Click here to visit our sponsor
▽BACK▽  ▽OTHER▽  ▽NEXT▽

リボンつきの翼
第十二話「常夏の幻」

作者 ファルクラムさん


「あにぃ、海に行こうよ!!」
それは、コモナ諸島航空戦から1週間ほど過ぎた頃であった。
葵達は近付く大陸上陸作戦に向けて、コモナ基地に進出してきていた。惜しげもなく降り注ぐ常夏の陽光の下、葵を初めとする小隊長達は各種雑務に追われていた。
すでにノースポイント連邦各地の港からは、すでに海軍に護衛された上陸船団が出航している。これらは、1週間後にはコモナ諸島に到達し、そこで補給を行い、大陸上陸作戦を敢行する手筈になっていた。
上陸目標地点は、旧コフィンブルク共和国南部シールズブリッジ。そこから北上し、まずは首都ロスカナスの解放を行う。そして、そこを当面の前線基地として、最大の目標、ストーンヘンジ攻撃作戦を実行に移すのだ。
その為にも葵は、今度の作戦に必要な弾薬、燃料の必要量を計算し、補給担当者に申請を行うのだ。また、葵のスーパーホーネットと衛のバイパーゼロの整備状況も、整備班から報告を受けて、状態チェックを行わなければならなかった。
それが終わったら、初めて葵も休暇を取れるのだ。
しかし、忙しさで言ったら、葵はまだ良い方であろう。
コモナ諸島航空戦で、総隊長藤岡順二少将(戦死後2階級特進)が戦死した事で、彼が本来行っていた雑務は、その全てが新任総隊長となった河村高士少佐と、副隊長になった鎌田信悟少佐が行う事になった。さらに航空隊の作戦立案、部隊配分、転出状況のチェックなどに加え、新入隊員達の実力も見なければならないのだ。加えて2人は、自分達の中隊の雑務もこなさなければならず、まさに手が回らないと言った状況だった。
そんなわけで、2人のうちの1人、信悟は葵に対して救援要請を願い出ていた。すなわち、雑務の手伝いである。
さすがの葵もこれには思案せざるを得なかったが、親友からの頼みとあっては無下にもできず、渋々ながらも承諾したのであった。
そんな矢先の、衛からのお誘いだった。
「……お前な。」
書類の束から顔を上げて、葵は言った。
「今がどんな状況か分かっているのか?」
聞かれて、衛はキョトンと答えた。
「え?あにぃが書類とにらめっこしてるんでしょ。」
「違う。」
葵はやや呆れ顔になる。
「良いか、もうすぐISAFは大陸反抗作戦を開始する。その為にも今、やるべき事をしっかりとやっておく必要があるんだ。」
「だって、他の人はもう遊んでるよ。」
「それは、仕事を終えた連中だ。」
「だって、あにぃだって、もうこれくらいでしょ?」
そう言うと衛は、書類の束を差した。
その書類の束は、確かに厚いが、がんばれば今日1日で終われない量ではない。
「これならさ、明日には遊びに行けるんじゃない?」
「その後俺は、信悟を手伝いに行かなければいけないんだよ。」
「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
衛は不満たらたらな声を上げる。
「そう言う訳だから、海なら咲耶達と行ってこい。」
「咲耶あねぇなら、会議でいないよ。」
「なら、千影と春歌は?」
「2人とも仕事終わって、もう遊びに行っちゃったよ。」
「だったら、他にお前の友達がいるだろ。」
「もう、ボクはあにぃと行きたいの!」
苛立った衛は、そう言って葵の腕にしがみつく。
「ねえ、行こうよ、あにぃ。」
「だから駄目だって。」
「う〜〜〜〜〜〜〜〜」
「唸っても駄目。」
「ふ〜んだ。」
「すねても駄目。」
「行きたい行きたい行きたい行きたい行きたい!」
「駄々こねても駄目。」
衛の攻撃を、葵はことごとく撥ね付ける。
その内とうとう、衛も何も言わなくなった。
「?」
諦めたかな?そう思い葵が顔を上げた時だった。
そこには、目に涙をいっぱい受かべた衛がいた。
「衛?」
「あにぃ……ボクだって……ボクだって女の子なんだよ。」
「…………」
「それなのに……それなのに……こんな所で戦闘機に乗って戦争やって…………」
「…………衛。」
軍に入ったのは衛の自由意志なのだが、それはこの際無視。
「ボクだって……たまには普通の女の子みたいに遊びたいよ!!」
それはまさに、衛の魂の叫びに近かった。それが分かっているだけに、葵もつらかった。
「…………分かった。」
「え?」
衛は涙に濡れた顔を上げた。
「この仕事を仕上げたら、明日一緒に海に行こう。」
「ほんと!?」
「ああ。」
それを聞いて、衛は跳び上がった。
「やったあ!!」
しかしその瞬間、衛のポケットから何か小さい物が零れ落ちた。
『あっ、やば!』
衛は慌てて、それを足で隠した。
「ん、ちょっと待て、何だそれ?」
「なっ、何でもない。何でもないよ。あははは。」
そう言いながら、気付かれない様に素早く目薬を拾い上げた。

