リボンつきの翼
第十四話「赤き豹と、リボン付きの狼」
作者 ファルクラムさん
1
バンカーショット作戦の成功により、大陸上陸に成功したISAFは、その後、余勢に駆って旧コフィンブルク共和国シルバーブリッジ地方を席捲、これを制圧し、大陸に橋頭堡を確保した。
しかしその反面、犠牲も大きかった。上陸作戦時の海、空軍の連携の齟齬から、空軍は42機、海軍航空隊に至っては67機に上る損害を出してしまった。これは、その前に行われたコモナ諸島航空戦時の損害よりも遙に多く、空軍上層部の頭を悩ませるには充分な数字だった。いかにノースポイント以来技量が上がってきているとは言え、やはり歴戦のエルジア空軍相手では、損害は避けられない。しかも、これから大陸内部に進撃するにつれ、エルジア軍の激しい抵抗が予想される。そうなると、この数字は増える事はあっても減る事はないだろう。ようやく大陸上陸を果たしたISAFの前には、重く暗い、暗雲が立ち込めているようだった。
唐突だが、上杉衛ISAF空軍少尉の朝は、早い。
何しろ、絵に描いたような健康優良娘の彼女である。毎朝6時には目が覚める。その後、手早く黄色Tシャツとショートパンツに着替えを済ませる。顔を洗って、残っていた眠気をすっきり追い出すと、朝1番のジョギングへと出かけるのだ。このジョギングこそが、彼女の毎日の日課だった。それは、子供の頃から何ら変わる事はなく、空軍に入隊した後も毎日続けていた。基地内のコースを1周するだけだが、それでも結構な運動量になる。
当の本人に言わせると、
「これくらいやらないと、1日が始まらないんだ。」
とのことである。まことに、結構な事であり、かつ、健康の面から見ても、賞賛に当たる行為と言えた。戦闘機の操縦には、相当な体力を消耗する。パイロットたる者、常に体を鍛えておく必要があるのだ。
時折すれ違う、同じようにジョギングにいそしむ隊員と挨拶を交わしながら、衛はかなりのハイペースで走り続ける。
衛の首筋に、顔に、涼しい風が流れていく。上り始めた太陽と、海側から吹いてくる涼しげな風が、彼女の活力の源となっていた。
「やあっ!!」
裂帛した気合と共に、上杉春歌空軍中尉は長刀を水平に振るった。
そんな訳で、彼女の朝も早い。
彼女は、今は敵国と化したエルジア帝国の出身である。そこで、母方の祖母から、礼儀作法、武芸、学問を一通り叩き込まれていた。19歳の少女にしては、いささか過剰とも言える稽古量である。と、回りからよく言われるが、本人はいたって真面目に、かつ楽しみながら日々の稽古に励んでいる。
そんな春歌は、目を閉じ、神経を集中させる。
音も無く、静寂のみが空間の支配者となる。
と、1枚の葉が春歌の眼前を横切るように落ちてきた。
次の瞬間、
「フッ!」
短い気合と共に、春歌は長刀を振るった。
まるで空気さえも寸断したかと思える程の一閃が、振るわれる。
一瞬の間を置いて、葉は中央から真っ二つに切れた。
それを鋭い目で確認してから、春歌はスーッと息を吐き、長刀を収めた。
その時、傍らから拍手が起こった。春歌がその方向に目を向けると、彼女より4つ年下の妹が手を叩いているのが見えた。
「すごいね、春歌あねぇ!!」
「あら、衛さん。」
そう言って、春歌も笑顔を浮かべる。
「今日も、ジョギングですか?」
「うん。やっぱりボクはこれをやらないとね。」
衛はそう言うと、首に掛けたタオルで汗をぬぐう。
そんな衛に、春歌は足元においてあった籠から、スポーツドリンクを取り出し、示した。
「ご一緒に、どうですか?」
「いいの?やったあ!!」
2人はその場に腰掛けると、スポーツドリンクに口を付けた。運動後のこの一杯ほど、うまい物は存在しないだろう。2人は一缶のドリンクを一気に開けると、一息つく。
「こうして見るとさ、」
爽やかな表情で、衛が口を開く。
「基地の中も静かだよね。」
「そうですわね。」
普段は、戦闘やら出撃やらで戦場もかくやと思える程の喧燥に包まれている基地も、朝一番では、この通り、夢魔ナイトメアの妖力によって、基地のほとんどが眠りに包まれていた。
「よしっ!!」
衛は勢いをつけて、立ち上がる。
「それじゃあ、ボク、そろそろあにぃ達を起こしてくるよ!」
「ええ。お願いしますね。」
そう言って、衛が歩き出そうとした時だった。
風を斬る音が、徐々に近付いてくるのが聞こえてきた。
「あれ?」
衛は足を止めて、耳を澄ませる。
「何だろう、これ?」
春歌も気付いたらしく、立ち上がる。
「何でしょう?戦闘機のエンジン音のように聞こえるのですが……」
「ううん、間違いないよ。戦闘機の音だ。」
