衛がビックリしたほどだった。
「東方より敵大型機接近!!恐らくTU−160ブラックジャックと思われる!!」
咲耶の声に、聞いていた全員が凍り付いた。
かつてロスカナス空襲の際、戦闘終盤に現れてISAFに性能差をまざまざと見せつけた機体である。高々度を超音速で飛行できるこの機体を撃墜することは、ほぼ不可能に近かった。しかも、今回も戦闘終盤になってからの登場である。ここから導き出されるエルジア軍の意図はただ一つ。焦土作戦である。もはや敗北が必至となったこの状況であるが、大陸交通の要衝であるこのサンサルバジオンを、ISAFに奪われるくらいなら、いっそ灰にしてしまおうという作戦だった。
「くそっ!ファシスト供め!汚い真似を!!」
「どうするんだ!?このままじゃ街が!!」
口々に絶望的な声を漏らすISAFパイロット達。
そんな中でただ1人、翼を翻した者がいた。衛である。
「咲耶あねぇ。敵の位置まで誘導して!」
「衛!!」
咲耶は驚きの声を上げる。それに構わず、衛は続けた。
「X−02の推力なら、ひょっとしたらブラックジャックに追いつけるかもしれない!!」
「…………分かったわ。」
咲耶は頷いた。今は賭けるしかない。この妹が高々度の彼方にいる破壊神を倒してくれることに。
衛は戦場の空を全速力で駆け抜ける。その背にある翼を大きくはためかせて。彼女の足下には姉が、そして妹がいる。ここで退くわけにはいかなかった。
主の想いに答えるかのように、X−02はその最高峰と言っても過言ない加速で、遙か神の座す場所を目指す。
やがて分厚い雲を抜けたとき、満点の星空が衛の視界を満たした。
その幻想的な光景に衛は、一瞬感嘆の声を上げる。しかし次の瞬間、その星空を遮るように飛ぶ、黒い大きな影に気づいた。間違いない。エルジア空軍の主力重爆撃機Tu−160ブラックジャックだ。
「いた!!」
叫ぶと同時に、衛はアフターバーナーを点火する。
しかし、
「あれ?」
いくらアフターバーナーのスイッチを入れても、点火しないのだ。ここは高々度であるから気密が低く、アフターバーナーは使えないのだ。
「それでも!!」
諦める訳のはいかない。衛は水平飛行に移ると、スロットルを前回まで開いて巨人機に向かう。
「もう少し……もう少し……」
衛は一瞬も瞬きせず、ヘッドアップディスプレイを見つめる。
その執念に答えるように、レティクルはブラックジャックを捉えた。
「これで!!」
衛がトリガーを引くと同時に、唸りをあげて20ミリバルカンが放たれる。
弾丸は狙い通り巨人機のボディーに吸い込まれた。しかし、
「そんな!!」
衛は我が目を疑った。直撃を受けたはずのブラックジャックは、何事もなかったかのように飛行しているのである。防御力があまりにも高い為、一撃では落ちなかったのだ。
「クッ!!」
衛は歯噛みすると、もう一度照準をつけ直す。今度は主翼の付け根部分を狙う。
今度こそと言う想いを込めて、少女の姿をした狼は20ミリバルカンという牙を振るう。
その牙は、今度こそ怪鳥の翼を捉えた。
翼を食いちぎられた怪鳥は、そのまま漆黒の闇へと落下していく。
「次!」
哀れな犠牲者には目もくれず、衛は次の目標に向かう。
衛はX−02を軽く旋回させて、たった今撃墜した機体と編隊を組んでいたブラックジャックに照準を合わせる。今度の狙いはコックピット周辺である。その辺りは他よりも防御力が低いはずである。
衛は間髪入れずにトリガーを引いた。
弾道は重力に引かれてややたわみながらも、コックピットのガラスを砕いて中にいたパイロットを射殺することに成功した。
パイロットを失ったブラックジャックは、錐もみ上になりながら高度を下げていく。