世界各地から観光名所として知られるコモナ諸島は、その期待を裏切らない景色を観光客に提供していた。
燦燦と降り注ぐ太陽。踏めば音が鳴りそうなほど白い砂浜。そして、どこまでも青く、海面が透き通って見えるコバルトブルーの海。世界有数の観光地と言う謳い文句は、決して虚構ではなかった。
そんな砂浜に、葵と衛は立った。
2人にとって運の良い事に、戦時中と言う事で、海岸にはほとんど人影はなく、まばらに非番の軍関係者がいるのみだ。
「うわ〜〜〜〜〜」
衛は思わず、歓声を上げた。
「なんだか、プライベートビーチみたいだね、あにぃ!」
「そうだな。」
そう言うと、葵は持ってきた荷物を砂浜に降ろした。
「ねえ、あにぃ。」
「ん?」
葵は顔を上げて、衛を見た。衛はどことなく不安げな顔をしている。
「隊長達の方は、良いの?」
「何だよ、お前が行きたいって言ったんだぞ。」
「そうだけど……」
 さすがに無理を言った事もあり、衛にも負い目があるようだ。
それを見て、葵は薄く微笑する。
「心配するな、手は打ってきた。」
「手?」
「ああ、そう言う訳だから、今日は1日暇だ。」
「やったあ!!じゃあボク、着替えてくるね!!」
「ああ。」
 そう言うと衛は、更衣所に走って行った。

一方その頃、コモナ基地の執務室。
山よりも高いと思われる書類の束を前にして、鎌田信悟少佐は1枚の紙切れと睨めっこをしていた。
「…………」
その額からは止めど無く汗が流れている。
しかし、信悟は微動だにせず、紙切れを見詰めている。

【拝啓 ISAF空軍少佐鎌田信悟殿
以前、北方戦線時代に貴殿に貸した借金がいまだに帰ってきていないので、本日の貴殿の申し出、誠に遺憾ながら放棄させていただく。
ISAF空軍大尉上杉葵】

そこには達筆な字でそう書かれていた。
信悟は北方戦線時代、酔いつぶれた挙げ句に財布を忘れ、代わりに葵に飲み代を払ってもらった事があったのだ。大した額ではないのだが、葵自身が請求してこないのを良い事に、これまで払うのを忘れていた。葵はその事を盾に、ボイコットしたのだ。
「……葵。」
信悟は手紙の送り主に向かって語り掛ける。
その間にも太陽は燦燦と降り注ぎ、信悟を容赦なく灼熱地獄に引き込んで行く。
「……いつか殺す。」
物騒なぼやきを発した所で、信悟の仕事は小指の先ほども減る事はなかった。