風を斬る音に混じって、戦闘機が発する低バイパス比のエンジン音が聞こえてくる。その数は1機や2機ではなく、数10機が編隊を組んで飛んでくるのが分かる。
「ノースポイントから、援軍でも来るのかな?」
「聞いてませんけど。」
春歌が、答えた時だった。突然、2人の頭上を、無数の戦闘機が駆け抜けた。
その凄まじい衝撃に、2人は思わず目をつぶって首を竦める。
「あれって……何!?」
ショックから立ち直った衛が、困惑した顔で尋ねる。
それに対して春歌も、状況が理解できずにいる。
「分かりませんわ、取りあえず、滑走路の方に行ってみましょう。」
「うっ、うん。」
2
2人が滑走路に来るとそこには既に、朝の静寂を強制的に破られて不機嫌な顔を浮かべた空軍のパイロット達が群がっていた。
「うわっと。ちょっとごめん!」
「申し訳ありません、通してください。」
衛と春歌は人だかりをかき分けながら、人込みの中心へと向かう。
そして2人が見た物は、先程見た戦闘機の群だった。
その戦闘機達は、F−16ファイティングファルコン、F−4EファントムU、F−5EタイガーUなど少し前までISAFで一線を担っていた機体があったかと思うと、ミラージュD、ミグ23フロッガー、スホーイ24フェンサーといった、一昔前までエルジアの主力機だった機体もある。
フロッガーは可変翼を持つ戦闘爆撃機で、全長16・8メートル、全幅8・17から14・25メートル、最高速度はマッハ2・4となっている。マックススピードこそ速いが、加速力等は現用機に遠く及ばない。
フェンサーは全長24・53メートル、全幅10・36メートルから17・63メートル最高速度マッハ1・35となっている。まさに、15年くらい前なら最新鋭機として通用したであろう機体である。
それらの機体の特徴は、まったくと言っても良いほど一貫性が無い。と言う事である。
機体の国籍やバリエーションもそうだが、機体カラーもまったくと言って良いほど同一の物は1つも無い。
「何なんでしょう?」
春歌は首をかしげる。
その時だった。
「彼等はメリア大陸から来た傭兵だ。今回、司令部の判断で今回からISAF側に立って戦う事になった。」
「「え?」」
それを聞いて、衛と春歌は振り向いた。
そこには、先程の轟音で起き出してきた鎌田信悟空軍少佐が、眠い目をこすりながら立っていた。
「傭兵って……」
衛の問いに、信悟はさらに眠い目を向ける。
「まっ、この間の上陸作戦で司令部の連中も、俺達を全面的に信用する訳には行かなくなった、て所かな?」
眠い目をしているが、信悟の目は明らかに不機嫌の色で満たされていた。当然であろう、自分達と言う存在を無視して傭兵の雇用を決めた司令部に対して、好感情を抱いているはずも無かった。
この世界にはユージアの他に、メリア、ヨーロピア、アウストラ、フォリアと言う4つの大陸がある。その中でメリア大陸は、北メリア共和国と、南メリア連合国の両国から成る連邦制を導入していた。近年、同大陸では戦争らしい戦争はなく、傭兵家業を行っている彼等としては、こうして紛争地域に「出稼ぎ」を行っていると言う訳である。
居並ぶ空軍パイロット達の前に、愛機から降りた傭兵達が集まり出した。
「オラ、何見てんだ!?」
「見せ物じゃねえぞ!!」
彼等を取り巻く空軍パイロット達に、口々に罵声を浴びせる。
その剣幕は凄まじく、歴戦のパイロット達をして、ひるませるほどの迫力がある。
その時だった。
「やめろ。」
低い、それでいて、喧騒の中でも良く通る声が、傭兵達を制した。
空軍パイロットと傭兵達、双方が一斉に声のした方に目を向けた。
そこには、1人の男が立っている。
その人物を見た者はまず、髪に目を奪われる事だろう。肩まで伸ばし、まるでそれぞれが自己主張するかのように所々刎ねている髪は、燃え上がる炎のように赤い。
対照的にその両眼は、水を流したように青い。黒いシャツの上から羽織っているコートの背中には、上下逆さにした十字架が描かれている。
「来た早々、揉め事を起こす事もないだろう。」
それを聞いて、傭兵達は口をつぐむ。それを確認してから男は、しばらく空軍パイロット達を見回してから、少佐の階級章を付けた信悟に向き直った。
「あんたが、この中じゃ最上級のようだな。」
「…………ああ。」
信悟は、ややあって返答する。それを見て男は薄く笑い、型の崩れた敬礼を向ける。
「北メリア共和国所属傭兵部隊隊長、レイ・ラブロック・村雲中尉だ。」
「ISAF空軍飛行副隊長、鎌田信悟少佐だ。」
そう言うと、信悟も敬礼した。
それを聞いて、レイはニヤリと笑う。
「ほう、副隊長自ら出迎えてくれるとは、光栄の極みだな。」