『次!!』
衛は心の中で呟く。その心は、今や完全に焦りの色で彩られていた。
『次……次……早くしないと鞠絵あねぇが……四葉ちゃんが……』
焦燥に駆られ、スティックを動かす衛。そんな状態でも、衛は3機目のブラックジャックに取り付くことに成功していた。
衛は、三度トリガーを引く。
三度目の砲撃がブラックジャックに向かう。しかし次の瞬間、光弾は何の前触れもなく暗闇の中でとぎれた。
「え?」
衛は何度もトリガーを引くが、今まで衛の牙として確実に敵を葬っていた20ミリバルカンは、何の反応も示さずに沈黙していた。とっさに衛は、FCSに目をやる。
『残弾0』
そこには素っ気ない文字でそう表示されていた。
「そっ、そんな……」
衛は泣きそうな声で呟く。すでにミサイルはなく、弾丸も尽きた今、もはや衛に敵と戦う術はなかった。
「…………」
衛の頭の中では、全速で思考が回り始める。自分には最早戦う力はない。しかしブラックジャックはまだ7、8機はいる。早くしないとその胴体に搭載された爆弾が眼下に向かって降り注ぎ、多くの命が奪われることになる。そして、その中には鞠絵と四葉もいる。
「…………」
衛の脳裏には、逃げまどいながらも火炎に飲み込まれて消えていく鞠絵と四葉の姿が映る。
許さない…………それだけは…………何があっても絶対に許さない。
そこまで考えてから、衛は瞳に浮かんだ涙を払って顔を上げた。その目はまるで海のように穏やかながら、全身からは炎のような力強い決意がにじみ出ていた。
「絶対に……絶対にこの街は破壊させない!」
そう言うと衛は、エンジンスロットルを上げにかかった。このまま体当たりを食らわせる気である。
他に高々度まで上がってきている機体はない。何としてもここで、ブラックジャックを1機でも多く落としておかねばならない。
『ごめんね、あにぃ……』
衛はそっと、心の中で呟いた。
その脳裏には、あの日、葵が衛に告白したときの情景が浮かんでいた。
『俺は、お前が好きだ。妹としてじゃなく、一人の女としてお前を愛している。』
そう言ったときの葵の顔は、まるで初恋を告白したときのように赤くなっていた。普段は悪魔と疑うほどの技量とクールな瞳で敵機を屠っていく兄が、こんな表情をしていた事に、妙な可笑しさがわき上がってきた。
そんな衛の視界の中で、ブラックジャックの巨体が急速に広がっていく。
『ごめんね、あにぃ。ボクも……あにぃの事が……』
衛はギュッと目を閉じた。これ以上葵の事を考えたら胸が苦しくなる。そう思ったからだ。
しかし、次の瞬間だった。
「衛!」
突然の呼びかけに、衛は閉じていた目を大きく見開いた。
「……あにぃ?」
その呟きに答えるかのように、天空に突き抜ける風の如く1機の戦闘機が眼下から駆け上がってきた。見間違いようもない、自分の愛機と同じ、X−02である。
「間に合ったか!」
X−02のコックピットで、葵は息を弾ませて言った。ここまで急いで来たのだろう。それだけ言うと、肩で息をする。
その葵のX−02に続くように、次々と枢機のISAF機が舞い上がって来た。それらの機体は、次々とブラックジャックに取り付くべく翼を翻していく。
「1機も逃がすな!全て叩き落とせ!!」
葵の命令を受けて、駆け上がってきたISAF機は攻撃を開始した。
そんな様子を眺めながら、葵は衛の機体の隣に翼を並べた。
「…………あにぃ。」
衛はぽつりと呟いた。その胸の中には言いようのない罪悪感があった。自分はあのとき、確かに死して敵を倒す事を選んだ。それを寸手の所で抱き留めてくれたのはこの兄だった。
もしあの時体当たりを敢行していたら、自分は葵の想いに答える事ができずに冥府へと旅立っていた事だろう。