 親友が物騒な呟きを発しているとは知らず、葵と衛はコバルトブルーの海面へ身を躍らせていた。
 葵にしろ衛にしろ、このようにくつろぐのは久しぶりの事である。
 衛は水着に着替えると、浮き輪を抱えて葵の元へ走ってきた。いつの間に新調したのか、水色の、ワンピースの水着を着ている。
水着からスラリと伸びた足が、まるで猫のような俊敏さを兼ね備えているようで、見る者の目を引き付けて止まない。
「お待たせ、あにぃ!!」
「…………」
 しかし、衛が傍らに立っても、葵は黙ったままだ。
「……あにぃ?」
「ん、あっ、いや、何でもない。」
 我に返った葵は、慌てて取り繕う。
「?」
 そんな葵に、衛は不思議そうな笑みを向けた。
「どうしたの?」
「なっ、なんでもない。」
 そう言うと、葵は視線をそらした。
『まさか、妹の水着姿に見惚れてた、なんて言えないよな。』
 実際の話、衛に限らず妹達と海、ないしプールに行ったのはもう何年も前の話だ。そんな訳で、久しぶりに見た衛の水着姿に、つい見惚れてしまったのだ。
「それよりも、」
 葵は逃げるように、話題を先に進める。
「時間がもったいない。泳ごう。」
「うん!!」

 その後2人は、久しぶりの「充実した休日」を満喫した。
 2人で沖まで競争したり、ビーチバレーをしたり、売店で買ったカレーを食べたりと、普段の生活では決してできない時間を過ごした。
「こう言うのも、たまには良いか。」
 葵は砂浜に寝そべりながら、呟いた。どうやら少し眠っていたらしく、頭がボウッとしている。
 思えばロスカナスの戦い以来、葵にはこういった休息を取る心が欠けていたのかもしれない。
『そう思えば、衛に感謝しなくてはいけないな。』
 その衛は今、何か飲むものを買うために、売店へ行っていた。
「あにぃ!」
 そんな時、丁度よく衛が帰ってきた。
「買ってきたよ!!」
「そうか。」
 そう言って、葵が起き上がろうとしたときだった。
 足が動かない。
 ついでに手も動かない。
 と言うか、体全体が妙に重い。
「?」
 不審に思って、葵は閉じていた目をゆっくり開いた。
「おはよう、あにぃ。」
 そこには、満面の笑みを浮かべた衛がいる。
「…………」
 葵は、唯一動く首を回して、状況を確認した。
 何と、いつの間にか体は砂に埋まっていた。
「あは、やっと気付いた?」
「……お前な。」
「だって、あんまり気持ちよさそうに寝てるからさ。」
「…………」
 葵は無言のまま、懇親の力を込めて起き上がった。
「わあ〜、あにぃすごい!」
「…………」
 葵は無言のまま、衛を見た。
「なっ、何、あにぃ?」
「……衛。」
 そう呼びかける葵の顔には、笑顔がある。しかしと言おうかしかもと言って良いのか、目は笑っていない。
「世の中には、『目には目を……』と言う言葉があるよな?」
「へ?」
 衛の顔に、冷や汗が浮かぶ。
「俺が砂に埋められたんだから、お前も埋まるべきだよな。」
「わ〜〜〜〜〜〜〜、ごめんなさ〜〜〜〜〜〜い!!」
 そう言うと、衛は背を向けて逃げ出した。
「こら待て。」
 葵もすかさず追いかける。
 もちろん葵が本気でないこと分かっている。それが分かっているから、衛も本気では逃げない。葵も、その顔には笑みがあった。