言葉は感謝しているようだが、口調からはその意を感じる事はできない。
しかし信悟は気にした様子はない。それどころか、信悟の口からも辛辣な皮肉が飛び出る。
「別に出迎えるつもりはなかったんだが、あまりに騒々しいから、様子を見に来ただけだ。」
「ほう、そいつは済まなかったな。」
信悟の皮肉を聞いても、レイは動じない。
その事が、2人の間により険悪なムードを漂わせ始めた。
その時だった。
「それくらいにしておくんだな。」
静寂を破るように現れた河村高士空軍少佐が、2人の間に割って入った。
「これから共に戦うものどうしが、いがみ合う事も無いだろう?」
「…………」
「…………」
それを聞いて、2人は互いに笑みを見せた。
「それもそうだな。」
「ま、よろしくな。」
そう言って互いの手を握る2人。しかし、両者の目は決して笑ってはいなかった。
「さて、じゃあ、司令部に着任の報告に行くとするか。」
そう言うとレイは、信悟達に背を向けて歩き出した。
その背中を、衛と春歌は呆然と眺める。
「何か、凄い方ですわね。」
「なんだか、ただでは済みそうにない気がするよ。」
そう言うと2人は、大きく溜め息をついた。
3
「ほう、そんな事がな…………」
上杉葵空軍大尉は、自室で寝覚めの紅茶を啜りながら言った。
起きたての葵は野戦服のズボンに白いYシャツの前をはだけた、ラフな格好をしている。その目はいつもの精悍な、狼の双眸のようなそれではなく、いかにも寝起きと言った感じに半開きになっている。
今、葵の部屋には、彼の妹であり、パートナーでもある衛が来訪していた。と言うより、寝ていた葵を叩き起こしたのが他ならぬ衛であった。
「もう、凄かったんだよ。鎌田少佐なんか、殺気むき出しでさ。」
ベットにあぐらを掻いて腰掛けた衛が、興奮して言う。
それを聞いて、葵は僅かに苦笑する。
「確かにそいつは凄いな。」
「でしょう?ボクも傭兵なんか初めて見たからさ!」
「信悟が殺気剥き出しにしている所なんか滅多に見られないからな。俺もそこにいれば良かった。」
「…………あにぃ、感心する所違う。」
衛は呆れながら、兄の顔を見る。
葵は衛の言葉を聞かない振りをして、紅茶を少しずつ啜りながら話す。
「まっ、あいつも副隊長になっていろいろ神経使う事が多くなったんだろう。それで、気が高ぶってるんだよ。」
そう言うと、葵はまた紅茶を啜る。
「でも、それって半分くらいは、あにぃのせいじゃない?」
「…………」
衛の指摘に、葵は口をつぐんだ。
実は葵は、あの海に行った日の後にも、信悟から何度か雑務の手伝いを頼まれたのだが、面倒くさかったり、葵自身が雑務に追われていたりしたので、断り続けていたのだ。その事が、信悟の神経が高ぶる一要因になっている事は疑い無いだろう。
「まあ、良いじゃないか。」
葵はコーヒーを一気に飲み干して言った。
「仕事は自分でやる物だ。俺は俺の仕事を確実にこなしている。それを誰かにとやかく言われる筋はない。」
「そりゃあ、そうだけどさ。」
衛は少し納得の行かない表情をする。
そんな衛に構わず、葵は話題を変えた。
「そんな事より、確かお前の生まれ故郷は、コフィンブルクだったよな?」
「うん。シールズブリッジ地方だって、前にお父さんから聞いた事があるよ。」
「そうか。じゃあ、これからは、お前の故郷を取り戻す戦いでもある訳だ。」
「……うん。でもさ、ボクがお父さんにノースポイントに連れてこられたのは3歳の時だったから。もう、ボクを覚えている人なんかいないよ。」
「…………そうか。」
そう言うと、葵はカップをキッチンに下げる為に立ちあがった。その時、
「ねえ、あにぃ。」
衛が、話題を変えるように話し掛けてきた。
「何だ?」
葵は足を止めて振り返る。
そんな葵に対し、衛は悪戯を告白する子供のように、言いずらそうに顔を少し背ける。
「どうした?」
そんな衛の様子に訝りながら、葵は尋ねる。
それに対して衛は、意を決したように口を開いた。
「もう、そろそろ教えてよ。」
「何をだ?」
「前に話した、あにぃが変わっちゃった訳…………」
「…………」
それを聞いた途端、葵の表情には明らかに怯みが広がった。
衛は以前、葵に、クールに振る舞っている訳を尋ねた事がある。彼女の知っている葵は、明るく朗らかで、常に誰に対しても優しく、どちらかと言えば、感情豊かな少年だった。それがなぜ、このようにクールに振る舞っているのか、衛には疑問だった。そして、彼女の知らない空白の2年間に一体何があったのか、意を決して葵に直接尋ねたのだ
「『いずれ話す』って、あの時言ったよね。」
「…………」
「ねえ、あにぃ。」
「…………」
「教えてよ。……それとも、ボクはあにぃにとってまだ、頼りにならない存在かな?」