「あにぃ……ボク……ボク……」
その目には、再び涙が溢れてくる。
そんな衛に、葵は視線を向けて口を開いた。
「何も言うな衛。」
「あにぃ……」
衛は涙に濡れた目で、葵のコックピットを見つめる。
「何も……言わなくて良い。」
そう言った葵の声には、春の日差しのような暖かさが込もっている。衛は離れているにもかかわらず、まるで葵に抱き締められているような感覚になった。
この戦いで、サンサルバジオンに駐留していたエルジア軍は侵攻してきたISAFの前に敗北。守備兵力25万の内、7万2000を失いエルジア本国に撤退していった。
その日、約4年に渡るエルジア軍支配から解放されたサンサルバジオン市内には、ISAFの凱歌が高らかに響き渡った
5
四葉はそわそわとした様子で、スカイキッズのウィンドウ越しに外を眺めていた。その視線の先では、大勢の市民が歓声を上げながら通りを行進していた。どの顔にも笑顔があり、口からはISAF軍歌が高らかに響き渡っていた。
それとは対照的に、鞠絵と四葉の顔は暗く沈んでいた。
中田の死は、今朝早く仲間のレジスタンスメンバーが伝えて来た。エルジア軍に包囲された時、中田は仲間を逃がすためにただ1人敵陣に突っ込んで行ったそうだ。
四葉はまた顔を上げた。店の前を人影が通ったからだ。しかしその人影も、店の中に注意を払わずに通り過ぎていった。
「四葉ちゃん……」
ミカエルの背を撫でながら、鞠絵がポツリと呟いた。その顔には、言いようのない寂しさが漂っている。
もし、兄が生きているなら、必ずこの扉を開いて、自分達に会いに来てくれるはずだ。しかし、もしこの扉が開かれなかったら…………。最愛の兄を失い、頼るべき中田をも失った自分達はこれからどうすれば良いのか?何を支えに生きていけば良いのだろうか?
「姉チャマ……」
姉の心情を察して、四葉もうなだれる。
その時だった。
入口の上に備えられた鈴が、チリリンと涼やかな音を立てた。
とっさに顔を上げる。四葉と鞠絵。
開かれたドアから、ゆっくりと軍用ブーツを履いた足が店内に挿入されてくる。
2人は、瞬間的に振り返る。しかしそんな2人よりも早く、鞠絵の足下に寝そべっていたミカエルが起きあがり、入ってきた人影に向かって駆け出した。
人影はゆっくりと腰を屈めると、駆け寄ってきたミカエルを迎え入れ、その頭を優しく撫でる。
そこで2人は、ようやく振り返った。
戸口には、ミカエルの他にもう一つ影がある。ISAFの軍服に身を包んだその人物を、2人は一瞬誰だか分からなかった。しかしそれは本当に、ただの一瞬。それこそ、瞬きを起こそうとする間にも及ばなかったかもしれない。
硬直する2人に向けて、その人物−上杉葵はゆっくりと微笑みかけた。
「ただいま……鞠絵……四葉。」
その瞬間、3人の間に張り巡らされていた「4年間」という氷は、音を立てて氷解した。
「兄上様!!」
「兄チャマ!!」
思わず駆け出す2人。
葵は、その2人に向かって大きく腕を広げた。
第二十四話「今宵我ら、街を奪う」 おわり
あとがき
どうもこんにちは。ファルクラムです。…………不調です。本当に不調です。この二十四話を仕上げるのに一ヶ月以上かかってしまいました。まさかここに来て、これほど重度な不調になるとは思っていませんでした。しかもパソコン変えた影響で、まだ新しいキーボードに馴れてませんし。しかし、ここまで来た以上は、責任を持って最後まで書き上げたいと思っております。それでは、次回もご期待ください。
ファルクラム
ファルクラムさんへの感想はこちら
nymausht@cna.ne.jp
▽BACK▽ ▽OTHER▽ ▽NEXT▽