それは日が傾き始めて、回りにいる人間も帰り始めた頃に起こった。
「あにぃ、今日は楽しかったね。」
衛は砂浜で膝を抱えて座り、沈み行く夕日を眺めている。
その横で葵は砂浜に寝そべって、同じように夕日を眺めている。
「……ああ。」
久しぶりに得た休日。それは、葵にとっても充実した1日となった。戦争をやっている以上、今度はいつ、こういった機会を得られるか分からない。また、最悪な話、次がないまま戦死してしまうかもしれない。
それを考えると、こうした機会を得られた事は葵にとっても嬉しい事だった。
「……このまま……」
衛がポツリと呟く。
「このまま、時間が止まってしまえば良いのに……そうすれば、あにぃもボクも、これ以上戦争をしなくて済むのに。」
「…………そうだな。」
衛の言葉に対して、葵も肯定的な台詞を言う。しかし葵の言葉は、そこでは終わらなかった。
「だけどな、衛。どんなにつらくても、どんなに哀しくても、人は自分に与えられた道から逃げ出す事は許されないんだ。たとえ、その道を選んだ結果、自分自身が死ぬ事になっても、自分の屍の向こうに、大切な人の笑顔があるかもしらないなら、人は前に進まなくちゃ行けないんだ。」
『そう。かつて彩村教官は、俺の道を開く為に、犠牲になった。』
葵は、心の中でそっと呟く。
「あにぃ……」
衛は不思議そうな顔で、そんな葵を見る。
それに対して、葵は勢い良く上体を起こした。
「さて、さっさと着替えて帰るか。」
「うっ、うん。」
そう言うと、2人は立ち上がった。と、その時、
「あれ?」
衛はふと、視線の端に何かを捉えた。
「あにぃ、あれなんだろう?」
そう言うと、海岸線の一角を差した。
そこには引き潮に伴い、それまで海の底にあった岩場が顔を覗かせていた。問題はその岩場の陰、人一人はいるのがやっとくらいの小さな洞穴があった。
「何だろうな?」
葵も首をかしげる。
その事が、衛の好奇心を刺激した。
「あにぃ、行ってみようよ!」
言うが早いか衛は、水着の上から空軍のジャケットを羽織り駆け出した。
「おっ、おい!」
葵も慌てて、衛に続いた。

葵よりも先に洞穴についた衛はまず、入り口を良く調べてみる。
「ふうん、引き潮の時だけ、入り口が出るようになってるんだ。」
奥の方は見る事ができず、ひんやりした風が吹いてくるのみだった。
その事が更に、衛を探求心へと駆り立てる。
「これはもう、入ってみるしかないよね。」
そう言うと、葵の方に目をやる。
葵はごつごつした岩場に足を取られて、追いつくにはもう暫く掛かりそうだ。
「おおーい、あにぃ!ボク先に行っちゃうぞ!!」
それに対して葵が何か言ったように思ったが、衛は気にせず中に入っていった。
中は更にひんやりしており、海草が所々壁にへばりついている。時々打ち付ける波の音が聞こえてきた。
「一体何なんだろう?」
衛はさらに奥へと進む。
しかし道は徐々に狭くなり始め、次第に肌寒くなってくる。さすがの衛も、不安になってくる。
「どうしよう。戻って、あにぃが来るの待とうかな?」
そう思いつつも、足は前へと進んでしまう。
と、その時、衛の視界に何かが飛び込んできた。
「なっ、何だろう?」
衛は目を凝らして見てみる。そして、思わず跳び上がって尻餅をついた。
それは、憤怒の形相をした、海神の像だった。
海神は手にした槍を大きく振り上げて、今にも衛に突き刺そうとしている。
『どどど、どうしよう、ボク、お仕置きされちゃう〜〜〜〜〜〜』
と、その時、
「おい。」
と言う言葉と共に、誰かが衛の肩が叩いた。それで、堪えていた物が一遍に弾けた。
「うわああああああああああああああああああああ!!」
思わず大声を上げる衛。その声で、むしろ相手の方が驚いたくらいだ。
「どうしたんだよ、衛?」
「へ?」
衛が振り返ると、そこには困った顔を浮かべた兄、葵が立っていた。
「あっ、あにぃ!!」
衛は思わず、葵にしがみつく。
「あにぃ、あれ!あれ!」
衛は必死に、海神像を差す。
それに対して、葵は特に驚いた様子もなかった。
「ほう、海神様か。」
それから、自分の足にしがみついている妹に目をやって、苦笑した。
「心配するな。この海神様はコモナ諸島の守り神だ。お前を罰しようとしてる訳じゃない。」
「ほんと?」
「ああ、大丈夫だ。ほら。」
そう言うと、葵は海神像に手を伸ばした。
しかしその時、突然光が起こり、葵と衛の視界はホワイトアウトした。