「…………いや。」
そんな事はない。むしろ、衛には感謝している。衛が的確にバックアップしなかったら
自分はここまで戦う事はできなかったかもしれない。もし今、別の人間に衛の代わりを頼んだとしても、満足のいく戦いはできないだろうと思う。
しかし、
「すまない。」
「え?」
葵は衛の視線に耐えられず、背を向けた。
「あにぃ…………」
「必ず話すよ。けど、今は、もう少し待ってくれ。」
そう、
問題があるのは衛ではなく、自分自身。今だに彩村命中佐の死を引きずっている自分。その気持ちにケリを付けない限り、自分は前に進めない気がした。しかしその事が、目の前の少女に、負担を掛けている事までは、葵も気付いていなかった。
4
食事を済ませた葵は、基地の裏手から海を眺めていた。
海から流れ込んでくる潮気の吹くんだ風が、葵の首筋を優しく撫でていく。その風を受けながら、葵は故、彩村命の事を考えていた。
彼女と初めて出会ったのは、15歳の時、ロスカナスにあった少年飛行隊の教習所だった。そこで教官をやっていた命の第1期生の中に、葵はいた。当時既に、戦局は悪化しつつあり、油断が許されない状況であったが、それでも前線兵力には若干の余裕があり、空軍上層部としては、次代の主力を担うパイロットを早急に育成する必要があったのだ。そこで、ストームナイツのメンバーであり、凄腕のパイロットだった命を、教官として招いたのだ。
初めの頃はその厳しい指導内容に辟易し、反発した事も1度や2度ではない。しかし、命自身の優しさに触れるに連れ、葵の中で彩村命を1人の女性として見るようになっていった。それだけに、失った時のショックは大きかった。その時葵は誓ったのだ。必ず命の仇を取る。と。
しかし現実はどうか?
コンビナート上空で交戦した黄色の13には、手も足も出なかった。
コモナ諸島で戦った黄色の6は、今1歩の所まで追い詰めながら弾切れで仕留めそこなってしまった。
「俺は……奴等には勝てないのか?」
想いが、言葉になって紡ぎ出される。
その時だった。
「良い所だな。」
背後から声を掛けられ、葵はふと振りかえった。
そこには、燃えるような赤い髪をした男が立っていた。レイである。
「ここが世界有数の観光地だってのは知ってたが、想像以上だ。戦争が無かったらバカンスと行きたいものだ。」
「…………」
そんなレイに、葵は一瞥しただけで視線を元に戻す。
レイも、葵の態度を気にせずに、コートの内ポケットからマルボロを取り出し、火を付けた。
「吸うかい?」
「…………いや。」
レイの勧めを拒否して、葵は海を眺め続ける。
レイはマルボロの箱をポケットに仕舞い、大きく吹かす。そんなレイに、葵は視線を投げた。
「あんたか。今朝来た傭兵ってのは?」
「そんな所だ。」
レイはやや投げやり的に答える。
「聞いたぞ。着任早々、副隊長に喧嘩売ったそうだな。」
葵のその言葉を聞いて、レイはフッと笑う。
「そいつはちょっと違うな。」
「…………?」
レイの言葉に、葵は無言のまま向き直る。そんな葵に、レイは言葉を続けた。
「喧嘩を売ってきたのは向こうだ。もともと買う気も無いしな。」
「何でだ?」
「無駄な労力は疲れるだけだ。俺達の仕事は戦闘機で敵を倒す事であって、くだらない喧嘩をする事じゃない。」
それを聞いて、葵は微笑する。
「なるほど、それもそうだ。」
そう言って、葵はレイに右手を差し伸べた。
「俺は上杉葵。あんたは?」
「レイ・ラブロック・村雲だ。」
そう言ってレイも、葵の手を握り返した。
「あんたが噂の『リボン付き』とはな。」
「……俺を知っているのか?」
レイの言葉に、葵は軽い動揺を覚えた。まさか今日来たばかりの傭兵に、自分の通り名を言われるとは思ってもいなかったからだ。
そんな葵の動揺を見透かしたように、レイはニヤッと笑う。
「あんたの噂はメリア大陸まで聞こえてきているからな。」
そう言うと、レイは煙草を吹かす。
「まあ、あんたの腕は明日見せてもらう事にするさ。」
「明日?」
葵は訝るような顔で、レイを見た。
「何の話だ?」
「おいおい、聞いてないのか?」
レイは、呆れ顔で葵を見た。
「明日、合同の空戦訓練があるんだろ。」
「…………」
葵は口に手を当てて、記憶を思い起こしてみる。
言われてみれば、机の上に新しい予定表が乗っていたような気がする。今朝のごたごたのせいで、見忘れていたが。
「成る程な。」
合点が行った葵は、改めてレイに向き直った。
「それならまあ、よろしく頼む。」
「ああ。」
そう言うと2人は、互いに視線を交わした。その両者の瞳は、見る者が見れば獣のそれに見えたと証言したであろう程、闘争本能に満ち溢れていた。
5
翌朝、晴れ渡った空の下、葵がパイロットスーツに着替え終えて滑走路に出てみると、合計で8機の戦闘機が並んで駐機されていた。
「あにぃ!!」
葵の存在に気付いた衛が、駆け寄ってくる。衛もパイロットスーツに着替えて、準備万端と言った感じだった。
「もう、あにぃ遅いよ!」
衛自身、内面的にはどうか分からないが、外見上は昨日の事は気にしているようには見えない。
「ああ。悪いな。」
葵は口数少なく、衛に答える。
柄にも無く緊張していた。それと言うのも、昨日のレイの事が、頭に残っているからに他ならない。自分と同じ殺気を持つ者、自分と同じ瞳を持つ者。すなわち、
『奴も、「翼を持つ獣」か。』
葵は心の中でそっと呟いた。
そんな葵の横顔を、衛は不安そうに眺める。
「あにぃ?」
衛も、葵の不安を敏感に感じ取ったようだ。そんな衛を安心させるように、葵は微笑を浮かべる。
「大丈夫だ。いつものように頼むぞ。」
「…………うん、分かったよ。あにぃ。」
衛も、コクンと頷いた。
滑走路には空軍から、葵のF/A―18ENスーパーホーネット、衛のF−2Nバイパーゼロ、同じく信悟のバイパーゼロ、富永紀人少尉のF−15Cイーグルが並んでいる。
対して傭兵部隊は、ミラージュD2機にファイティングファルコン1機、そして、その3機の先頭に、見慣れない戦闘機が駐機してある。
黒を基調としたカラーに、主翼と機首部分に白いラインが入っているその機体の姿は異様の一言に尽きた。通常、機体の向きに対して後方、つまり尾翼の方向に角度が付けられているはずの主翼が、反対の方向、すなわち機首の方向に角度がついている。「前進翼」と呼ばれる形状で、速度性能を発揮する為に考えられた形状だが、実際に採用している機体は、存在しないはずである。
「あにぃ……この機体、何?」
「…………これは…………」
その異形の戦闘機に、葵も言葉を失う。
『確か……どこかで見た事があるんだが……』
記憶の片隅に、引っかかる物を感じながらも、葵はすぐには戦闘機の名称を思い出せない。
その時、
「スホーイS−37A、ベルクト。エルジアのスホーイ設計局が特殊戦闘機として開発しながら、採用を断念せざるを得なかった機体だよ。」
突然の背後からの声に、葵と衛は振り返った。
「……レイ。」
対戦相手の登場に、葵は僅かに目を細める。
それに構わず、レイは言葉を続ける。
「開発時期がユリシーズ落下と重なってちまい、エルジア空軍としても予算面から採用を断念せざるを得なかった。よって、試作機として3機のみ作られただけで終わった不運の傑作機さ。」
ベルクトの性能は、全長22・6メートル、全幅16・7メートル、全高6.4メートル、最高速度マッハ2・1となっている。
レイは葵の目を見る。
「その内の1機を、俺が買い取ったって訳だ。」
「…………随分と、贅沢な買い物だな。」
葵の皮肉に対し、レイはフッと笑みを浮かべる。
「まあな。お陰で前回の紛争で稼いだクレジットがパーになっちまった。しかし、」
そこまで言って、レイの笑みは凄みのある物に変わる。
「価格に見合うだけの性能は示してくれるよ。こいつは。」
「…………そいつは楽しみだ。」
葵は表情を変えないまま、レイを見返す。
その横で衛は、2人分の殺気に翻弄されておろおろしている。
その時、
「中尉、機体の点検終わりました。」
2人に水を差すように、横から柔らかさを感じさせる声がした。3人が振り向くと、そこには作業用のつなぎに身を包んだ女性がいた。背中まで伸ばした金髪を一本に縛り、極上のサファイアを思わせる青い瞳をしていた。その美しさは、作業着を着ていても衰える事はなく、同性の衛ですら息を呑んでしまったほどである。
「…………ご苦労。」
やや気勢を殺がれながら、レイは返事をする。
「紹介しておこう。うちの傭兵部隊の整備主任をしている、」
「ソフィ・エレ・ラグ曹長です。よろしくお願いします。」
そう言ってソフィと名乗った女性は御辞儀すると、ポカンとしている葵と衛に笑顔を見せた。
「あなたが、上杉葵大尉ですね。御噂はかねがね伺っております。」
「あっ、ああ。」
ようやく現実に引き戻されて、葵はそれだけ頷いた。そこでようやく葵は、自分がソフィに見とれていたのに気付いた。
そんな葵に、衛はやや不満な表情を向けたが、葵は丁重にこれを無視した。
「さて葵、お前の方は、お前とその小僧の他には誰だ?」
「こっ、小僧!?」
レイの言葉に、衛は思わず大声を上げた。その声に、回りにいた何人かは一斉に衛の方を見る。
そんな衛の様子に、ソフィが呆れながら言った。
「中尉、可哀相じゃないですか。この子、女の子ですよ。」