そこは、見慣れない家のリビングだった。
葵はそこのテーブルに座って、コーヒーを飲んでいる。
そこへ、何やら良いにおいがしてきた。
「はい、できたよ。」
と言う声と共に、エプロン姿の衛が手に料理を盛ってリビングに入ってきた。
その衛は、今よりどことなく大人びている。
「おっ、うまそうだな。」
そう言って葵は、衛が持ってきた料理を口に運ぶ。
「フッ。」
葵は、ふと可笑しそうに微笑する。
「何、何が可笑しいの?」
衛も、好奇心をたっぷり含んだ声で葵に尋ねる。
「いや、お前の料理も大分上達したもんだと思ってな。何しろ結婚した頃は…………」
「もう、それは言わない約束でしょ、葵!」
照れながらも、笑顔を浮かべる衛。
そんな衛の様子に、葵も笑って立ち上がる。そして、衛の体をそっと抱きしめた。
「衛……」
「……葵。」
2人は示し合わせたように同時に目を閉じ、ゆっくりと唇を重ねた。

「はっ!?」
そこで、葵と衛の意識は現実に引き戻された。
「今のは……一体?」
葵は虚ろな声で呟く。
葵と衛が成長していて、そして結婚している……
「今のは、夢?」
衛も、訳が分からず呆然と呟く。
この2人に共通して言える事は、程度の差こそ荒れ、両者とも顔が赤くなっていると言う事だ。
「……あにぃ……今のって……」
「…………分からん……集団幻覚にでも掛かったとしか……」
そう言ってから、葵はふと、海神像を見上げた。
『これは、単なる偶然なのか……それとも神の意志に拠る物なのか……』
元来、葵は神などと言う存在は信じていない。そもそもこの世に神がいるのなら、ユリシーズが降ってくる事も、戦争が起こる事もなかったはずだからだ。
しかし今、こうした現象が目の前で起こった以上、葵ならずとも、神の存在を思わずにはいられなかった。
「くしゅん!」
葵の足元で、衛が可愛らしいくしゃみをした。
考えてみれば衛はまだ水着のままである。このままでは風邪を引いてしまうだろう。
「帰るぞ、衛。」
そう言うと、葵は海神像に背を向けて歩き出した。
「あにぃ……」
そんな葵に、衛は情けない声を上げた。
葵が振り返ると、衛は地面に座ったままこちらを見ている。
「どうした?置いてくぞ。」
「あっ、あの……」
衛は恥ずかしそうに、うつむく。
「どうしたんだよ?」
葵は不振顔で、戻ってくる。
「あの……おんぶ……して……」
「はあ?」
葵は屈み込んで、衛を見る。
衛の顔は更に赤くなる。
「……ボク……腰、抜けちゃったみたい……」
「…………」
それを聞いて葵は一瞬呆けたような顔をした後、次いで吹き出した。
「もう!笑う事ないじゃないか!!」
抗議の声を上げる衛。
そんな衛を、葵はやれやれと言った感じで背中にしょい上げた。
そして、ゆっくりと歩き出した。
「あにぃ……」
葵の背中で、衛はそっと呼びかける。
「ん?」
「今日は、ありがとう……」
「……いや。」
そう言うと、2人はまた黙って歩き出した。
衛も、兄の背中で鼓動を聞きながら、いつしか眠りへと落ちていった。

第十二話「常夏の幻」 おわり

あとがき

どうもこんにちは、ファルクラムです。さて、今回のお話は、お気づきの方もいらっしゃるとは思いますが、小説版シスタープリンセスをベースにしてみました。
いかがでしたでしょうか?今回の執筆に当たり、プランは二つあり、今回のこれが一つと、もう一つは葵と衛を2人で遭難させようかと言う物でした。後者の方も個人的には魅力的だったのですが、なかなか状景が思い浮かばず、今回のようになりました。
さて、次回はいよいよ、大陸反攻待った無し、となりました。今後、葵達がどのように戦っていくのか、どうかご期待ください。

ファルクラム

 


ファルクラムさんへの感想はこちら
nymausht@cna.ne.jp
▽BACK▽  ▽OTHER▽  ▽NEXT▽