「…………そうだったのか?」
ややばつが悪そうに、レイは衛の顔を覗き込んだ。
「そいつは済まなかった。」
「いえ、いいんです。」
そう答える衛の声は、先程までの溌剌さ欠けていた。
その時、訓練開始を告げる放送が鳴り響いた。
「さて、」
レイは、葵を見る。
「がっかりさせるなよ。」
「…………お前もな。」
そう言った葵の目は、既に戦闘準備を終えた狼のそれになっていた。
6
8機の戦闘機は離陸すると、それぞれに別れて編隊を組んだ。
空軍側は信悟を隊長として、島の南の方から旋回し、傭兵部隊に接近するような進路を取った。
「シオンより各機へ。」
信悟から、葵達に通信が入る。
「敵は歴戦の傭兵だが、経験と言う面から見れば俺達も負けてはいない。自信を持っていけ!」
「メビウス1、了解。」
「タリア、了解!」
「メビウス2、了解!」
答えながらも、葵は信悟の気が高ぶっているのが、手に取るように分かった。
『まずいな。』
葵は心の中で舌打ちした。信悟の指揮能力の高さは理解しているが、気が高ぶっていてはどこで足元をすくわれるか分からない。ましてや今回の相手は実力がいまだに未知数だ。用心するに超した事はない。
葵がその事を警告しようとした時だった。
「メビウス2、タリホー(敵発見)!」
衛の声に、葵は思考を中断する。
見るとレーダーに、2つの光点が浮かんでいる。
「2機か。」
信悟は呟くと、決断した。
「メビウス1、2はそのまま残る2機を捜索。タリアは俺についてこい!」
「タリア、了解!!」
そう言うと、信悟と富永は葵と衛を残して進路を変更する。
そんな2機の背中に葵は一抹の不安を感じながらも、残る2機の捜索に入った。
「この辺りか。」
葵達と別れた信悟と富永は、2機の戦闘機を追って厚い雲の中に突入していた。
既に視界はほとんど利かず、レーダーを頼りに2人は進む。
「シオンよりタリア、他の2機が接近してくる気配はあるか?」
「いえ、ありません。」
富永の報告を聞いて、信悟は首をかしげる。
『罠じゃないのか?』
信悟とて歴戦の名将である。敵が分離したと言う事は罠の可能性があると言う事を見抜いていた。しかし、いまだにその兆候は現れなかった。
「少佐、雲が切れます。」
富永が指摘した直後雲が切れ、視界に鮮やかな群青が広がる。
その瞬間2人は目を疑った。なんと敵は、4機の戦闘機を2機同士急接近させ、レーダー上では2機しかいないように見せていたのだ。
「しまった!!」
信悟は己の失策に気付いたが、既に事態はとり返しのつかない所まで来ていた。
それを見て、レイはほくそえむ。
「ハンズクロスより各機へ、ブレイク、アンド、コンバット・オープン!!」
「「「了解!!」」」
4機の戦闘機は一斉に散開し、信悟と富永を包囲しに掛かった。
「ちい!!」
富永はとっさにスティックを引き、背後に回った2機のミラージュを急旋回して振り切りに掛かる。
「ミラージュなら何度も対戦した事がある。例え何機来ようとも、勝てるはずだ!!」
叫ぶと同時に水平飛行に入り、スロットルを全開にする。
速度に劣るミラージュは、一気に引き離されていった。
それを見て、富永は笑みを浮かべる。
「よし!」
そして、反撃を加えるべく旋回を開始した。
その時、雲の切れ間から、比較的小ぶりな陰が躍り出た。
「しまった!!」
それが敵のファルコンだと知って振り切りに掛かる。しかし、旋回中でスピードが出ない上に、相手は上方から降下してくる形である為、スピードが出ている。
富永はあっという間に背後を取られ、撃墜の判定を受けた。
その通信は、離れて飛ぶ信悟の耳にも届いていた。
「クッ、完全にまずったな。」
これで葵と衛が駆けつけるまで、1対4の戦いを強いられる事になった。
しかし退く事は許されないし、退く気も無い。
「行くぞ!!」
信悟は叫ぶと同時に、スロットルを上げる。
その信悟に向かって、2機のミラージュが向かってくるのが見えた。
「そうそう、同じ手を食うと思うなよ!!」
信悟はミラージュを一旦やり過ごすと、小さい半径で旋回しその背後に回り込む。
そんな信悟の行動を予測したように、ふたたびファルコンが上方から現れる。
それを見て信悟はニヤリと笑う。
「掛かったな!!」
信悟はエアブレーキを開きながら、機首を急激に上げる。空気抵抗で信悟のバイパーゼロは急減速する。それに伴い、ファルコンは勢い余ってオーバーシュートする。
「もらった!!」
素早く姿勢を戻した信悟は、FCSを短距離ミサイルモードにしてファルコンをロックオンした。
そこで、撃墜の判定が下された。
「残り3機!!」
しかし、信悟の奮戦もそれが限界だった。
太陽を背に、1機の戦闘機が降下してくる。その存在に、信悟はまったく気付いていなかった。
そして次の瞬間、コックピット内は警報に満たされた。
「……撃墜したぞ。」
レイが低い声で信悟に告げた。レイのベルクトは、信悟のバイパーゼロの後方からバルカンをロックオンしていた。
レイ達の戦術は確実性が高かった。まず、レーダーを撹乱して相手を分断すると、小隊のうち2機を囮に使う。この2機は常にペアで行動し、相互支援をかかさない。そして油断した敵に第1の矢を放つ。それで撃墜できればよし。仮にかわされて、その第1の矢が叩き折られたとしても、上空に控えていた第2の矢(小隊長の場合が多い。これは、いざと言う時に小隊長が先にやられてしまっては、部隊が混乱する恐れがあるから。)を放ち、敵が体勢を立て直す前に落とす。と言う物だった。
「あんたの技量と度胸は認めてやるよ。だが、もう少し戦術研究をするんだな。」
「クッ!」
レイの言葉に信悟は唇をかむ。しかし、事実であるだけに言い返す事はできない。
そんな信悟を無視して、レイは残る2つの獲物を求める。
「さて、後は葵と妹の……確か衛とか言ったか?この2人か。」
そう呟いて、再び監視高度まで上がろうとした時だった。
突然雲を切り裂いて、白いボディーに赤い線の入ったバイパーゼロが躍り出た。衛である。
衛はそのまま、1機のミラージュの背後に回った。
衛の存在に気付いたミラージュは退避に掛かるが、機体性能に差がありすぎる為、あっという間に間を詰められる。
「隊長!!」
ミラージュのパイロットが、悲鳴に近い声を上げる。
「落ち着け!支援行動に入れ!!」
そう言いながらも、自身も機首を巡らせる。
『衛だけか。葵はどこだ?』
辺りに目を走らせるが周りにその姿は無い。しかし油断は許されない。どこから奇襲を受けるか分からないのだ。
「メビウス2、フォックス3!!」
コールすると同時に、衛は正面のミラージュをロックオンした。すかさず地上から、撃墜の判定が下された。
「よし!」
衛はそのままブレイクする。すでに2機目のミラージュが背後から迫っていたからだ。レイのベルクトは姿が見えないが、雲の中に入って、こちらの隙をうかがっていることは間違いない。
衛はエンジン出力を上げて、ミラージュを振り切りに掛かる。エンジン出力の差から、ミラージュはあっという間に引き離された。
しかしその時、衛は自分に併走する機体がいる事に気付いた。特徴的な前進翼が、猛禽の鋭い翼を思わせる。
「村雲中尉だ!!」
衛が見ている前でレイのベルクトは、ロールして衛に向かってくる。
「クッ!!」
衛は舌打ちして、振り切りに掛かる。しかしレイは逃げる衛を正確に追尾してくる。
コックピット内が、ロックオン警報に満たされる。
「これで、終わりだ!!」
レイは照準レティクル越しに自分の勝利を確信し、口の端に笑みを浮かべる。
しかしその時、下方から急上昇を掛けてきた機体がある。
「!?」
レイはとっさに、ロールしてその射線から逃れる。
数瞬の間を置いて、葵のスーパーホーネットが駆け抜ける。
「葵か!?」
葵は、レイとは逆に低空に伏せて隙を伺っていたのだ。レーダーが探知しにくい低空からの接近とあって、レイも意表を突かれた。葵はそのままレイのベルクトの背後に回りこむ。
「衛、お前はもう1機の方を頼む。」
「分かったよ、あにぃ!!」
葵の指示を受けて、衛はもう1機のミラージュに機首をむけた。
それを確認してから、葵はレイのベルクトに向き直る。レイは旋回しつつ戦闘態勢を整える。
「行くぞ、レイ。」
葵は低く呟くと、機首をやや下げてスロットルを開く。速度を上げた葵のスーパーホーネットは、そのままベルクトをロックしに掛かる。
「やらせるか!!」
レイは機体を水平にすると、すかさずスプリットSに入り、葵を振り切りに掛かる。
しかし葵もすぐにレイを追撃し、後方からレイのベルクトを捉える。
「メビウス1、フォックス2!!」
葵は短距離ミサイルをロックオンする。しかしロックが掛かる前に、レイは左に急旋回して葵のロックをはずす。
旋回しつつレイは、微妙に高度を上げていく。
一方、振り切らた葵は稼いだ速度そのままに、レイを再び追撃する体勢を取る。
それに対してレイは急上昇を掛けて、高度を稼いでいる。
「少し、遠いか……」
葵はFCSを中距離ミサイルモードにして追撃する。上昇中なら、双方共に速度が落ちる。それを見越しての切り替えだ。
「メビウス1、フォックス1。」
しかしロックする前に、レイのベルクトは雲の中に入って姿をくらませる。
「クッ!!」
葵もすぐに追撃に入る。
すぐに、葵の視界は白く染まる。しかしレーダーは、正確にレイのベルクトを追尾している。
葵はニヤリと笑うと、アフターバーナーを全開まで吹かした。
その頃衛は、執拗な追撃戦の末に残ったミラージュを撃墜の判定を得ていた。
「メビウス2、スプラッシュ2!!」
衛はコールすると、すぐに機首を起こして上昇に入る。
これで2対1、ようやく逆転できたのだ。すぐに葵の援護に入り、勝利の可能性を高めなければならない。
「待っててね、あにぃ!」
そう言うと衛はアフターバーナーを吹かして、バイパーゼロの速度を全開まで上げた。
その頃、葵とレイの雲の中の追撃戦は、徐々に葵がレイを追い詰めつつあった。
ダッシュ力はほぼ互角で、速度性能はベルクトのほうが勝っている。その気になればレイは葵を簡単に振り切れるはずだが、葵は高度差と重力を巧みに利用して、レイに喰らいついていく。
「クッ……さすがは噂のリボン付きと言ったところか。」
レイは、バックミラーに映るスーパーホーネットを、睨みつける。その視界の中で、スーパーホーネットは無駄の無い動きでレイを追い詰めていく。このままでは、遠からずレイは負けてしまうだろう。やはり、初期の段階で不意を突かれたのが痛かった。
「仕方ない。あれをやるか。」
レイは軽く唇を湿らせると一気に速度を落とし、わざと葵との距離を詰める。
その様子は、葵からも確認できた。
「オーバーシュートさせる気か。」
レイが速度を落として、葵がオーバーシュートする事を狙っていると読んだ葵は、自身も速度を落としに掛かる。
その瞬間、レイの表情はそれと分かるくらい凄みのある笑みに満たされた。
「もらった!!」
次の瞬間、レイはアフターバーナーを全開まで吹かした。
「なっ!?」
アフターバーナーのジェット後流で、葵のスーパーホーネットは吹き飛ばされる。
その間に、レイは急旋回して葵の背後に回りこむ。
「しまった!」
葵が接近するベルクトに気付きバランスを取り戻したとき、既にレイは葵のスーパーホーネットをロックオンしていた。
「スプラッシュ、ナウ!!」
レイは、高らかにコールする。
「…………」
葵は水平飛行に入って速度を落とすと、バイザーを上げ、酸素マスクをはずした。
負けた。完全なる敗北である。これが実戦なら、葵は死んでいる。
その後訓練は、結局3対3のままタイムアップとなり引き分けとなった。
しかし空軍側は、名だたるストームナイトを3人も撃墜され、完全敗北の感が強かった。
7
訓練が終わってから葵は、基地の裏手にやってきた。
負ける事は負けた。だが、妙に気分が良い自分に気付いて苦笑する。たぶん、実力を出し切って負けたのだから、頭の中がスッキリしているのだろう。
「よう!」
そんな葵の背後から、やってきたレイが声を掛けた。
「また、ここにいたのか?」
「レイか。」
葵は振り返らずに答えた。そんな葵の隣に、レイが並ぶ。
「大した奴だな、お前は。」
レイの言葉に、葵は振り返る。
「負けたのは、俺だぞ。」
「ああ。だが、紙一重だった。あれがかわされれば、俺はそれまでだった。」
「……だが、負けは負けだ。」
そう言うと、葵は再び視線をはずす。
そんな葵の潔い態度に、レイは苦笑する。
「まあ、そう言うな。昨日も言っただろ。俺たちの仕事は戦闘機で敵と戦う事だ。訓練では真の実力を測ることはできんさ。」
「…………成る程な。」
呟いてから、葵は真っ直ぐにレイを見据えた。
「じゃあ、俺の真の実力は、」
「ああ、次の作戦で、見せてもらうさ。」
そう言うと2頭の獣は、互いに凄みのある笑みを交わした。
第十四話「赤き豹と、リボン付きの狼」 おわり
あとがき
どうもこんにちは、ファルクラムです。
さて今回は、新規参入したオリキャラについて紹介していきたいと思います。
今回登場したレイ・ラブロック・村雲、並びにソフィ・エレ・ラグの両名は、読者の1人、蒼天の陽炎さんから送っていただいたキャラクターです。いろいろと細かい設定を送ってこられた時には、少々戸惑いましたが、うれしさのあまり速攻で採用を決めてしまいました。蒼天の陽炎さん、両名はこのようになりましたが、如何でしょうか?私に至らない点がございましたなら、また、メールで送ってください。
しかし、やはり他の方が考えたキャラを参入させるとなると、少々骨が折れますね。これも私の修行が足りないせいでしょう。これからも、精進していきたいと思います。それでは、また。
追伸
鈴凛の戦闘機が今だに決まって無かったりする。候補はようやく2つに絞り込んだんですけどね。
ファルクラム
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